セガ・エンタープライゼスの マーケティング戦略_Number68 ⅚ 【注釈U - L】
【( 8½ )総目次 】
(68⅚)【注釈U-L】セガ・エンタープライゼスのマーケティング戦略
(68⅚)【注釈U-f】鋳型化【注釈U-e】白川総裁発言。【注釈U-d】IVRC2015。ケルズの書 /(68⅚)【注釈U-c】日加豪同盟。先住民族の知恵。ユリシーズ入口 /【注釈U-b_Pollux】死傷者ゼロ。レオ12世。なでしこの花 /【注釈U-b】シモネッタ。日本文化の波動つづき。八雲とブレイク
【注釈U-a】安全論証。← シラバス カナダの量子コンピュータ。一条天皇の辞世 /【注釈T】上宮法皇の e パレード 。『ユリシーズ』 ← シラバス /【注釈S】高松塚古墳 。← シラバス / ・・・【注釈L】「e五節の舞」 VRデジタル復元 / マニエリスム年表(重要!)
□ 【NTTマーケティング懇談会議事録】
「急成長を続ける セガ・エンタープライゼスのマーケティング(戦略) について」
1994年3月1日講演
講師: T 田博直(第5AM研究開発部マネージャー)
出席者: NTT K 林留雄副社長、NTT法人営業本部サービス開発部長 M 輪佳生取締役、
NTT画像通信事業本部企画部 H 原弘行部長、NTT法人営業本部 F 井利昭課長、
NTT営業本部マーケティング担当 N 村正敏部長、
NTTパケット通信事業本部 K 森稔彦事業本部長、NTT企画室 F 田聰部長、
NTTラーニングシステム I 場洋社長、ほか数名の皆さま
司会者: 文化科学研究所 M 條諭 常務取締役
(この社外講演は、文化科学研究所から広報部に来た講演依頼に、S木久司常務、N村俊一社長室長の裁可を経て T 田が行なった。ちなみに、文化科学研究所は、以前の「ぴあ総合研究所」。NTT社内で、直近の市場動向を研究する 現場部長級のマーケティング研究会として連続して開催されていたという。一つ前に、TSUTAYA の M 田宗昭社長が講演されたそうだ。ところで、テープ起こしに基づき 講演録として冊子化されるまでに半年間の余裕があった。たまたま 1993年末に 大阪で 大阪工業会のために行なった講演があり、実は、大阪では「郊外型アミューズメントセンター」や 各分門の(公開された)売り上げについて あまり詳しく話していなかったのだが、あちらも 半年後に冊子化するという お話を頂き、「ぼくたちの大好きなセガ」=「むかしセガ・エンタープライゼスという会社があった」には NTT講演の校正途中の原稿から いくつか補って 先に冊子化して頂いた。多数のゼロックスコピーをとって 社内に回覧したことは いうまでもない。それで、NTT の冊子ができてみると 話がだぶってしまっている。回覧しても、あまり反響がなかった。せっかく冊子にして下さった M 條氏には申し訳ないのだが、半 お蔵入りの状態になっていた。ところが、今回、特に 質疑応答を読み返してみると、あの時代が活写されていて読みごたえがある。そこで、1994年のセガ・エンタープライゼスの記録として 転載することにした。なお、当方の持参した「CATVを通じたゲーム電送実験」のデータは CATV会社の広報資料。また、NTT側の ご出席者の発言も 冊子化を前提に校正済み とのことであった。本Blogでは、 M 條諭氏の冊子編集に敬意を表し そのままの内容を掲載した。)
(この社外講演は、文化科学研究所から広報部に来た講演依頼に、S木久司常務、N村俊一社長室長の裁可を経て T 田が行なった。ちなみに、文化科学研究所は、以前の「ぴあ総合研究所」。NTT社内で、直近の市場動向を研究する 現場部長級のマーケティング研究会として連続して開催されていたという。一つ前に、TSUTAYA の M 田宗昭社長が講演されたそうだ。ところで、テープ起こしに基づき 講演録として冊子化されるまでに半年間の余裕があった。たまたま 1993年末に 大阪で 大阪工業会のために行なった講演があり、実は、大阪では「郊外型アミューズメントセンター」や 各分門の(公開された)売り上げについて あまり詳しく話していなかったのだが、あちらも 半年後に冊子化するという お話を頂き、「ぼくたちの大好きなセガ」=「むかしセガ・エンタープライゼスという会社があった」には NTT講演の校正途中の原稿から いくつか補って 先に冊子化して頂いた。多数のゼロックスコピーをとって 社内に回覧したことは いうまでもない。それで、NTT の冊子ができてみると 話がだぶってしまっている。回覧しても、あまり反響がなかった。せっかく冊子にして下さった M 條氏には申し訳ないのだが、半 お蔵入りの状態になっていた。ところが、今回、特に 質疑応答を読み返してみると、あの時代が活写されていて読みごたえがある。そこで、1994年のセガ・エンタープライゼスの記録として 転載することにした。なお、当方の持参した「CATVを通じたゲーム電送実験」のデータは CATV会社の広報資料。また、NTT側の ご出席者の発言も 冊子化を前提に校正済み とのことであった。本Blogでは、 M 條諭氏の冊子編集に敬意を表し そのままの内容を掲載した。)
