自民党と日本維新の会の連立政権が目指す議員定数削減などの選挙制度改革。比例議席を減らした場合、影響を受ける少数政党の反発も予想される。果たして定数削減は実現するのか。
自民と維新は連立合意書で「1割を目標に衆院議員定数を削減するため、2025年臨時国会で議員立法案を提出し、成立を目指す」を明記した。維新は比例代表を削減対象にすべきだと主張し、野党は反発している。
自民と維新の政策責任者はどう言っているのか。
まず、高市早苗首相は、衆院の定数削減について「少数与党だから必ず成立するか分からない」と臨時国会で答弁している。
自民の鈴木俊一幹事長も「会期末までに全ての各党各会派の理解を得る協議を終えて具体的なところまで決めきれるかというと、なかなかそうはならないのではないか」としている。
一方、維新の吉村洋文代表は、少数与党なので高市首相の発言を理解した上で、まず「自民と維新が議員定数削減案をつくって共同で提案をしていく」とし、旧民主党は09年に衆院選挙時に比例の80削減案を公約に掲げていたことを指摘。今の立憲民主党や国民民主党の主要な議員を牽制(けんせい)している格好だ。
また、維新の藤田文武共同代表は、法案化が容易な比例50削減と、自民と維新の共同提案を主張し、「ダメなら国民の信を問うのでもいい」としている。
ここで見えてくるのが、定数削減はなかなか巧妙な政治仕掛けということである。つまり、比例削減案を成立させられれば、小選挙区でも当選できる自民や維新には比較的有利だし、もし成立しなくても、立憲や国民民主に過去の公約を覆す二枚舌という批判ができる。いうならば、どちらに転んでも損のない「王手飛車取り」のような政治案といえる。
野党の方は、議論が拙速などと防戦に追われるだろうが、それとて、「そういって先延ばししてまた逃げるのか」とか、返り討ちに遭いかねない。
よく議員定数削減は成立するのかという質問を受ける。今の少数与党の状態ではまず無理だが、成立しなくても野党に打撃を与える。場合によっては解散事由になるので、与党としては政治的にいい案ということになる。
なお、比例の削減は少数意見の排除になるという批判も、小選挙区に重きを置くかどうかは国民の選択である。私としてはそれも含めて選挙するのがよいと考える。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)