教職課程で「外国人の子の教育」を必修科目に 京都教育大の実践

教職課程で「外国人の子の教育」を必修科目に 京都教育大の実践
8回目会合では浜田委員の報告などを踏まえ、各委員が意見を交わした=オンラインで取材
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 日本語指導担当教師の指導力の向上が課題となる中、11月10日に開かれた文部科学省の「外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議」の第8回会合では、教職課程の必修科目に外国人児童生徒の教育を取り入れている京都教育大学の取り組みなどが報告された。同大学国文学科教授の浜田麻里委員は、多文化・多言語の背景を持つ外国の子どもの教育に当たり「多様性を強みとしながら、共生社会の形成者として社会の発展に主体的に寄与する」といった明確なゴールを社会全体で共有して取り組む必要があると説明した。

 中教審の教員養成部会が今年10月に示した論点整理では、教職課程で共通して学ぶべきものがある一方、「学生が自らの強み、専門性を高められるような柔軟なカリキュラムを見せるべきではないか」「教職課程で学んだことをきちんと確認できるような設計にしていくべきではないか」などの検討事項が上げられている。

 これを踏まえて8回目会合では、日本語指導担当教師の指導力向上をテーマに、外国人児童生徒の教育に関する内容を教職課程コアカリキュラムに盛り込んだ京都教育大学の取り組みを中心に紹介された。

 浜田委員は外国人児童生徒の教育を巡って、日本語ができない子どもが入学してくるなど課題が起きた時に個別に対処する方法では対応が遅れ、学校現場で困難が放置されている場合も多いと説明。そのため次期学習指導要領で方向性の一つに掲げる「多様性の包摂」などの理念を踏まえ、「多様な言語・文化背景の子どもたちが、その多様性を強みとしながら、共生社会の形成者として社会の発展に主体的に寄与する」といった明確な目標を提示し、全教員にとどまらず、社会全体で共有して取り組みを進める必要があると強調した。

 日本語指導者には、日本語指導の意義や役割を理解することに加え、他の教員と連携し、言葉の力を見取った上での指導が求められると説明。そうした力を養うに当たり、京都教育大学では外国人児童生徒の教育に関する内容について、教職課程コアカリキュラムの必修科目「教職論」の1単位時間分に盛り込んだ。また「得意分野づくり」として関連科目のパッケージ化や、ボランティアに出向くなどの実地研究の導入も行っているという。

 浜田委員によれば、必修科目にしたことで「学生たちが『外国人の子どもたちの課題は、これから自分たちが考えていくべき課題なんだ』と、主体的に取り組む態度が養われている点が非常に良かった」と評価する。ただ、現状の1単位時間分では「組織的対応の必要性の理解」で精いっぱいであるとして、学習過程や支援方法といった事柄を扱うには、時間数を増やす必要があると課題を述べた。

 こうした報告を踏まえ、「教員養成の在り方」「研修や採用」を巡って各委員が議論した。

 小島祥美委員(東京外国語大学多言語多文化共生センター長准教授)は「外国人児童生徒のロールモデルとなる外国籍の教員の採用には、いまだに大きな壁がある」と話し、全国の教育委員会では受験資格は認めながらも制限内常勤講師などの任用にとどまり、学年主任や指導主事にはなれないことから、生涯賃金の格差も大きいと説明。

 「外国につながる子どもが大学に入学することは日常になった。志高く教員を目指し入学してくるものの、現実を知り教職から離れていってしまう姿を何人も見てきた」と述べ、改善を訴えた。

 野口晃菜委員(一般社団法人UNIVA理事)は教員養成に当たり「多様な子どもたちを今の学校の普通に合わせるのではなく、むしろ今の普通の側に問題があると考え、授業の在り方や学校文化について多様性を前提としたものに変えていく。そうすることで、いろんな障壁を解消していくという視点を、全ての先生方に持っていただくということが重要」と指摘。教員養成段階だけにとどまらず、その後も研修などを通して「多様性を前提とした各教科の授業」について考える必要があると強調した。

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