司会者(M條諭 文化科学研究所 常務取締役):次世代メディア市場について NTTとしての見通しを立てるために、既存のメディア、及び、それに関わるサービスやソフトに注目してみようということで、当方で「マーケティング懇談会」を企画して、これまでに CD‐ROM、レンタルビデオ、パソコン通信などについてのお話を伺って参りました。今回は、ゲームです。/ アメリカでは、16ビットのゲーム機市場で、セガさんが任天堂を抜いてしまった という状況があって、今日は セガさんの業務用ゲーム開発の最前線におられる方に 生のお話をお伺いしようと企画しました。最近では六本木に GIGOという立派なアミューズメントパークができています。講師の T田さんは、業務用アーケードゲーム機の お仕事をなさっていらっしゃいます。バーチャルリアリティについても、かなり研究していらっしゃると伺っております。そこで今日は、そちらのお話を中心に展開して頂きまして、家庭用のゲームについては、後半で少し触れて頂き、もっとお知りになりたい場合は、質疑応答の中で、ということにさせて頂きます。T田さん、宜しくお願い致します。
○ はじめに
T田でございます。宜しくお願いします。最初に、弊社の開発について、社長の中山隼雄が どういう指示を出しているか を申しあげておきます。
先ず、アミューズメントセンターにあります「業務用のゲーム機器」は、バーチャルリアリティを開発方針として研究開発しろ と。そして、「一般コンシューマ用(家庭用)ゲーム機器」は、マルチメディア(注)を開発方針として研究開発しろ、と指示をされています。
私は、このうちの、バーチャルリアリティの部署の方に属しております。
私は、このうちの、バーチャルリアリティの部署の方に属しております。
(注)【マルチメディアのインタラクティブ】:「マルチメディア」のインタラクティブは、本Blogの「VRの3つの Reality」のインタラクティブと共通する。VRとの違いは ① 大画面の没入感が ないこと。これは、当時 14インチ真空管ディスプレイが「マルチメディア」の標準であったため。また、② 受け身のリアリティとしての VRのマルチセンソリーもないのだが、タッチペンの握り心地や ゲーム・コントローラの触覚がマルチメディアの記憶の一部になっている方も多いだろう。マルチメディアの人気の中心は(以下は独自説) ③ インタラクティブ性、つまり、プレイヤーが コントローラなどで 画面のキャラクターを直接操作して 必殺技を繰り出したり、その背景を変化させたり、照明などの演出を あたかも プレイヤーが直接 操作できるような錯覚を与える操作性だった。なお、NTTが マルチメディアの講演のために招へいしたネグロポンティ氏は ③ に 一切 言及しておらず、NTT「キャプテン」などを失敗させる原因の一つとなった。
参考までに、③ について 改めて 自説を文章化しておくと、プレイヤーが以下に挙げた画面の内容(コンテンツ、バーチャルな まとまり)について、直接操作できるという幻想を持つこと。 ・ 背景( 舞台設定 ) / 音楽 / 音声、 ・ 登場人物( キャラクター )の動き、 ・ 物語( シナリオ ) / 演出 / 編集、そして、 ・ カメラアングル / 照明、 など。
ところで、本日、用意しましたお話ですが、
・ 街のアミューズメントセンター(他社のゲームセンターを含めて)が、どう変化して来ているか、
・ それに伴って、われわれ 研究開発部の仕事が、どのように変わってきたか、
の2つについて用意して来ました。これらを中心に、お話をしたいと思います。
・ 街のアミューズメントセンター(他社のゲームセンターを含めて)が、どう変化して来ているか、
・ それに伴って、われわれ 研究開発部の仕事が、どのように変わってきたか、
の2つについて用意して来ました。これらを中心に、お話をしたいと思います。
