いいか、しんのすけ。
ビジネスの重要指標の一つが原価だ。
つまり、ビジネスとして成立させるには、決められた原価は守らないといけない。
その難しさの一つが、『標準時間』だ。
計画値と実績値の乖離が大きくなりやすい要素だからな。
標準時間は『標準時間×工場レート』で使われていて、労務費の一部として算出される、原価の1要素であるわけだ。
つまり、標準と実績の時間乖離は利益に直結する。
生技や製造でよくある誤りが、都合の良い時間を独自に見積って時間を積み上げることなんだぞ。
標準時間は「自由に決めていい数字」じゃない。
会社として時間の定義を持った経営指標だ。
標準時間の定義は、
「決められた方法、設備、作業条件で、熟練度を持った人が訓練して、肉体的に適している状態で、標準の早さで1単位の作業量をこなす時間」だ。
ここでのポイントは3つ。
①ツール、作業方法、順番が全て決まっている
②習熟度を考慮しない
③コンディションを考慮しない
①については、『生技』が計画する必要がある。
そして、②と③については、『製造』も計画する必要があるんだ。
作業訓練は当然、習熟度の見える化が必要だ。
そして、見落としがちなのは、連続した作業でコンディションが著しく低下する対象工程に対しては、交代勤務などを実施し維持するための柔軟さを備えなくてはならないということだ。
その前提があった上で、標準時間は正式な手法で求める必要がある。
例えば、経験則やストップウォッチ観測は、作業者の熟練差やコンディションでブレが大きくなる。
次に、MTM法は、標準化された手法で、人間の動作を基本動作に分解し、それぞれに標準化された時間値を割り当てて、作業の標準時間を精度高く算出する方法だ。
しかし、非常に多くの工数が必要という点がデメリットだな。
昨今では、PTS法といった、MTM法をベースに簡略化し、再現性と精度のバランスを整えたものがある。
要素作業をデータベース化し、要素動作や一連の手順を組み合わせた作業(シーケンス)に応じて決められた時間を割り当て、積み上げる方式だ。
一方で、生技であるならば、PTS法だけで完結させるのではなく、部分的に精度が高いMTM法での検証を行ったり、ストップウォッチ法で現場のばらつきを抽出し現状の製造能力を見極めるような、従来手法を使い分ける必要がある。
そして、正しく経営や他部門にFBするといった仕組みを作ることが必要なんだ。
今回、特に言いたかったことは「両手で頑張れば1秒でいけます!」のようなタイムアタック値で標準時間を決めると、最後に泣くのは現場だ。
しかし「作業者はロボットでない」と楽すぎる作業もまたビジネスとして成立しにくい。
標準時間は『結果』ではなく、工程課題を洗い出し、方法を設計するための『基準値』なんだ。
誤った標準時間は経営判断すら誤らせる毒となりえる。
積もらなければ悪さは見えないが、積もった時には、手遅れだ。
だからこそ、標準時間は経営指標と正しく理解し、各部門と会話をする必要があるんだぞ。