”MORNING JOY”by KING SUNNY ADE
何年ぶりだろう、サニーアデのナイジェリア盤新譜なんて聴くのは。もしかして10年以上は軽く経っているのではないか。まあ、聴きたくてもアルバムを手に入れるのも難しかったし・・・いやそもそも、ナイジェリアに関してはフジ等のイスラム系ポップスに興味が行っていて、この人の存在を正直言って忘れていた。
今回聴いたのだって、CDを売っているのを見て、街でずっと逢っていなかった同級生に出くわしてあんまり懐かしかったから、という感じに近いのが正直なところで。
アデの最初の来日公演の際には、夜の”7時のニュース”みたいなメジャーな場所で話題にされたなんて、今の人は信じられないだろう。あんなにでかい会場で、あんなに多くの観客を集めた事も。音楽雑誌にはアデへの賛辞が並び、まさにワールドミュージックの季節の到来、アデはその王座に鎮座します。
だが聴衆は気まぐれで、季節の変わり目は実に簡単に訪れる。それから何年も要らなかった、誰もワールドミュージックなんかに興味を持たなくなり、「そういえばサニー・アデって、どうしてんの?」なんてセリフはギャグにさえならなくなるのに。
アデはいつの間にかナイジェリアのローカルスターの立場に戻り、日本にいてはさっぱり手に入らないナイジェリア・ローカルの盤だけをリリースするようになった。別に何をなくした訳じゃない、かっていた場所に戻っただけのこと。とは言うものの。
なんかサンコンさんみたいな笑顔を浮かべたアデの姿がジャケのこの盤をまわしてみると、あまりにもさりげない昔のままの彼の音だったので、スポッとその世界にはまり込み、懐かしいと思う間さえなかった。誰かが「日向をコロコロ転がって行くような」と表現した彼のメロディ展開は変わらず、そいつに絡むアフリカの大地から湧いて出たみたいな丸っこくて暖かいコーラス。
例のアフリカン・ギターもコロコロと転がり合いながら絡み合い、不思議なリズムを織りなしていた。聴いていると、生まれ育った風と土の上で満ち足りて微笑むアデの姿が浮んでくる。
ここに来るまで紆余曲折はいろいろあったのだろう。と思う。私の聴いていない盤にはズタボロの悪あがき盤などもあったに違いない。いや、見当で言っているだけなんだけど。
この盤では、風にそよぐ草原に触れたみないな気分にしてくれる4曲目の後半とか、ポジティブに生命の輝きを歌うラスト曲などに心惹かれた。これらの曲でアデがまた国際的人気を得る事はないだろうけど。うん、それは仕方がない。そしてそれでいい。もう季節は変わったのだから。
さすがにこの盤の映像はYou-tubeにはなかった。代わりに、最近のライブ映像など貼っておきます。