TBS系報道番組「Nスタ」(月~金曜後3・49)で、4月のリニューアルからテロップの配色や文字の大きさなど、見やすさに配慮したユニバーサルデザイン(UD)を採用して話題となっている。
人の色覚は幅広く認識できる一般的な「C型」のほかに、赤が暗く見えるなどの「P型」、緑が見えにくい「D型」などがあり、「C型」以外の色覚は日本では男性の20人に1人、女性の500人に1人いるとされる。
「Nスタ」の福岡大司プロデューサーとテロップを制作するCG担当者はサンケイスポーツの取材に応じ、「クリスマスの時期にみる赤と緑の配色も見えにくいという方もいる」と説明。同番組ではCGなどで月に約2万6000のテロップを制作するが、注意すべき配色を明記したガイドブックなどを確認しながら放送している。
TBSではこれまで、視聴者からの配色の問い合わせについては各番組で対応。野球中継では、アウトカウントやストライク、ボールを表示するスコアについて「黒を背景にしたアウトの赤丸が見えにくい」などの意見が寄せられ、赤丸に白のエッジ(縁取り)をつけるなどして対応した。
「Nスタ」も配色には配慮してきたが、4月からのリニューアルで本格的に着手。福岡氏は色覚の多様性を知り「強調したい文字を配色で目立たせようとしていたことが逆効果になるのはよくない」と感じたという。
「Nスタ」は3時間10分の生放送。緊急のニュースも伝えなければならず、福岡氏は「放送3分前にテロップを発注するときもある」と説明。テロップの内容に加え、配色のチェックなど番組側とCG制作者との迅速な連携が求められている。
視聴者からは「ストレスがなく見やすくなった」などの声が寄せられる中、CG担当者は「これまでの経験値でデザインに信念を持ってきたスタッフも学びながら柔軟に対応している」と説明。放送終了後はその日の問題点などを確認する作業を継続している。文字の大きさは従来の1・3倍に変更。「キッチンで料理をしながらニュースを見るときに見やすくなった」との意見も届いているという。
「Nスタ」以外の番組でもUDの取り組みが広がっており、福岡氏は「報道番組には災害情報など生命や財産を守るという責務や、身近な情報などで生活を助けるという意味もある。UDを取り入れながら情報を幅広く伝えていきたい」と強調。「今後、番組のスタッフが変わっても、持続可能なUDの形を模索して定着させたい」と話していた。(山内倫貴)