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こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

突然段ボール 故・蔦木栄一氏に捧ぐ

2005-09-15 09:18:23 | 詩、セリフ・・・そして、コトバ
突然段ボールのCD「成り立つかな?」に故・蔦木栄一氏に捧ぐ文章があった・・。

「誰に告げたかったわけでもなく世界は疲れていると思う朝、燗れた空が久しぶりになめらかだった。
牛乳を飲みながら新聞を読んでいた女が鶴のようにふいに頭を上げて笑った。
こちらを見た。
俺の横に犬が居た。
柴犬の雄で名前は何だと問うたら、ウスクダラである、と犬は尻尾に墨をつけて壁に書いた。
牛百済?と犬に聞き返す女子高生であたりはごったがえしていた。
この犬に触れるとイイ・カレシができるのだと。

死んだら具合よくなっちゃってよ。

つやつやの顔で缶ビールを飲みながら蔦木栄一は俺に言った。
突然段ボールでツアーまた行けるから一緒に行こうよって、そういう夢を見た。
死んだら健康だ。
いくらでも飲める。
そうだよなぁ。と納得して俺は目を覚まして笑った。
海に消えて行く、蔦木栄一の骨の粉を見ながらその夢を思い出した。
夕暮れの東京湾でカモメはクンクンしていなかった。
波の上に感傷ゾンビがワンワンニャーと鳴いていた。

思想に掛ける塩になりたいわけではない。
大金持ちになれるならそれにこしたことはないが、そのために努力することは絶対にない。
この世はつまらない。
だが、自分を捨てはしない。
それはもっとつまらない。
つまらないしくだらない何もかもを、ひゃらひゃらまとめて分析するなんて、もっともっとつまらない。
節制し倹約することはない。
馬鹿につける鼻くそ。そんなもんかも。音楽とアート。

これでいい、ということはない。
ここまでで十分というわけにはいかぬ。
なにもかも、無関係なら関係させるだけのことだが、関係だけで終わるなんてくだらないだけだ。
どうしようもないことの積み重ねにうんざりしながら、どうしようもないこととの関係に慣れるんじゃないよ。
純粋な無になれない。
それはわかっているけれど、純粋なぐうたらになら、なれるんじゃないか。
くだらない世界はそれを邪魔する。
怒りを青い空に照しながら選んで並べた絵の具を川に流した。
整ったら壊してね。
約束はそれだけだったような気がする。
蔦木栄一のいない世界に夢の渚はもうない。

                          2005年晩春 湯浅 学」
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