「新入社員は全員入寮」で離職ほぼゼロ、カフェタイムに補助金…若手の孤独感解消に取り組む企業
「一人で仕事をしていると孤独を感じる」など、職場で孤独感を抱く若手社員が目立っている。休職や離職にもつながる恐れがあるため、企業は対策に取り組んでいる。(金来ひろみ) 【写真】社員寮で交流を深める三和建設の新入社員たち
会話と悩み共有の取り組み
結婚準備に関する口コミ情報サイトを運営する「ウエディングパーク」(東京)の本社の屋上で10月下旬、入社3年目の喜屋武明依さん(26)が先輩社員らとコーヒーを片手に談笑していた。
同社は2022年、社員のコミュニケーションを深めようと、新入社員の発案で、休憩時間のコーヒー代を支給する制度を始めた。2~4人でグループを作って申告すると、1人あたり1回500円が月2回まで支給される仕組みだ。喜屋武さんは「先輩に気軽に相談できる機会があるのがうれしい」と表情をほころばせる。
野村総合研究所が昨年、正社員として勤務する約1650人にアンケートを行ったところ、「孤独を感じる」と回答した20代は45%に上った。うち42%は、孤独を感じる場面について、「一人で仕事をしているとき」と回答した。孤独感が軽くなる場面としては「誰かと食事をしているとき」が24%、「誰かと一緒に仕事をしているとき」が23%と、他者と交流している状況が多く挙げられた。
社員の交流を促進して孤独感を和らげようと、オフィスにカフェスペースを導入する企業も増えている。オフィス家具メーカー「イトーキ」(東京)で空間デザインを担当する永峯承受さんは「カフェスペースは偶発的なコミュニケーションが生まれ、気軽に話せる場所だ」と話す。
若手社員の孤独感を解消しようと、企業は様々な取り組みを行っている。
建設業「三和建設」(大阪)では、入社1年目の社員は社員寮に入寮する。以前は3年以内に離職する新入社員が5割を超えることもあったが、18年に全員入寮することにしてからはほぼゼロに。社長の森本尚孝さんは「寮生活で同期のつながりが深まり、仕事の悩みを共有できるようになったことが大きい」と、社員寮での交流が孤独感の解消につながっていると話す。
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