くすくすと可愛いは痛み止めになる
顔はいいけど身体が丈夫過ぎて病人や怪我人の気持ちが分からないのがコンプレックスな旦那様が、夜中の生理痛と闘う奥さんを彼なりに励ますお話。
★作中のカッコについて
《 》←あると嬉しい効果音
( )←状況、説明、その他
( )内「 」←彼女、他の登場人物の台詞
★ 作品の『取説』はプロフィール欄に移行しました。
もしも「これ使ってみようかな」という方がいらっしゃいましたら
ご使用前にそちらを一度ご覧下さい。
見つけて読んで頂き有難うございました。
生理関係のお話の時はスパダリ彼氏になる事が多いのですが、
今回は少し空回りする残念風味な彼氏を目指しました。
その分可愛いカップルにしたかったのですが……なったかな?
ご縁がありましたら次回もよろしくお願いします。____*YUKI*
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おい…大丈夫?!
しっかり!
(「あ……ごめんね…ここ邪魔だった?」)
寝てた……だけ…なの?
いや……起きたら隣りに居なかったから焦っちゃって…。
気になって探しに来たらトイレの前で倒れてたから…一瞬死んでるかと思って…。
慌てて強く揺すったり叩いたりしちゃった…。
ごめんね。
(「大丈夫……平気……」心底心配してくれてるのが分かる為、一応そう言っておく彼女。実は揺すられたせいでまた気持ち悪くなって来たが、それは彼には内緒なのである)
顔、真っ青だね。
どこが具合悪いの?
(「お腹痛くて…上も下も辛くて…」)
腹痛と吐き気にお腹も壊れてるの?
それって胃腸炎?
それともなんか別な病気?
辛いなら救急車呼ぼうか?
(「多分…そう言うのじゃなくて……生理のせいだと思うから……大丈夫……」)
…生理?
来たんだ。
……そっか、たまに生理の時一緒に胃腸もおかしくなる、あれ?
(「う、ごめん…ちょっと失礼……」と言ってトイレに篭る彼女)
え、トイレ?
《ドアの音》
ねえ、大丈夫?
(ドア越しに呼びかける彼)
《トイレ流水音→ドアの音》
どう?
まだ辛い?
(「少しね……」そう言って床に倒れ込む彼女)
吐いてはいないんだよね?
苦しそうだし…息荒いもんね……。
ねえ、ホントに救急車、呼ばなくて平気なの?
救急車が気がひけるなら病院行く?
昨日飲んでないから俺、車で連れて行けるよ?
(「そこまでしなくて大丈夫……」)
無理したり我慢したりしてない?
本当に家で様子見てて大丈夫?平気?
前にも言ったけどさ、俺、体調不良って、よく分かんないんだよ。
元々病気も怪我もあんまり経験なくて、そっち方面の共感力、他人より低い自覚ある。
ましてや女の子の事だろ……無知に等しいからさ…。
緊急性とか辛さとか分かってやれなくて…だから余計心配なんだ…。
顔色悪くてぐったりしてるの助けてやりたいって思うんだけどさ…。
『病院』とか『救急車』位しか思いつかないし、何していいか分かんなくて…。
知らずに無神経な事言ったり、したりしてるよね?
ごめん。
でも今後の為にもハッキリ教えて欲しいんだ。
俺、今どうしたらいい?
(「えっとね………………ぅぅ……」ここまで言ってもらえて嬉しいが、痛くて相手するのが少し辛い彼女)
あ……。
うずくまるくらい痛い時に、こんな事訊いてごめん…。
今はこんな会話の受け答えに付き合うのも大変だよね…。
配慮足りなかった…。
(頷く彼女が苦しそうなので、背中をさする)
背中さするくらいしかできなくて、情けないよ…。ごめんね…。
(「そんな事ないよ…心配してくれて嬉しいよ…」シュンとしてる彼がちょっと可愛いと思ってしまった彼女)
嬉しいって言ってもらえると救われる…。
もっと勉強しないとな…生理の事。
こういう時ちゃんと分かってあげられるように頑張るから、もう暫く見守ってて…。
(「うん」彼の気持ちにほっこりする彼女。そのまま背中をさする時間が暫く続いて…)
今どう?まだ痛い?苦しい?
(「少し落ち着いてきた気がする……」)
大丈夫そうならベッドに戻る?
俺、運んであげるよ?
(「ううん…今夜はこのまま、ここで寝るね…」)
え、「ここで寝る」って、廊下で?!
下、板だよ?
身体痛くなるしさ、冷えるんじゃない?
冷えると生理痛って余計酷くなるんだろ?
