”HALIM CHIBA "
さらに凶悪は続きます。2日連続でアルジェリアのスタイフィ・ミュージックで申し訳ない。しかも無骨な男盤。
非常に興味を惹くかれている北アフリカマグレブ地域の音楽、とはいえ見かける物件ことごとくは買えないわけで。懐具合というものがある。さらに、どの盤もはじめて聞く名のミュージシャンばかりだ。
そこでどのような選択が行なわれるかといえば、ジャケに映っている歌手の人相が悪い順に買ってくるってんだから弱ったもので。いや、でも、この種の音楽の場合、これが一番良盤に当たる確立が高いと信じる。ジャンル的に、きれいなネーチャンが写っていれば買い、というモノではないと思う。
今回の物件も、まずは同じくの北アフリカ風河内音頭とも言いたいスットコ・リズムに導かれ、始まります。次いで、鼻をつまんだようなシンセの音がまるで日本民謡のような追分風メロディ(?)を高々と吹き鳴らし、主人公のHalim氏の、グネグネと折れ曲がったフレーズが呪文のように連なるボーカルの登場。もちろん、ボコーダー処理が加えられ、すっきり歪んだ(?)コブシ・ボーカルの世界が堪能できる。
昨日紹介のHora氏の、ヤクザが啖呵を切るようなハードボイルド調と比べると、このHalim氏は、より伝統的イスラム歌謡に近い路線に生きる人のようです。トタッカトカタン♪と跳ね回るリズムに乗って唄われる歌も北アフリカ地方の民族楽器の音を模したのであろうシンセの音も、現地の民俗音楽をそのまま電化したような風情が見受けられます。
その辺の保守反動ぶりがカッコいい人という印象でしょうか。まず、シュワ~ンとシンセが鳴り渡るなかでアザーンみたいなイスラミックなメロディを粘っこく歌い上げ、リズム・イン後、砂漠にのたうつ蛇、みたいなグネグネしたフレーズを饒舌に重ねて行く、その辺のタフな骨っぽさが地味にかっこ良い。
韓国のトロット演歌や日本のスーパーのBGMなんかでよく聴かれる、つまりは結構東アジアっぽいミャンミャンした音色でイスラミックなフレーズを奏で続けるキーボードと、掛け合いというか怒鳴りあいを執拗に演じつつ、北アフリカ大衆歌謡の発火点へ螺旋を描きながら突入して行く、そのある種因果なHalimの姿に、妙に血が騒ぐのを覚えるのでありました。