フィーロ育成計画・急
「私共が提供したくじには勇者様が購入した卵の内容は確かにフィロリアルだと記載されております」
「これが?」
「クエエエ!」
お義父さんがフィーロたんにご飯を差し上げてますぞ。
それからお義父さんは魔物商との演技を続けて下さいましたぞ。
フィーロたんは少し小首を傾げつつお姉さんのお姉さんを睨んでおりました。
何でもお義父さんの話だとお義父さんの隣に成長した女性が必要なんだそうですぞ。
居ないとフィーロたんは大人の姿になってしまうとか。
ウサギ男やワニ男をお義父さんが購入したループでのフィーロたんの背格好が大きかったのはこれが原因ではないかとの話ですぞ。
そういえばメルロマルクに留まった際のサクラちゃんは成長するまで……周囲に大人の女性が居ませんでしたな。
だから成長してしまったという事なのですな。
ですがユキちゃんやコウは……俺がお世話をしていましたな。
この法則を利用した場合、例えばお義父さんにコウを預けて天使のお姿になるまで育てて頂いたらどうなるのでしょうな?
目が青くて背が高いコウになるのでしょうか?
ユキちゃんはどうなるのか……ユキちゃんの場合はホワイトスワンみたいになってしまいそうな気がしますな。
いろんな可能性があるのですな。
フィロリアル様一人でもこれだけの差があるのですぞ。
「じゃあ、明日には迎えに来る。それまでに答えを出しておけよ」
この後、フィーロたんは置いていかないでとばかりに叫ぶのですぞ。
「クエー」
おや? いってらっしゃいとばかりに手を振っております……ぞ?
何はともあれ……一旦避難ですな。
フィーロたんが暴れるとの話もすでにしてあるので魔物商の方も準備をしていたのですぞ。
後はむふふ……夜になればフィーロたんとの再会ですぞ。
「さっきからずっと薄ら笑いを浮かべて気色悪いですね」
「まったく……とんだ茶番に付き合わされる方にもなってほしいものだ」
「必要な事らしいが大変そうだな」
「わう?」
ウサギ男たちがそんな俺をサーカステントの方からブツブツ言ってますが知りませんぞ。
「あれが元康様の大事なフィロリアルなのですわね」
ヒィ……ユキちゃん。なんか気配が怖い気がするのは気のせいですかな?
ウサギ男に爆笑させる際に匂いを完全に消していましたが今はユキちゃんが俺と同行していますぞ。
「そうですぞ。仲良くしてあげてほしいのですぞ」
出来る限りフォローですぞ。
ああ、ホワイトスワンのユキちゃんはライバル意識はあっても怖い気配はしてませんでしたぞ。
俺の気のせいですかな?
「遠目から見た限りではコウのメス版ですわ。いえ、少し元気なように見えますわね」
「ユキちゃん。フィーロたんは純粋なのですぞ。コウも純粋、みんな純粋な天使なのですぞ。もちろん、ユキちゃんもですぞ」
みんな純粋な天使なのですぞ。
そういえば今回のループのコウはゾウとお姉さんたちの影響からか今までのループに比べて真面目な印象を受けますな。
小さな子を守りたいという意識が前面に出ていて確かに他のループより大人しいですぞ。
ですがお義父さんにおしおきされないので良いと問題は無いのですぞ。
お姉さんたちと遊ぶのが大好きな子に育って下さいましたからな。
「わかりましたわ。このユキがしっかりとリーダーとして導きますわよ!」
「わう……」
「ヴォルフ、岩谷様に会いに行きたいのは分かりますけど今下手に会いに行くと槍の勇者に追いかけられますよ? 根に持たれたら何をされるか……きっとあの走行でどこまでも追いかけてきます」
「キャイン……くーん……」
後ろがうるさいですぞ。
「クエークエクエ」
おおフィーロたんがお行儀よくテントで待機してますぞ。
誰かとしゃべっているように見えるのは気のせいでしょうな。
そうして夜に差し掛かった所でフィーロたんが退屈だからか檻を蹴って騒ぎ始めました。
なのでお義父さん達がやってきましたぞ。
もちろん打ち合わせ通りの流れではありますな。
「どうしたんだよ。明日まで預ける約束だっただろ?」
「そのつもりだったのですが、勇者様の魔物が些か困り物でして」
「クエエエ!」
遊ぼうよ! とばかりにフィーロたんが檻の中から声を上げてますぞ。
ああ、懐かしきあの時のループですな。
お姉さんのお姉さんが居れば大丈夫というのが分かった瞬間だったのですぞ。
「……さま」
ああ、念願のフィーロたんですな。
お義父さん達の研究でフィーロたんになるかどうかの証明が出来る瞬間ですぞ。
「ん? いま、聞き覚えの無い声が聞こえなかったか?」
「私もそのような声が聞こえた気が」
「あらー?」
お姉さんのお姉さん、どこを見てるのですかな?
それよりも天使姿のフィーロたんですぞー!
俺は物陰から飛び出してフィーロたんに駆け寄りますぞ。
フィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんお義父さんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんお義父さんお義父さんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんお義父さんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんフィーロたんお義父さんフィーロたん!
『フィーロ連呼の中に何個俺を呼ぶ気だ! 集中しろ!』
『わー……』
脳内のお義父さん達がなぜか引いてる姿が浮かびますがきっと気のせいでしょう。
「フィーロたあああああああああ――」
「な、なになに!? やあああああああ――残念! 私だ!」
「何ぃ!? ですぞ!?」
ガシっとフィーロたんを抱きしめて頬ずりをしていた所、フィーロたんだと思っていた相手がバリィ! っとまるで怪盗が変装を解くかのように顔の皮を捲って正体を現しました。
そこに現れたのは……顔だけですがお姉さんの毛髪を元に作られたラフ種ですかな!?
フィーロたんの体形に顔だけラフ種という奇怪な化け物ですぞ。
「ぎゃああああ!? ですぞ!?」
「久しぶりだな、槍の勇者」
これはいったいどういう状況なのですかな!?
どうしてフィーロたんに抱き着いたはずなのに中型ラフ種が居るのですかな?
いえ、ラフ獣人姿のお姉さんですかな?
「何やってるのー?」
その後ろでフィーロたんが小首をかしげて俺たちを見てましたぞ。
こ、これは一体!?
「お前は一体何者ですかな!?」
「釣れない返事ではないか。既に私が来ているのを理解しているのではなかったのか?」
ボン! っと首から下がフィーロたんだったラフ種が中型ラフ種体形になって二足歩行で立ってますぞ。
「えっと……元康くんの知り合いだって話だけど、知らない人?」
「こいつは恐ろしく鈍感であるからな。私が何者なのかを間違えるだろう」
「お姉さんですかな?」
「残念、ハズレだ。訂正を要求する」
こ、この口調は……いや、それよりも今はフィーロたんですぞ!
「フィーロたーん!」
と、後ろに居たフィーロたんに俺はダイブですぞ!
「にゃああああ――残念、それも私だ!」
バリィ! っとフィーロたんだと思ったのにまたラフ種でしたぞ!
一体何なのですかな!?