美術館のボランティアスタッフが現代アートを“汚れ”と勘違いし、トイレットペーパーで拭き取る(台湾)

木製の板に取り付けられた鏡は、「中流階級の文化的意識」を象徴する汚れや曇りが施されていました。

台湾の基隆美術館で、ボランティアのスタッフが展示作品を「汚れた鏡」と勘違いし、トイレットペーパーで拭き取ってしまうという出来事が起きました。 

Britain’s News Channelによると、その作品は、アーティスト・陳松志(チェン・ソンチー)氏による《Inverted Syntax-16》。木製の板に取り付けられた鏡は、「中流階級の文化的意識」を象徴する汚れや曇りが施されていました。

ボランティアスタッフはその“芸術的なほこり”を汚れと誤解し、トイレットペーパーで磨いた結果、作品の大部分のほこりが失われました。Metro UKによると、職員が気づいた時にはすでに手遅れで、元の状態に戻すことはできなかったといいます。 

陳氏の作品は、時間の経過と人間の記憶・変化をテーマとした前衛的な表現でしたが、善意の清掃行為によってその意味が一変。基隆市文化観光局は陳氏に謝罪したものの、損害賠償の可能性があるといいます。

一方で、弁護士は「ほこりを拭いただけでは有形の損害とみなされない可能性がある」と指摘し、一部の批評家からは「偶然の拭き跡も作品の一部として残すべきだ」との声も上がっています。