おどろおどろしい古本屋

近所の友人の息子の自転車のカギがあかない、というので、朝、駐輪場に呼び出されました。ところが肝心の自転車は駐輪4日目に突入していて撤去されていました。

しかたがないので喫茶店へ。しばし雑談。その人は越してきて間もないので、

「ところでこのあたりでまだ私の知らない古本屋ってありますか?」
「どーかな。あっ、そうだ。レストランCの近くにありますよ。妖気ただようところが。」
「どんな感じですか?」
「アジアの某国の首相の若い頃の仲間、、、みたいな感じかな。壁にはもう何十年も誰も手に取ったことがないような◎楠経済学の全集や辺徒南無戦争関係の本がクヌギの木の幹みたいな色になって並んでいて、表にはもう紫外線で色がなくなりつつある文庫本が山のように積んである。それの1~2割は水にぬれていたりして、ページがくっついているんだ。それは迫力ある本屋だよ。」
「掘り出し物とかはあるんですか?」
「さあね~。もう今では誰も読まなくなったような安岡正太郎とかのエッセイの文庫本とか、なんだか60年代の売れ線だったペーパーバックは大量にある。オレの買う本は1冊も無いなー。」
「ちょっと怖いもの見たさに入ってみたいですね。」
「そこの店主がまた迫力あるんだ。何も映っていないテレビを見ているんだ。」
「怖いな~。」
「じゃーじゃー、ざーざー言っているもうゴマダラ模様の何も見えない画面に微かに動く輪郭を、眉間に皺をよせた店主が真剣な顔で凝視し、雑音のかなたの声を聞いている。それはまるで、土星のかなたからの放送を受信しているようだよ(笑)。」
「ははは、なんていう店ですか?」
「利馬蹄書房(仮名)、というのだが、まあ、行かないほうが賢明かもしれない。平積みしてある本が分類されていなくて、ヘーゲルやルソーなんかの本と数10年前の平凡パンチなんかのワイザツな本と五味康介の時代小説なんかが交互に積んである。」

私はそう言いつつ、その古書店の看板の名前のことを考えたのでした。「自由」という名前をかかげ、最初は理想に燃えてスタートしたのかもしれません。しかし、気がつけばその日の金を追うくらいになり、品揃えもヘッタクレもなくなった感じ。じつはこういう人や会社は少なくないのかもしれません。

英国でジャギュアやアストン・マーチンが消えて行ったとき(身売り、吸収される時)、彼らは最後の技術を結集してすごいのを出していたと思います。ジャギュアのダブル・シックスのEタイプとか。それは滅びてゆく時、「朽ちることの無い冠」をかぶるという意気込みでしょう。そこには強烈な自分の存在への自信があると思います。日本はそういうふうに美しく衰退してゆけるのか?

悪平等のはびこるアジアのどこかの国では、そういうエリート意識は禁止らしい。自分に実力がなくても「やってみたい」で国を壊すくらいになっても権力と地位にしがみつく。いつのまにかあちこちの島を盗られ、そこに付随する漁場権や地下資源も奪われ、こんどはTPPで農業を崩壊させつつある。自国の食料自給率をさげ、なんかのことがあったら、レアアース不足どころではないでしょう。水田の広がる風景も消滅してゆくにちがいありません。牛肉の価格が2割下がり、工業製品の輸出が増える?レアアースやレアメタルを停められたら?輸出すべきものが作れるのか?今すでに、コピー機の業界などでも大はばに業績にそれがあらわれています。そうなった時、「すべての持てる技術を国外に出し、国外生産となり、輸出するべき設計や試作や開発・企画も出来なくなる」。

そういう人たちが権力にしがみつき、議員浪人の自分の息子を秘書にして、税金から1千万円以上も給料を払ったりするのは、もうおしまいにして欲しい。能力の無い舵取り人は国民を不幸にする。それは一人二人ではない、数知れない人々と未来の世代を不幸にするのです。出来る能力ある人たちに車線を渡すことをして欲しいと思います。隠居して古書店「遺癇書房」でもやってください。

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roughton

自然と調和して、自転車の上のEthicalな生活をして、健康長寿。

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