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吉村青春ブログ『津屋崎センゲン』

“A Quaint Town(古風な趣のある町)・ Tsuyazaki-sengen”の良かとこ情報を発信します。

2006年8月29日〈エッセー〉002:幸せを運ぶ鳥

2006-08-29 15:30:38 | エッセー
●写真はカササギ:福津市津屋崎的岡(まとおか)の畑で、05年5月27日撮影=吉村青春第一詩集『鵲声―津屋崎センゲン』口絵3ページにも掲載

・連載エッセー『一木一草』
第2回:2006.08.29
 幸せを運ぶ鳥

 秋篠宮妃紀子さまのご出産が、近づいたようです。ご懐妊が報道された折、赤ちゃんの入ったかごの柄を嘴にくわえて飛ぶコウノトリ(コウノトリ科)のイラストが新聞に載りました。ヨーロッパでは、コウノトリ(嘴の黒いニホンコウノトリの近縁種・シュバシコウ=朱嘴コウ=という嘴の赤いヨーロッパ産コウノトリことで、ドイツの国鳥)は、生まれる赤ちゃんを泉や池から連れて来る〝幸せを運ぶ鳥〟とされていますが、ドイツにはコウノトリが嘴にくわえて運ぶ赤ちゃんは悪い子との伝承があり、背中に良い子を乗せて飛ぶイラストにすべきだと指摘する声も聞かれます。

『完訳アンデルセン童話集 1』(岩波文庫、大畑末吉訳)に収録された童話「コウノトリ」には、まだ飛べないコウノトリの雛4羽が子どもたちに「突き殺される」などとからかわれる話が載っています。4羽は飛べるようになると、悪口の歌を真っ先に歌い出していた一番悪い子には死んだ小さな弟を、「動物をからかうのはよくないことだ」と言った良い男の子のペーターには小さい妹と弟をという具合に、子どもたちの家に赤ちゃんを届けて仕返しをしました。それで、コウノトリはみんなペーターという名前になり、今でも、そう呼ばれているのですよ――というのです。

 それはさておき、私には〝幸せを運ぶ鳥〟はカササギ(鵲、カラス科)=写真=のように思えます。体長44㌢とハトより大きく、九州北部の平野に生息する野鳥です。佐賀、福岡両県ではカチガラスとも呼ばれ、高木や電柱に営巣し、カチカチ、カチカチとよく通る声で鳴きます。実は、福岡県柳川市が全国公募した『平成15年度白秋祭献詩』で三席に入賞した私の詩篇名が「カチガラス」でした。同年(2003年)8月18日、妻と北原白秋の故郷・水郷柳川を訪ね、どんこ舟に乗って川下り観光をした際、頭上を飛ぶカササギの鳴き声を聞き、カササギを案内役に川下りを楽しむ様子を童謡詩風に詠った作品です。この入賞がなかったら、私の吉村青春第一詩集『鵲声―津屋崎センゲン』出版もなかったでしょう。白秋祭献詩の入賞者表彰式が同年11月2日、同市矢留本町の白秋詩碑苑で催された際も、樹木の梢から「カチカチ…」と鳴き声がしきりに響き、私を祝福してくれているようで胸が熱くなりました。

 学習研究社の『漢和大字典』では、鵲は「めでたい知らせを告げる鳥とされる」とし、その鳴き声「鵲声(じゃくせい)」は鵲語、鵲報ともいい、「よい事がおこる前兆とされる」としています。私にとっても入賞という幸運をもたらした「鵲声」を、感謝の気持ちも込めて記念すべき第一詩集のタイトルとしました。また、小学館の『故事・俗信 ことわざ大辞典』によると、「鵲巣(じやくそう)風の起こる所を知る」(『淮南子』)とは、カササギが、その年の風の具合を考えて巣を作ることから、未来を予知する能力のたとえ、だそうです。鳴き声が吉兆の前触れに加え、未来の予知能力も兼ね備えている鳥ということになります。さらに、妻の母校・佐賀県立佐賀西高校(佐賀市)の校章には、奇しくも3羽のカチガラスがあしらってあるというではないですか。かくて、私には、とりわけ親しみを感じるカササギが〝幸せを運び、祝福する鳥〟に思えてなりません。
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