エリスリトール う蝕

キシリトールとエリスリトールの虫歯予防効果には共通点と違いがあります。両方ともミュータンス菌などの虫歯菌の増殖を抑え、虫歯菌のバイオフィルム形成を阻害する効果がありますが、研究によればエリスリトールの方がそれらの効果がより強力であることが示されています。

具体的には、エリスリトールは虫歯菌の増殖抑制効果やプラーク減少効果がキシリトールより優れており、歯周病菌のうち特に病原性の強い菌も攻撃することが分かっています。また、エリスリトールはほぼゼロカロリーで血糖値を上げず、副作用もほとんどないため、体への負担が少ない甘味料としても注目されています。

一方で、キシリトールは虫歯菌の性質を変えて虫歯を作りにくい菌にする特有の効果があり、長期継続摂取によって虫歯菌の割合を減少させるなど独自の予防効果も認められています。

総合すると、虫歯予防効果はエリスリトールの方が高いとする研究が多いですが、キシリトールにも独特の効果があり、両者は互いに補完し合う存在とも言えます.pet-happy+4​

子どもの虫歯予防に向いている甘味料としては、キシリトールが特に推奨されています。小児歯科の専門家もキシリトール配合のガムやタブレットを虫歯予防に効果的と認めており、虫歯菌の活動を弱め、唾液の分泌を促し、歯の再石灰化を助ける効果があります。特に乳歯や生えたての永久歯は歯質が弱いため、キシリトールによる環境づくりが重要です。

エリスリトールも虫歯菌の増殖抑制や酸の産生抑制で虫歯予防効果はありますが、現在のところキシリトールほど小児の虫歯予防に関する長期的な臨床データが豊富ではなく、年齢に応じた摂取方法の指導もキシリトールの方が進んでいます。

そのため、子どもの虫歯予防にはまずキシリトール製品（特に咀嚼や口にとどまる時間が長いガムやタブレット）が一般的に推奨され、安全面・使用実績の面で優れています。3歳未満の子どもにはガムは誤飲のリスクがあるため、キシリトール含有歯みがき粉など安全な形態での使用が望ましいです。

まとめると、子どもの虫歯予防にはキシリトールの方が適しているとされており、エリスリトールも虫歯予防には優れるものの、主に大人向けや補助的な甘味料として考えられる傾向にあります.axia-nakano+4​

キシリトールとエリスリトールの子ども向けの安全性を比較すると、どちらも日本や国際機関で安全性が認められている甘味料ですが、注意点があります。

キシリトールはFDA（アメリカ食品医薬品局）やWHO（世界保健機関）により安全性が確認され、子ども用のガムや製品にも広く使われている実績があります。ただし、ペット（特に犬）にとっては有害成分となるため取り扱いに注意が必要です。

エリスリトールもJECFA（FAO/WHO合同食品添加物専門家会議）において「1日の摂取許容量を定める必要がない」とされており安全性が高い甘味料とされていますが、子どもは成人より少量の摂取でもお腹が緩くなりやすい傾向があります。過剰摂取には注意が必要で、一度に大量摂取すると下痢を起こす可能性があります。2歳以上の子どもには適量なら問題なく使えるとされますが、幼児や乳児には慎重な使用が推奨されます。

総じて、子どもに対する安全性はキシリトールの方が長い使用実績と安全指導の蓄積があり、安心して使いやすい傾向にあります。エリスリトールは安全性自体は高いものの、消化器系の未発達な小さい子どもでは副作用のリスクを考慮し、慎重に扱うべきです.kawashima-ya+4​

エリスリトールが虫歯を防ぐメカニズムは主に以下の通りです。

1. 虫歯菌（主にミュータンス連鎖球菌）の増殖抑制
   エリスリトールは虫歯菌のエネルギー代謝を阻害し、菌の増殖を強く抑制します。キシリトールと比べても、エリスリトールの方が増殖阻害効果が高いことが研究で示されています。

2. バイオフィルム形成の阻害
   虫歯菌が歯の表面に形成するバイオフィルム（プラーク）を分散・抑制する作用があり、これにより菌の集合や活動が弱まります。

3. 酸の産生を防ぐ
   エリスリトールは虫歯菌の代謝で酸を産生させず、歯のエナメル質を溶かす酸性環境の形成を防ぎます。

4. 口腔内環境の改善
   プロテオミクス解析やメタボロミクス解析では、エリスリトールは虫歯菌の核酸合成やタンパク分解酵素の発現を抑え、菌の代謝活動を抑制し、口臭物質の産生も抑えることが分かっています。

これらの作用によって、エリスリトールは虫歯菌の生存と活性を強力に抑え、虫歯発生の要因を根本的に減らすことで虫歯予防に効果を発揮します.apollon.nta+4​

エリスリトールの抗菌作用は主に以下の細菌に効果があります。

• ミュータンス連鎖球菌を含む虫歯菌の増殖抑制

• 歯周病菌の代表的な菌種であるPorphyromonas gingivalis（ジンジバリス菌）のバイオフィルム形成抑制および代謝活性の低下

• Treponema denticola（歯周病原因菌の一種）への影響も一部報告あり

• 皮膚感染症の原因となるブドウ球菌（Staphylococcus pseudintermediusなど）、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌（MRSA）にも静菌作用が認められる

• 体臭原因菌として知られるCorynebacterium属各種、Staphylococcus epidermidisなどの増殖抑制

エリスリトールは菌の増殖を抑制する静菌作用を持ち、菌を死滅させるわけではないため菌叢のバランスを壊さずに作用します。この抗菌作用により虫歯菌や歯周病菌の活動を弱め、歯の健康維持や口臭改善に役立つことが示されています.pal-animal+4​

エリスリトールが抑制する具体的な口腔内細菌は以下の通りです。

• Porphyromonas gingivalis（ジンジバリス菌）：歯周病の主な原因菌で、エリスリトールは菌の増殖と臭気成分（VSC）産生を抑制

• Porphyromonas gulae、Porphyromonas macacae：主に犬の歯周病原因菌として報告され、エリスリトールはこれらも増殖抑制

• Streptococcus mutans（ミュータンス連鎖球菌）：虫歯の代表的原因菌で、エリスリトールは増殖を阻害

• Fusobacterium nucleatum（フゾバクテリウム属）：口腔内の多種細菌の共凝集に関与し、エリスリトールは共凝集を阻止

• その他、Staphylococcus属やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌（MRSA）なども静菌的に抑制

これらの菌に対し、エリスリトールは増殖抑制やバイオフィルム形成の阻害、菌の共凝集（菌同士が凝集してプラークを形成する現象）の抑制に効果を示し、虫歯や歯周病の予防に寄与します.kyodonewsprwire+4​