本格的に原作ストーリーに関わってくるべ。
「……トリニティに行くから、同行してほしい?これまた急ですね…」
「ごめん!でも…ナギ…トリニティの偉い人から、しばらくは護衛をつけておいてって言われちゃって…」
ミレニアムの件からまぁまぁ経ったある日、先生が私にお願いしてきた。
これまでシャーレに滞在して、こんな風に何かを頼まれるのは、実はあまりなかった。私自身昼から夜まではいつも外出していたからというのもありそうだが。
「トリニティ側から護衛でもなんでも付ければ良いじゃないですか?あのトリニティなら強めの戦力一つ抜けた所で問題にはならないと思うのですが…?」
「…………え、偉い人から、私が信頼できる人に頼んでほしいって…」
……何か隠しているな。問いただしてもいいが、どうせそんな大事なことでもないだろう。
「…別に、私先生に何か得がある事した記憶ないですけど…?」
「いや、ユウキはアビドスの皆の為に指名手配を倒しているし、それにユウキはトリニティの場所いくつか知ってるでしょ?迷子にはならないかなーって…」
えぇ…?何故コイツは私の動向をこんな知ってるんだ?言ったことも聞かれたこともないんだが…?
「トリニティの生徒達から聞いたし、アビドスの皆は感謝してるよ!後、個人で調べたから……って、何でそんな目で見てくるの…?」
これが先生、シャーレの情報網か…と感嘆するのと同時に、個人のプライバシーを無理矢理調べてくる事に軽蔑の目を向ける。
「…まぁ、私としてもマンモス校の繋がりは持っておきたいです。精一杯頑張らせていただきますよ」
「ありがとう!後でアイスあげるよ!」
「……受け取っておきます」
「さ、早速で悪いんだけど……今トリニティに行かないといけないんだ。ユウキの紹介も兼ねて、ね?」
「色々準備しないといけないので……10分程度、待っていただけますか?」
「うん。その間に、アイス買っとくね」
引き出しから、もう使わないかと思っていた、小さい方の筒を取り出す。別に相手を殺す訳じゃないから、これだけで充分だ。
ふと、今私が住んでいる部屋を見渡す。
睡眠と入浴以外には、ここにいることは少ないが……一応、愛着が湧いてきているような気もする。
…この部屋は、小さめではあるがちゃんとキッチンもあるし、冷蔵庫もある。先生が手配してくれたようだが、悲しいことに使う機会は無いだろう。
「…よし」
ここに住むことを決めた日にもらった、シャーレの色合いを使った連邦生徒会と似たような服装を身につける。所々違う点もあるが、これでシャーレ、もとい連邦生徒会からの物とは一目でわかる。
先生がいつも仕事をしている場所に向かうと、先生はもうアイスを買い終わっていたのか、ソファーに座ってアイスを食べていた。
「準備、終わりました」
「あ……それ、着てくれたんだね」
「…所属を明らかにするには、服装を変えるのが一番ですから」
「いや…だとしても有難いよ、てっきり、服のデザインが好きじゃなかったのかなって思ってたから…」
「そう言うって事は…まさか先生自らがこの服を選んで?」
「うん。ユウキに合うような服を選んだつもりなんだけど……サイズも合ってる?」
悔しいほどにピッタリサイズだ。………ん?人のサイズ何で知ってるんだこの人?
「ユウキのアイスは冷蔵庫に入れてあるから、取っといても良いよ」
「いや……時間が無さそうです。トリニティ行きの新幹線は何時でしたか?」
「えっと確か……あっ!?」
先生は時計を見ると途端に焦り出し、ソファーから飛び出した。
「はぁ……こんなのが実質キヴォトスの頭で良いのか…?」
「ごめんユウキ!ちょっと急ごう!」
走り出す先生を横目に独り言を呟きながら、先生の背中を追いかけていく。
まぁ、優しくはあるし…良いか。
「はぁ…はぁ…!ま、間に合ったね…!」
「……先生が
「ははは………ごめんね」
私はともかく、先生はもうバテているようで、未だに息を切らしている。
「…ここからトリニティにはまた時間がかかりますよ。今のうちに同行中何をすれば良いか、説明お願いしますね」
「いや……本当に同行してくれるだけで良いよ。私自身、護衛は必要ないからね」
どの口が言ってるんだと言いかけたが、黙って飲み込む。
「…先生は、トリニティ側から呼ばれたのですか?それなら、何かすべき仕事があるはずですが」
「うーん……うん!トリニティ側から呼ばれててね……とある部活の面倒を見てほしいって言われたんだ」
「…そうですか。………先生、警告ですが、あまりそういった情報は出さない方が良いと思います」
「勿論、ユウキ以外には言わないよ。ナギ…偉い人からもそう言われたしね」
「…だからそういう情報をペラペラと…!」
「ご、ごめん…!」
「……その部活というのは?」
「補習授業部って言うんだけど…知ってる?」
「聞いたこともありませんね……最近できた部活ですか?」
「うーん……そうとも言えるしそうとも言えないというか……」
