<主張>赤旗の「押し売り」 全国で実態調査し対策を

社説

新宿区役所本庁舎=東京・歌舞伎町
新宿区役所本庁舎=東京・歌舞伎町

共産党の地方議員が自治体の庁舎内で、幹部職員らに同党の機関紙「しんぶん赤旗」の購読を求める行為が横行している。

東京都新宿区では、区の管理職の約8割が共産党区議から赤旗購読の勧誘を受け、このうち6割以上が心理的圧力を感じていたことが、区が実施した職員へのアンケートで分かった。

議員の立場を利用した押し売りにも等しい行為で、看過できない。執拗(しつよう)な勧誘は他の自治体でも問題化しているが、氷山の一角だろう。共産党議員は執拗な勧誘をやめるべきだ。政府や全国の自治体は実態を調査し、対策を講じてもらいたい。

新宿区のアンケートは8月、課長級以上の管理職を対象に行われ、115人が回答した。区の報告書によると、区議から機関紙購読の勧誘を受けた職員のうち35%が「購読した」、50%が「やむを得ず購読した」と回答した。断っても重ねて勧誘されたケースも複数あった。

報告書には、機関紙名は記されていないが、区は区議会総務区民委員会での答弁で、赤旗であると明らかにしている。

千葉市が3月に行った管理職への調査でも、機関紙購読を勧誘された職員の7割が心理的圧力を感じていたことが分かり、神谷俊一市長が市議会に対し、配慮するよう文書で求めた。

自治体の管理職は議会対応の関係上、議員の要求を断りにくい。議員側にその意図はなくても、勧誘自体が心理的圧力につながることは否めない。

しかも赤旗は共産党の最大の資金源である。同党の収入総額の約8割は購読料など機関紙関連事業で、それに自治体職員も協力させられているとなれば、政治的中立性を損なうことにもなろう。

神奈川県鎌倉市は平成26年度、「職務の中立性」を理由に政党機関紙などの庁舎内での勧誘を禁止する規則を設けた。共産党市議らが長年にわたり赤旗の勧誘、集金を繰り返していたことに対処するためだ。他の自治体も参考にしてほしい。

日本維新の会の吉村洋文代表は20日、自民党と連立政権樹立で合意した際の会見で、政治資金の問題では企業団体献金とともに、赤旗など政党機関紙の問題も協議する意向を示した。妥当であり、国会でも積極的に取り上げてもらいたい。

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