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『水流計算機を作ってみた』~エコに計算を~(新高3 R・Nくん)リテラ探求学習研究レポート

電気を使わずに計算できる装置を考案した新高3 R・Nくんによる驚きの研究発表をご覧ください。水とサイフォンの原理を活用して二進数の足し算ができる「半加算器」を自作し、その仕組みと動作原理を詳しく解説します。

■発表動画

■リテラの先生のコメント

今年も独創性あふれる研究になりましたね。思いついたことを形にして動かしてみるまで、試行錯誤をしながら課題を解決することができました。粘り強い姿勢が成功を引き寄せましたね。

■テキスト資料

皆さんは計算を速く、そして正確に行いたいと思ったことがあるでしょうか。
インド式速算術のような計算の裏ワザはインターネットには溢れています。
それらを覚えたり、そろばんを習ったりするのも1つの手でしょう。

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しかし、これらを一つ一つ覚えていくのはキリがなく、ミスも出ます。
ではどうそればいいか、答えは簡単、電卓を使えばよいのです。

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しかし、電卓は電気で動くため、電気ないと計算ができません。
ではどうすればいいか、答えはいたってシンプル、電気を使わない計算機を作ればよいのです。

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ということで、電気を使わず、水で動く計算機を作りました。

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今回作った計算機は半加算器と呼ばれる回路と同等の性能を持ちます。
まずは、計算を行う様子を見ていきます。
左から「0+0」「0+1」「1+0」「1+1」の四種類の計算をしています。
【動画】
そして、計算結果はそれぞれ「00」「01」「01」「10」となります。

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この計算機は、入力部、演算部、出力部に分けられます。
入力部は計算式の入力、演算部は計算を、出力部は計算結果を表示します。

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そして、これを図に起こすと、このようになります。

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次に、計算の原理についてです。
この装置の中には、このような表が保存されています。
この表は、かけ算九九の足し算版で、二進数での足し算の計算結果が記されています。
別の言葉で例えるならば、試合における総当たり戦の表のようなものです。
総当り表は選手二人を選んでそれぞれの行と列の交わるところを見れば、その試合の結果がわかります。
同じように、この表も0と1のような二つの数を選ぶことでその数を足し合わせた答えがわかります。

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例えば、1+0のような計算をするとします。
この時、はじめの数、ここでは1を「足される数」、次に来る数、ここでは0を「足す数」と呼ぶことにします。
最初に足される数である1を入力すると、この表における緑の部分、つまり「01」と「10」の2つが選択されます。

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次に、足す数である0を選択します。
すると青色の部分、つまり「00」と「01」の2つが選択されます。

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緑色の部分と青色の部分の重なる部分をより濃い緑色で塗ってみると、「01」が該当することがわかります。
ここには1+0の足し算の結果が保存されており、01がその計算の結果であることがわかります。

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ではこの表をどのようにしてコップとストローで再現しているのでしょうか。
実はサイフォンの原理をうまく使うことで再現しています。

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サイフォンの原理とは、異なる高さにある水をホースなどでつないだ時に起きる現象です。
不思議なことに、電気を使っていないにも関わらず、水が高い側から低い側へと勝手に流れ出します。

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このサイフォンの原理を用いると、ある高さ以上まで水をいれると、水が勝手に流れ出すコップが作れます。
コップに穴を開け、折れ曲がったストローを入れ水を注ぐと、ストローの曲がった部分の高さまでであれば水は溜まり続けます。
しかし、その高さを越えると、とたんに水が流れ始めます。
これは教訓茶碗とも言われるもので、欲張りすぎるとすべてを失ってしまうという教訓を表しています。

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これらを踏まえてこの装置の構造を見ていきます。
この図の台形の部分はすべて先程のコップにストローが刺さった構造になっています。
そのため、緑の部分のコップは教訓茶碗と同じように、ある高さまでは水が入り、ある高さを越えると水が流れ出します。

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実際に計算の様子を見ていきましょう。
例えば0+0の計算を行う時、足される数である0を表すコップに水を入れます。


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このコップは「01」と「00」のコップにつながっており、それぞれに水が流れ込みます。
これは先程の表だと緑の部分が塗られた状態になり当たります。

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つぎに、足す数である0に対応するコップに水を入れます。
このコップは「00」と「01」のコップに繋がっておりそれぞれに水が流れ込みます。

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この二回の操作のうち「00」のコップは二回続けて水が流れ込むことになります。
一回水が流れ込むだけではストローの高さを超えることはないため水は流れ出しません。
しかし、「00」のコップだけは二回連続で水が流れ込んだことにより、水がストローの高さを越えます。
すると、サイフォンの原理によって「00」のコップの中の水は全て流れ出ます。
「00」のコップは出力部の、一桁目と二桁目のそれぞれの0に対応する部分に繋がっています。
そのため、一桁目に0、二桁目に0が出力される事になります。

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最後にこれまでのことを踏まえて、改めて動作の様子を見ていきます。
ここでは1+0の計算の様子を見ていきましょう。
【動画】
まずは計算式の入力です。
この時、0+1や1+0のような異なる数字同士の計算は同じ側の数字を選ぶ必要があります。

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これは構造上足される側と足す側の1がそれぞれ左右反転している事によります。
今回の1+0では、左側の二つのコップに水を入れることになります。

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水は中段の演算部に流れ込みます。
一番左側のコップは二回連続して水が流れ込み、水位はストローの高さを超えます。
そして水は最下段の出力部へと流れ込み、01という計算結果が出力されます。

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この装置では二進数での足し算の計算結果を保存しています。
そして、この内容を変えると、OR回路というものを作ることができます。

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今回作った計算機を二つとOR回路を一つ用意しうまく接続すると全加算器というものを作ることができます。
全加算器は三つの数の足し算を行うことができ、これを複数接続することでより大きな桁の足し算も行うことができるようになります。

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今回水を使った計算機を制作しましたが、これを作るのに透明なプラコップを8個、先の曲がるストローを20本近く使いました。
大きさも机を埋め尽くすほどで、計算にも時間を要します。
一方、現代のコンピューターとてつもない速さで膨大な計算を行います。
このことから1つの学びを得ることができました。
それは現代のコンピューターの発展や開発に関わってきた人々はとても偉大だということです。
これで発表を終わります。ありがとうございました。

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研究の振り返り

■どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
計算機に興味があり、アイディアはあったものの十分な素材が手に入らず、今回の研究は都合が良かったから。

■作品づくりで楽しかったことは何ですか?
図を書きながらコップの配置や配線について考えることが楽しかった。

■作品づくりで難しかったことは何ですか?
サイフォンごとの個体差が大きく、働かない個体やフライングする個体があり、それらのお世話に苦労した。水漏れ対策に苦戦した。

■作品作りを通して学んだことは何ですか?
理論上は可能であっても、それを実際に作ろうとすると精度の問題や予期せぬトラブルなどによって、理論通りにはいかないということ。PDCAサイクル。

■次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
自然現象を相手にするような実験はよりはやい段階から万全の状態で行う。

■来年、研究したいことはありますか?
ビー玉計算機。

■この作品を読んでくれた人に一言
電卓を使うときは真心を込めて使う。




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