”ヘウニ・ヒット集”
「やべ~萌えた」とか軽薄な事を言っては、CDを聴きながら頭を抱えてみるのである。このジャケ写真に澄んだ歌声、これは演歌歌手というより普通にアイドルではないか。
何日か前にここで、「橋の歌には、人の心を異世界に誘う何かがあるのではないか?」なんてわけの分らん仮説を書いてみたのだが、そこで取り上げた韓国の”第3漢江橋”のオリジナル歌唱盤を見かけたので、手に入れてみたのだった。
歌い手は”ヘウニ”なる少女歌手であり、70年代半ばに現地ではかなりの人気を博していたようだ。当時、韓国歌謡界をリードしていた作曲家、吉屋潤のお気に入りでもあったそうな。そのルートに乗ったか78年に日本でビューなどしているようだ。が、私は彼女をまるで見た記憶がない。それほど本格的な日本進出でもなかったのか、それとも、進出に失敗したのか?
このCDは、そんな彼女の初期のヒット曲を中心に編んだベスト盤である。澄んだ高音を響かせる清潔感漂う美少女歌手、というのが当時の彼女への評価だったそうだが、確かに清楚な歌声が凛として流れて、どれも気持ちの良い作品となっている。ジャケ写真もご覧の通りなかなか爽やかな魅力を演出している。
まるでド演歌の”第3漢江橋”系列の曲ばかりかと予想していたが、意外に清楚なフォーク調の歌から、”国民歌謡”とまで言いたくなるような御清潔なホームソング調まであり、というかむしろ彼女の個性はそちらの方に向いているようにも思えてくる。
が、リアルタイムで彼女の歌を体験した人の証言など調べてみると、やはりメインとなって韓国の人々の支持を受けていたのは演歌系の曲だったようだ。アルバム終盤の数曲のようにちょっぴりお洒落な都会調のポップス曲など、当時の韓国国民が見ていた新しい明日の面影などが透けて来て、良い感じなのだが。
清楚なフォーク調の歌とド演歌が同居するアルバムというのも不思議なものなのだが、製作スタッフも歌っている当人もあまり気にしないであっけらかんと作り上げてしまっているような印象を受ける。あまりジャンル意識も芽生えていなかったということなのか。
へ~、こんなのがあるんだ、などと納得しているうちは良かったのだが。そんな私は、この下に貼るYou-tubeの映像を探してみて、大いに困惑することとなる。彼女、ヘウニのこのアルバムを吹き込んだ頃の映像というものがまるで見つからないのだ。
いや、彼女の映像自体はいくらでも見つかるのだが、これが皆、デビューから20年も30年も経ってしまって、すっかり貫禄の出た、出過ぎた、つまりすっかり重量化してしまって、なんか沼の主みたいになってからのヘウニの映像ばかりなのだ。なんだこれは。写真で見た、あの清純な少女歌手ヘウニのイメージはどこにあるのだ。
自分の若い頃は見たくないから封印する、とかご本人が言うわけないし、政治的理由で弾圧する性質のものでも無し、どういうわけだろうね、これは?
誰か、この理由を知っている人がおられたら教えていただきたいが、ともかくこれではしょうがないので、若き日の彼女の面影が若干でも残っている映像、彼女が羅勲児たちと一緒に”第3漢江橋”を歌っているものでも貼っておく事にする。それにしても分らないなあ。なぜ?