公益通報「報復人事」に刑事罰、消費者庁検討会が報告書
消費者庁は27日、公益通報者保護制度の見直しを議論する有識者検討会がまとめた報告書を公表した。通報者を解雇や懲戒にする「報復人事」を刑事罰の対象とし、企業への立ち入り検査や命令権を新たに消費者庁に認めるなど権限も強化する。同庁は2025年の通常国会に公益通報者保護法改正案の提出を目指す。
刑事罰は個人、法人のいずれも対象とする。個人は解雇や懲戒の意思決定に関与した人を想定する。法人には個人より重い罰を与える「法人重課」の規定を設ける方針だ。
通報窓口の担当者を指定する体制整備義務を果たすよう求めても従わない企業に対しては、新たに命令を発する権限を消費者庁に認める。命令に従わない場合は刑事罰を科す。
現行制度は担当者らが通報者の情報を漏らした場合、30万円以下の罰金を科すが、通報者に不利益な取り扱いをした企業側には罰則がなかった。有識者などから「不均衡だ」との指摘が出ていた。
ほかにも報告書は解雇・懲戒処分を受けた通報者の訴訟負担を軽減する策として、処分を不服として通報者が訴訟を起こした場合に、通報と処分の因果関係の立証責任を現在の通報者から企業側に転換する方針を示した。正当な理由なしに通報者を探索する行為の禁止も盛り込んだ。