ベッド行こうよ。
(「次おトイレ行きたくなった時、ここまでくるの大変だから、ここでいいの……」)
そっか……それだけ辛いと、ベッドからトイレまでの移動も難しいのか……。
(「うん…だから私の事は放っておいて寝ちゃって?」と彼女は言うけれど…)
だめ。
放っとけない。
下に…ほら、いつもおまえが具合悪い時仮眠用に使ってる……なんだっけ、あれ。
昼寝用のクッションマット?それ敷こうよ。
あれとタオルケット持って来てあげる。
ここで寝るならせめてそれは使ってよ。
取ってくるから待ってて。
(彼、急いでマットとケットを取って来て、トイレ横にマットを敷き簡易的な寝床を用意する。彼女にそこに横になるよう促す)
《足音、衣擦れ音など》
よし、こうすれば少しは楽でしょ。
トイレ、目の前だしすぐ行けるよ。
(「ありがと…」そう答える彼女の表情が痛そう…と思った瞬間、彼女がいつも痛み止めを飲んでいた事を思い出す)
あ、痛み止めの薬飲んでた事なかった?
飲んでたよね?
持ってくる!
薬入れてる引き出しの上から2番目だっけ?ちょっと待っててね。
《足音》
はい、お水と薬。
飲めた?
これって飲んでどの位で効き始めるのかな…早く効くといいけど……。
(「ごめんね…こんな夜中に色々と…」)
気にしないで。
こんな事くらいしか俺、まだ出来ないからさ。させてよ。
(「ホント…もう大丈夫だから、寝て…?明日も会社でしょ?」)
ん?
寝て?
うーん、それがさ…。
なんか目、冴えちゃった。
(「ごめんね…私のせいだ……」)
謝んなくていいってば。
倒れてたのはびっくりしたけど、「出て行った」とかじゃなくて良かったよ。
居たはずの隣りから急に消えてると、愛想尽かされて捨てられたのかと思うじゃない。
(「それはないよ…今のところ(笑)」)
それはない……のはいいけど「今のところ」ってなんだよ…。
ひどいよな。
俺、おまえの為に日々頑張ってんのに…。
(ぷくっとふくれた彼が可愛いなと、お腹が痛くても少し笑ってしまう彼女。それに気付いた彼から台詞)
眠気もないし時間も半端だから、俺、朝活しようかな…。
今?
多分4時前くらいじゃないかな。
二度寝するには時間があり過ぎて、かえって寝過ごしそうで怖くて寝れない。
だから、夜早く帰れるように今色々やっちゃおうかと思って。
ねえ、隣りで仕事してもいい?
迷惑?
(「私は平気だけど、仕事するならリビングの方が……」)
リビングでもいいんだけどさ……。
一人だと寂しいから、ノーパソ持ってきておまえの隣りでしたいんだけど。
いい?
サンキュ。
じゃ、ここで仕事する!
《PC打鍵音》
(「なんか可笑しいね…」)
ん?
何が可笑しいの?
ああ、トイレの横でおまえが寝てて、その横で俺が仕事してるのが?
そうかもね…他にも部屋あるのにね。
少しシュールかもしれないけどさ、いいんじゃない?これはこれで。
そんな事より、寝なよ。
少しは薬効いてきたんじゃない?
呼吸整って来たし、痛いの少し落ち着いてきたように見えるよ。
もう目瞑ってなよ。
いくら俺の顔がいいからって見惚れて睡眠時間削るの、駄目だからね?(笑)
(「ばか…(笑)」)
ほら、目閉じる。
タオルケットちゃんとかける。
寝られる時に寝るんだよ。
おやすみ。
(おでこにちゅっ)
《PC打鍵音》
(暫くノートパソコンの操作音が静かに廊下に響く。やがてそれに混じって彼女の寝息が聞こえてくる)
寝息だ……寝れたかな……。
おまえ、ノーパソの作業音に弱いもんね。
俺がそばで作業してると、すぐウトウトして寝ちゃうもんな……。
良かった…眠るのに俺の仕事、役に立って。
朝活って思ったより…仕事捗るな……。
これなら今夜は早く帰れそう。
今日からまた数日痛いのとの戦いだもんな……。
痛くて動けないだろうから、今日の家事は俺だよね。
今回は胃腸に来てるみたいだから…夕飯軽いものがいいよな。
何作ってやろう…。
普段なんでもテキパキひとりでやっちゃうけど、こう言う時は俺もやるからね。
辛い間はいっぱい甘えてよ?
俺の可愛い奥さん。
【FIN】
★山下さんから着信です 様【女性向けボイス】トイレで倒れる…腹痛と吐き気で辛い生理痛に苦しむ泣きたい病み彼女のあなたを優しい年上彼氏が慰め看病し添い寝、寝かしつけ甘やかす。 https://youtube.com/watch?v=tFFdqt2UD7o 有難うございました