仙台育英高校(宮城)は12日、公式サイトで、同校サッカー部がいじめ事案によって12月28日開幕の全国高校サッカー選手権大会への出場を辞退すると発表した。

同校サッカー部は今月2日、全国選手権宮城大会で優勝し、2年ぶり38回目の本大会出場権を獲得した。しかし4日に地元の一部メディアが、「仙台育英サッカー部で『いじめ重大事態』全国大会出場は未定 生徒が暴言受け抑うつ症状に」と報道。同校は調査に乗り出し、「過去に『いじり』と呼ばれる不適切な言動が繰り返されていたことが判明」などと明かしていた。

今回学校側は「体育会サッカー部『いじめ重大事態』について」とする文書を発表した。調査の結果、「必ずしも一部の生徒だけに限られたいじめ事案ではなく、サッカー部全体、顧問団ならびに生徒の人権意識が不十分なために、『構造的いじめ』を生じさせ、これを見逃してしまう体制であったことが明らかになりました」と結論づけた。

全文は以下の通り。

発表文全文

本事案は2025年11月1日(土)に第一報として「いじめ重大事態報告に寄せる校長所見」で、第二報として11月5日(水)に「報道にあった「いじめ重大事態」について(第二報)」でお知らせした内容を踏まえ、報道等によりご心配をおかけしております在校生・保護者の皆様に対して本事案の最終的な報告をするものです。 本事案は、2024年5月までに発生した事案について被害に遭った生徒から情報提供を受けたことに端を発しています。当時、本学園では「いじめ」と認知し、「いじめ防止対策推進法」ならびに本学園の「学校いじめ防止基本方針」に則り、関係機関と連携した上で、詳細調査の提案を行いつつ、2024年5月から当該生徒の求める避難措置を含む保護体制を継続して実施して参りました。

なお、当該生徒は2024年5月以降、体育会サッカー部の部員ではありましたがいじめが原因となって部活動に参加することがかないませんでした。

このような中、2025年10月11日(土)には当該生徒に2024年5月までの事案に対する多大な心理的苦痛がみられたことから、本学園は「いじめの重大事態」として認知し、10 月14日(火)より関係機関と再度連携を開始いたしました。また、10月29日(水)には当該生徒から2024年5月の情報に関わる詳細情報と詳細調査の了承が得られたことから、本学園体育会サッカー部の3年次の生徒延べ53名に対して、本学園いじめ防止対策推進委員会が詳細な聞き取り調査を行いました。同時に、当時関係した顧問団への詳細な聞き取り調査を行いました。

本調査によって、必ずしも一部の生徒だけに限られたいじめ事案ではなく、サッカー部全体、顧問団ならびに生徒の人権意識が不十分なために、「構造的いじめ」を生じさせ、これを見逃してしまう体制であったことが明らかになりました。