なお、マルチメディアですが、CATVを通した「ゲーム・オン・デマンド」の実験を始めている部署が弊社にありますので、その資料も持って参りました。また、マルチメディアの海外展開については、米国では現在、家庭用ゲーム市場の 57%をセガが占有している のですが、そのきっかけは、米国で流したCMの成功が大きかったからです。今日は、その 比較CMのビデオも持参しました。ただし、マルチメディアの分野につきましては、最後に少しだけ触れるようにしたいと思っています。
○ 風営法がアミューズメントセンターに与えた影響
今日はOHPを何枚か用意して来ました。お手元にそのコピーが配られていますので、それを使いながらお話します。
まず、アーケード(業務用)ゲームが設置されている施設、「アミューズメントセンター」(社内で「AM施設」と呼びます)についてです。以前は ゲーセンと呼ばれていましたが、実は1985年を境に、かつての「ゲーセン」のロケーションは、セガの直営施設から完全に無くなりました。これを、最初にご説明します。/ 業務用ゲーム機の、過去の市場規模の資料を見て頂くと、84年、85年のところで、売上額が急に「がくっ」と落ちていますが、これが いわゆる「風営法ショック」です。特別な許可なく運営できていたゲーム施設でしたが、「風俗営業法」の規制対象である と、警察から取り締まられました。「夜中もやっているだろう、あなたたち」ということで、ホステスさんのいる飲み処と一緒にされた括られ方には問題がありましたが、とにかく、この法律が 85年に施行されました。
こちらのグラフ(ゲーム業界誌の集計した業界全体の売上げ)には、風営法以前の売上が ほとんど載っていませんが、ゲーム機業界全体の売上は、右肩上がりでした。それが「がくっ」と下がりました。それ以前は、(皆さんも おやりになったと思いますが)インベーダーゲームが並んだ、せいぜい100坪のゲームセンターで、顧客は18歳を中心とした10代20代の男性が中心。女性は 本当に数えるほどで、5%以下の割合です。それが風営法以前の状態です。
風営法が施行され、16歳未満のお子さんは 18時で帰って下さい。18歳未満の方は 20時で、と、いくつかの規制ができました。しかし 実は、それが われわれの業界にとってはラッキーでした。汚いゲーセンは、やっていけなくなったのです。また、それと全く同じタイミングで、女性に気に入られるような業務用のマシンが幾つか市場に登場しました。それで、売上はここで一度「がくっ」と下がりますが、ここからの売上はずっと右肩上がりが回復して、(94年の)現在、ここには 5千億円という数字が書いてありますけれど、実際には、業界全体で 6千億円とも7千億円市場とも言われています。
○ 郊外型アミューズメントセンターの誕生
このようにアミューズメントセンターが大きく変化した理由については、これは 私の独自の分析ですが、2つ大きな要因があったと思います。/ ひとつは、今申し上げた 女性客の増加です。女性に好まれるマシンが、85年以降に市場に導入され始めました。/ もう一つは、郊外型アミューズメント施設 という市場が開発されたことです。これについては、セガが業界でも先鞭をつけて、88年から施設展開を始めました。
「郊外型アミューズメント施設」というのは何かと言うと、郊外ですから当然、アクセスは車です。大きなショッピングセンター に広い駐車場があって、そこに 外食施設がある。そうした場所にアミューズメント施設を併設しますと、ちょうど アメリカの ロードサイドビジネスを日本に移したような具合で、家族でそこに出かけて買い物をする。食事をする。そこにアミューズメントもある。そんな施設を日本ではセガが逸早く開拓し、現在 郊外型の施設は弊社の直営店だけで 200箇所以上ありますが、これが業務用部門の売上を支えています。(注)
それでその郊外型の施設にはどのような機器が置いてあるのかというと、例えば、真中に大きなメリーゴーラウンドが設置してあり、子供さんが、おかあさんと一緒に乗っておられる。郊外ですから、午後の早い時間は お子様連れのおかあさんが中心です。それに対応して、設置してあるマシンも幼児向けのキディライドとか、ヤングアダルトの どちらかといえば女性向きのマシンだったりで、皆様が普通イメージされる男性向けの業務用機は、すみっこに ごく少数しか、こうした郊外型の施設には置いてありません。
それでその郊外型の施設にはどのような機器が置いてあるのかというと、例えば、真中に大きなメリーゴーラウンドが設置してあり、子供さんが、おかあさんと一緒に乗っておられる。郊外ですから、午後の早い時間は お子様連れのおかあさんが中心です。それに対応して、設置してあるマシンも幼児向けのキディライドとか、ヤングアダルトの どちらかといえば女性向きのマシンだったりで、皆様が普通イメージされる男性向けの業務用機は、すみっこに ごく少数しか、こうした郊外型の施設には置いてありません。
