都営地下鉄などの軌道保守工事を巡る入札で、談合を繰り返した独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがあるとして、公正取引委員会は11日、工事を受注した6社と、その関係先として発注者の東京都交通局を立ち入り検査した。関係者への取材で判明した。
受注側は、JR東日本の関係会社で東証プライム上場の東鉄工業(東京都新宿区)▽坪井工業(同中央区)▽早川建設(同台東区)▽東急電鉄グループの東急軌道工業(川崎市)▽日信工業(同市)▽JR九州建設グループの三軌建設(福岡市)。
公取委はこの6社に加え、都交通局の関与についても調べるとみられる。
都営線は、大江戸線と浅草線、三田線、新宿線の地下鉄4路線をはじめ、東京さくらトラム(都電荒川線)、新交通システムの日暮里・舎人ライナーがある。所管する都交通局は、老朽化したレールや線路を切り替える分岐器の交換といったメンテナンスなどを民間に委託している。
談合の疑いがあるのは、こうした軌道保守工事を巡る希望制指名競争入札。都交通局が技術的な条件などを提示して公募し、審査で選ばれた事業者が参加できる。6社は数年前から各社の担当者間で入札前に受注予定社を調整し、互いの競争を制限した疑いがある。
入札は路線ごとに実施されており、各社がそれぞれ希望する路線の工事を受注できるようもくろみ、すみ分ける形で受注を繰り返したとみられる。さらに調整の上で複数社が入札に参加するケースもあれば、1社応札のケースもあり、落札額は1年契約で1社当たり数千万円から2億円台に上ることもあったという。
東鉄工業や東急軌道工業は「(公取委の調査に)全面的に協力する」などとコメント。坪井工業の担当者は「社として受注調整の指示や推奨は一切行っていないと考えている」と話した。【山田豊】
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