「ま、名前からして正義実現委員会のような危険な事をする部活ではないでしょう。私は部活動中何をすれば?」
「…ユウキって、勉強できる?」
「…文字の読み書きはできますよ」
「うん…ダメそうだね」
先生はしばらく黙り込み、悩む仕草を出す。
「……着いた時にまた話すよ」
………また何か隠してる…
「…はぁ。もう質問はしません。まだまだ時間はあるので睡眠でも取った方が良いでしょう」
「うん、そうするよ」
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「…先生、先生起きてください。トリニティに着きました」
肩を揺らしてみるが、うーんと唸るだけ。こうなったら…
「…ちょっとチクッとしますよ?」
銃の一部分を先生に当てる。充電は無いが、これぐらいなら…
「うわぁ!!」
「あ、起きた…」
当てる前に先生が飛び起きた。
「なんだ、起きてたんですか。さっさと降りないと怒られますよ」
「今起きたんだけど…目の前に銃口があったらびっくりするよ…?」
「あ……すみません」
銃口をさっと下ろす。私、もとい私達にとっては余り焦る事では……………まぁ、確かに銃口が目の前にあったら危険云々より驚きはするか。
「はぁ……先生、トリニティに着きました」
「うん。伝えてくれてありがとう!」
先生は背伸びをしながら応える。たっぷり寝たのか、いつもよりしゃっきりして見えないこともない。
「それじゃ、補習授業部に行く前に、ユウキの紹介をしに行こうか」
「わかりました」
「明石ユウキさん…ですか。所属学校は………なるほど。実力も過剰な程…」
ティーパーティーのホスト、桐藤ナギサ。毅然とした、冷たい印象を聞いた噂から私は持つが、概ね当たっているかもしれない。
「ユウキさんは、このトリニティについて何か知っていますか?
「ある程度は。トリニティの構造と部活、あとは地理でしょうか……何度か訪れますが、毎回この規模の学校を上手く回せるとは思いますね」
「…私だけの力ではありません。様々な力が合わさって、この学校はできていますから。……地理については、また次に詳しく描かれているものを渡します」
「ナギちゃーん?やっぱりアイスブレイク必要だったんじゃ無いのー?」
突如隣にいたピンク髪がこの場に合わない話し方でナギサに話しかけた。
「……ミカさん。あくまでもユウキさんは護衛です。私達としては護衛に集中してもらいたいので、あまり交友を深めていくのは…」
「…ふーん。確かに、ナギちゃんの言う通りかもね。わかった、私も黙っとくよ」
ピンク髪は黙り始め、またこの重い空気が始まったと思いナギサの方を見ると。
「………ナギサ、大丈夫?」
「あ…!はい……すみません、ミカさんが素直に私の意見を聞くのに驚いてしまい…」
ナギサはこほんとつくと、紅茶を飲んで再び落ち着いた様子を見せた。
「ユウキさん。護衛中のあなたには申し訳ありませんが、少し部屋の外で待っていただけますか?先生とだけの重要事項なので」
「はい、わかりました。ただ、私も護衛としての責任があるので、ただ部屋の外で待つ訳には…」
「ユウキちゃん!私と話そ?」
ピンク髪……ミカだっけ…が手首を掴んで引っ張ってきた。
…力強っ。
「ユウキちゃん?ほら、これお菓子!」
「い、いや……遠慮します」
確かに美味しそうだが……誘惑に負ける程堕落してはいない。
「そっかぁ…じゃあ、何か知りたい事ある?私が知ってる事なら何でも答えるよ!」
…馬鹿か切れ者か。後者なら嘘の情報を教えられる可能性もあるが。メリットを優先しよう。
「……明らかにナギサ様、そして先生は何かを隠しているようでした。それについて何かご存知で?」
「うーん……」
ミカは悩む素振りを見せる。流石に踏み込みすぎたか?
「……ナギちゃんはね、焦ってるんだよ。護衛をつけてって言ったのも、それが理由。もう少しで……あの「エデン条約」が締結されるから」
「……エデン、条約とは?」
エデンというのは聞いたことない単語だ。何かの地名だろうか?
「トリニティとゲヘナが、もう争わないようにって作った条約。エデンってのは、昔の本に載ってた、楽園のこと。つまり、エデン条約は………楽園を作る。そんな条約なんだろうね」
彼女の言った言葉を深く飲み込む。このキヴォトスに来てからわかったが、ゲヘナとトリニティは本当に仲が悪い。巨大組織同士が敵対しているさまは、まるで指だ。
そして、エデンの意味。
楽園と、彼女は言っていた。
楽園と………
神は居ない。楽園もない。
この作品は…
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ギャグ
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シリアス
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適度にどっちでも…