(注)AM施設(業務用部門)の売上が現金収入であるため、そのキャッシュフローを活用すれば、セガはソニーと同様に「銀行」を経営することもできる、と金融業界の方から 何度か 筆者は直接に指摘された。(例えば、元ナショナルウエストミンスター銀行投資担当部長や 東洋大学経済学部教授からは、異業種からの銀行参入が顕著だった 97年頃に 勧められた。)機関投資家の セガに対する評価も、もし何かの理由で経営判断の誤りから かなりの損失を仮に出したとしても、AM施設のキャッシュフローで立ち直れる、と見られていた。つまり、AM施設こそがセガの強みだった。家庭用のゲームについても、業務用機から移植された作品が 安定した売上を見せていた。
○ 郊外型施設の目玉機器
こうした郊外型の施設をイメージして頂くために、ビデオを見て頂きますが、実は われわれR&D 研究開発部では、こうした施設のために「目玉機器」を開発しています。普通、郊外型施設と言いますと 250坪以上ですが、もっと広い、300坪 500坪の施設もあります。すると、小さなロケーションのように、機械がただ並ぶだけですと 施設のコンセプトが不明瞭で締まりがない。それで、メリーゴーラウンドを真中に置いた店舗があるのですが、それは「子供連れのおかあさんの お店です」という宣伝です。しかし、ヤングアダルトに来て頂くには 少々つらい。そうしたことから、AS-1というシミュレーションライドを作りました。郊外型のお店を設計している部門と 何度も議論して、われわれの部署で開発した 体感型の業務用ゲーム機ですので、少し詳しく、ここでご紹介したいと思います。
AS-1は、8人乗りの「油圧」で動く機器ですが、目の前に100インチの画面があって、かなり激しく動きます。乗客の皆さんの手元には 赤いスイッチがあり、スイッチを押すと画面の中に向けてミサイルが飛んで行く。この作品のタイトルは『スクランブル・トレーニング』(93年)です。
ところで、AS-1は、レーザディスクとROM(揺動データ)を交換することで同じ筐体の使い回しができる、セガで初めての「汎用ゲームマシン」として設計されました。それで、外から見ているだけでは、何を上映しているのか が分かりません。そのため、機器の表で予告編を上映しておりまして、予告編を見終わったら中に入って頂きます。座席は前列に4人、後列に4人。その乗客の皆さんには、全員が宇宙戦闘機の訓練生になって頂き、訓練のために宇宙に出たところで突然、敵機の襲撃を受けて、やむを得ずにミサイルで応戦する、といった 7分間のストーリーが展開します。
背景のCG映像に、ゲーム基盤の絵をスーパーインポーズして重ねる作り方がしてあるのですが、ここでは背景のCGの映像をビデオで見て頂きます。
ビデオ上映:AS-1『スクランブル・トレーニング』の一部
補足しますと、このストーリーにはいくつか「分岐」が用意してあります。最初は専門のパイロットに宇宙に連れて行って貰うのですが、いろいろあって、帰りには乗客のうちの一人が操縦者になって地球へと戻ってくる。着陸に失敗した時には、椅子の下に揺動装置が仕掛けてありますので、ビデオでご覧の通り「ワーッ」という感じになって、これは、なかなか迫力があります。
もし機会がありましたら、AS-1は「八景島シーパラダイス」に設置してありますので、是非ご覧になってみて下さい。特に、ファミリー向けに開発した機器です。
○ 高い売上を誇る郊外型施設
AS-1は、8人乗りの「油圧」で動く機器ですが、目の前に100インチの画面があって、かなり激しく動きます。乗客の皆さんの手元には 赤いスイッチがあり、スイッチを押すと画面の中に向けてミサイルが飛んで行く。この作品のタイトルは『スクランブル・トレーニング』(93年)です。
ところで、AS-1は、レーザディスクとROM(揺動データ)を交換することで同じ筐体の使い回しができる、セガで初めての「汎用ゲームマシン」として設計されました。それで、外から見ているだけでは、何を上映しているのか が分かりません。そのため、機器の表で予告編を上映しておりまして、予告編を見終わったら中に入って頂きます。座席は前列に4人、後列に4人。その乗客の皆さんには、全員が宇宙戦闘機の訓練生になって頂き、訓練のために宇宙に出たところで突然、敵機の襲撃を受けて、やむを得ずにミサイルで応戦する、といった 7分間のストーリーが展開します。
