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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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メルロマルクの綱渡り


「なんだ? なんかあったのか?」


 ここで錬がラフミとキール、ルナちゃんを連れてやってきましたぞ。

 ヴォルフがここで首を傾げるキールに合わせて狼男姿になりましたな。


「ああヴォルフだったか、何か話題に出てたが戻って来たんだな」

「おー! ヴォルフ兄ちゃん帰って来たんだな」

「変わり果てた剣の勇者とキール……ああ、自我を取り戻したんだ。これからもよろしく頼む」


 ヴォルフの返答に錬とキールが揃って驚きの顔をしてますぞ。


「可愛いズ……驚いてるー」


 そんな錬とキールの顔にルナちゃんはうっとりですぞ。


「わー! 話が出来るようになったんだなヴォルフ兄ちゃん! 俺はキールだ! よろしくな!」

「……」


 錬は警戒気味に成り行きを見守ってますぞ。


「ふむ……新たなツメの勇者となった者か。そういえばこの周回で見る奴だな」

「ヴォフ」


 ヴォルフはラフミには警戒気味ですぞ。


「なんだその態度は?」

「お前のその傲岸不遜な態度に警戒しているんだろ」


 錬がラフミに注意すると知った事ではないといった顔でラフミはヴォルフを見ましたな。


「まあこのような世界もあって良いだろう。出会いに感謝するのだな」

「ああ」

「データに無い奴なので観察はある程度しておいてやる。利用できそうなら今後も考えておく」

「……」


 ピクっとヴォルフの耳が跳ねてますぞ。


「なー兄ちゃん! ヴォルフ兄ちゃんがしっかり話せるようになったって事はサーカスの演目に参加するんだろー? どんなのに出るようになるんだー? 今まで通りなのか?」

「しっかりと受け答えできるようになったからねー出てくれるなら参加して貰う形になるよ」

「おー! いいなー! 俺も出たいー! バックで踊ってるだけじゃなくてよー」


 キール達は相変わらずサーカスに出たいと騒いでいるのですぞ。

 お姉さんやお姉さんの友人もそうですな。

 まあゼルトブルの方では多少参加させて貰っていますがな。

 メルロマルク側で参加するのが1軍みたいな認識のようなのですぞ。


「みんな頑張ってくれているから演目も増えて、競争が厳しくなって来てるからなー……」


 ちなみにパンダたちはメルロマルク側の演目では人気になっているそうですぞ。

 亜人獣人でも多芸は身を助けるという奴ですな。

 虐待ショーじゃなくても評価されるのだそうですぞ。

 お義父さんの奴隷虐待ショーも恒例となっていますが人気は中間らしいですぞ。

 ちなみに現在いるサーカスの網の上で怠け豚は相変わらず寝ております。

 最近、働きもせずにあそこで寝てるだけになってませんかな?


「ブブ……」


 ヒラ、ヒラッと怠け豚が網の上から紙をお義父さんに向けて落としましたぞ。

 お義父さんはそれを拾って困ったように眉を寄せてましたな。


「えーっとエレナさんが……キールくんたちが参加できる演目を奴隷商相手に交渉して許可を既に出してるみたいだけど、キールくん出てみる?」

「え!? マジ! マジで俺出れるのー!?」

「うん。出られるよ。錬も一緒になるけど」

「なんで俺まで出なきゃいけないんだ!」


 錬はいつの間にかサーカステントに出入りするようになったのですな。

 ラフミが影武者をして仲間たちと勇者業をして貰っているので行く当てがなくて暇なのでしょう。


「錬が嫌ならしょうがないかーまあ、ひどい演目だし……」

「そもそも俺がここにいるのはどこで休んでてもルナが俺を連れ帰ってきやがって逃げられないだけなんだぞ! 尚文! わかってるのか!」


 ルナちゃんが錬を気に入って寝ている錬を連れ帰ってきてしまうのですぞ。

 よかったですな錬、ぼっちではありませんぞ。


「えー剣の兄ちゃん良いじゃんか! 一緒に出ようぜ。きっと楽しいからよ」

「ふ、ふん! 俺はサーカスなんて興味がない」

「でもさー兄ちゃんに色々として貰ってるじゃないかー今日も美味い飯作ってくれたし、お礼位しても良いだろー?」

「う……」


 キラキラした目のキールに錬が押されてますぞ。

 ちなみにルナちゃんはそんな錬とキールのやり取りをキラキラした目で見ております。

 実に楽しそうですぞ。


「はぁ、わかった……やれば良いんだろやれば」

「本当に良いの? 怒ったり後悔しても知らないからね?」

「やらなきゃこいつが黙らないだろ。ずっとこんな目で見られる方にもなれ」

「まあ、錬が良いなら良いんだけど……」


 半ば投げやりで錬はキールの押しに負けて参加をすることになったようですぞ。


「ほう……なるほど、こんな演目か……まあ、キールとルナと楽しくやるには良いのではないか?」


 ラフミもどうやら内容を把握したようですぞ。

 問題はないのですな。



 そんな訳で本日の演目でキールと錬がメインとなる時間になりましたぞ。


「おい! これはどういう事だ!」

「剣の兄ちゃん早く先に行ってくれよ!」


 何が行われているのかというとキールと錬がサーカス内にある高所に設置されたロープを綱渡りする演目ですぞ。


「此度行われるは死の綱渡り、邪悪で哀れな犬畜生の獣人共が落ちるのを縄の下で今か今かと待ちわびる食いしん坊な巨大鳥が口を開けて待っています。此度の犠牲者が縄を渡り切るかそのまま落ちて餌となるか、乞うご期待!」