背景のCG映像に、ゲーム基盤の絵をスーパーインポーズして重ねる作り方がしてあるのですが、ここでは背景のCGの映像をビデオで見て頂きます。
ビデオ上映:AS-1『スクランブル・トレーニング』の一部
補足しますと、このストーリーにはいくつか「分岐」が用意してあります。最初は専門のパイロットに宇宙に連れて行って貰うのですが、いろいろあって、帰りには乗客のうちの一人が操縦者になって地球へと戻ってくる。着陸に失敗した時には、椅子の下に揺動装置が仕掛けてありますので、ビデオでご覧の通り「ワーッ」という感じになって、これは、なかなか迫力があります。
もし機会がありましたら、AS-1は「八景島シーパラダイス」に設置してありますので、是非ご覧になってみて下さい。特に、ファミリー向けに開発した機器です。
○ 高い売上を誇る郊外型施設
写真は「広島アルパーク」(90年開業)です。
実は「アルパーク」が、中山社長を怒らせた、という話がありました(笑)。オープンする前に売上予測を立てますけれど、月に数千万円の売上がある、と考えてオープンしたところが、蓋をあけてみると、最初の一ヶ月に その4倍の収入がありました。ところが社長は、それを喜ぶどころか、担当の役員を呼びとめまして、売上予測というのはプラス・マイナス 20%以内に収めるものだ(笑)と。計画値の4倍も売上があった というのは、売上予測ができていないからだ、と言うので、叱られなくても良いはずのその役員は、お気の毒に叱られて 苦笑いをしておられました。
どうして4倍の収入があったのか。ということですが、従来通りの、子供連れのおかあさんを中心に売上を計算したところが、アルパークには(目玉機器として)くまさんの運転するミニミニ電車が屋上に 走っている。これが施設の性格付けになって、その効果で 午前には奥さんどうしが、お茶を飲みに来られる。午後になると子供の手を引いて、おかあさんが来られる。夕方になると高校生の男女が夫々グループで来店。夜に入ると20代前半のサラリーマンがデートに訪れる・・・。単純に言えば一日四毛作になって、それだけの売上が上がったということです。週末には、もちろん おとうさんも一緒に、ファミリーで来店されています。私見ですが、目玉機器によって 施設全体の性格が明瞭になることで、各ゾーニングについての特色も際立って意識されたのではないか と思います。
次の施設は、千葉県にある「オーツーパーク」(88年開業)です。子供連れのおかあさん中心の施設ですから、幼児向きの乗り物がこのように並んでいます。この施設のもう一つの特徴は、とても大きなガラス窓です。これまでのゲームセンターには「不良の溜まり場」というイメージがありましたが、ここは、窓を大きくしました。内装も、明るくしてあります。それで、街場のゲームセンターに行ってはいけない、と子供を叱るおかあさんが、あそこだったら行って宜しい、と言っておられるそうです。ですから高校生のグループのたまり場になっても、小さい子供たちの親御さんが心配されません。
ここでセガの売上を見てみますと、93年3月の決算で総額が 3千469億円でした。その内で、こうした郊外型を含む国内のアミューズメント施設を運営するAM施設統括本部(施設の運営収入が中心です)の売上は 589億円でした。対前年比で 42%伸びました(会社概要の公式数字)。それから、セガの業務用ゲーム機を同業者の業者さんに向けて販売しているのが 機器販売部門ですが、こちらは、国内海外向けの売り上げをあわせて576億円。国内の伸びは、対前年比が 59%増。海外への機器の販売も、52%の増加でした。その前年も、同じくらい売上げが伸びましたので、「不況で、どこも倒産寸前だ」と言われる中、「なんで」とセガが目立った理由の一つが、実はこれだったのです。(ちなみにコンシューマ機器販売部門=家庭用ゲーム機器関連は、93年3月決算で、2千293億円の売上でした。)
セガの郊外型店舗のイメージを持って頂くために、ビデオをもう一つ見て頂きます。
ビデオ上映:『セガ・エンジョイント宣言』
ビデオにあったような、いろんな規模のお店のあることが お分かり頂けたかと思います。
○女性客獲得に向けての試み
次回に続きます。
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日本の品格 は「四書五経」が作りました(Ⅶ. ) VR之極意:③
本Blog頁は鋳型化されました。
フェロー武田 (68⅚)【注釈U-L】
セガ・エンタープライゼスのマーケティング戦略。2025.09.18
【( 8½ )総目次 】