 って触れ込みで何も知らないキールと錬が高所に上らされてぶっつけ本番で渡らされることになったのですぞ。

 ちなみに下で錬とキールが落ちるのを待ちわびているのはルナちゃんですぞ。


「クエ! クエー!」


 フィロリアル姿でお口を開き、キールと錬が落ちるのを受け止めるのがお仕事ですな。

 錬とキールが大好きなルナちゃんなのでお食事とはならずにそのままお持ち帰りされる算段ですぞ。

 落下した際にはスモークを炊いて羽毛の中に収まるのですぞ。

 もちろん強制的に渡らされるので俺は二人を後ろから突いて歩かせる役目をすることになりました。


「槍の兄ちゃん突くなよ! うお! 揺れる! 落ちる!」

「おい元康やめろ! くそ! 押すな! だ、だれか!」


 キールと錬をツンツンと突きながらピンと張られた縄をどんどん進んでいきますぞ。


「おーっと、これでは此度の生贄が逃げ延びてしまうぞー! これは面白くない! 皆様方ー! 哀れな獣人共へ鉄槌を下しましょうー!」


 との声と共に縄がぶんぶんと揺れますぞ。

 さらに観客席から妨害用の石など様々なものが投げつけられてきましたな。


「おい! やめろ!」

「揺らすな! 何を投げつけている! はあ!」


 と、キールと錬はおのおの投擲された品を剣や手で弾きながら進みますが何分揺れまくりですぞ。

 俺ですかな? 気の操作とバランス感覚で余裕で綱渡り等出来ますぞ。

 さあ落ちるのですぞー!


「くう……落ちてたまるか!」


 たったかたー! っと錬が縄を上手く足場にして駆け抜けようとしましたぞ。

 させませんぞ!

 ピッと小さくした予備のマヒ効果を上乗せした槍でエアストジャベリンを放ち錬の体にちくりと刺してやりました。


「ぐ――」


 錬が態勢を崩して一回転しながら辛うじてキールを掴みますぞ。


「剣の兄ちゃん、落ちる!」

「――!」


 嫌だ! 落ちるわけにはいかないと錬が目で語り、俺をにらんでますな。

 悪いですな。今回も演目はどうなるかシナリオが決まっているのですぞ。


「落ちる! 落ちる!」


 キールが必死に縄にしがみついてますぞ。そんなキールにしがみつく錬ですな。

 懸命に錬の手を掴んで縄に戻そうとする姿はルナちゃん曰く健気でかわいいんだそうですぞ。


「クエー!」


 下ではルナちゃんが今か今かと待っていますぞ。


「よいしょーーーー!」


 ファイトー! って流れでキールがうまい事錬を持ち上げようとしてますが、生憎と友情路線はいけないそうなので頑張ったキールが錬を持ち上げきる前に俺が近づいて蹴り落としました。


「うわ! ぎゃああああああああ!」

「ぎゃあああああああああ!」


 バーン! っと銅鑼の音が響くと同時にスモークが下に流れ込みルナちゃんがキールと錬をキャッチして羽毛の中に隠しましたぞ。


「「――!!」」


 ルナちゃんの羽毛の中で錬とキールが暴れてますがここでルナちゃんが満腹とばかりに声を出しました。


「クエー!」

「此度の生贄の獣人共は鳥の餌となり、高貴なる人間が綱を渡り切った! さあ、人の勝利に酔いしれようではないか!」


 という所で観客からあふれんばかりに喝さいが起こりましたぞ。

 そのままルナちゃんはサーカスの奥の方へと足早に出て行き、キールと錬を解放しましたな。

 俺は綱を渡り切って勝利のポーズをとってましたぞ。

 キールと錬が主演の演目は大盛況に終わりましたな。


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― 新着の感想 ―
[一言] けど別の見方をすれば、多数の方向からの攻撃に対する対処方法を命の危険なく学ぶ事が出来るのよね まぁ、この事を実戦に役立てれるかは、錬がその事に気付いて修行として前向きに捉えるかどうかでしか…
[一言] ひっでえ^^; まだ三勇教を片付けてないから、演目がまだ人間優位なものしかできないの歯がゆいな。 早くみんなで楽しく演じられるようになってほしいんだけど。 そうなったら今度は元康がクラウンポ…
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