ウサウニーデスぴょん
「エイミングランサーⅩ! ブリューナクⅩ! グングニルⅩ! リベレイション・ファアアイⅩ! リベレイション・ファイアストームⅩ! リベレイション・プロミネンスⅩ! ハハハ! 弱い! 弱過ぎるぞぉおおおおおおお!」
「「「わー! とー!」」」
サクッとシルトヴェルト方面の山奥で颯爽と狩りへと出かけましたぞ。
ウサギ男はステータスが低めなのが問題と分析されていましたからな。
今のうちに底上げしてやりましょう。
ワニ男がワニ男になったのを何やら羨ましそうにしていたのでステータスアップは自信につながるのですぞ。
「は、話に聞いてましたが、これは蹂躙――ぎゃああああああ!」
ウサギ男は騒がしいですな。
フィロリアル様の背に乗るのは慣れている癖に騒いでますぞ。
そんな顔をしてはウサギの可愛さは出来てませんな。
狩りの途中でいったん休憩ですぞ。
「さて、ウサギ男。お義父さんに可愛がられる目つきの研究もすべきですぞ。下手な媚びは見破られてしまいますからな。心の底から撫でて下さいますな? と言った目つきで見上げつつ目をキラキラさせるのですぞ」
もちろん、妙な雑念をもってお義父さんに接してはいけません。
純粋な思いで撫でて貰うのが良いのですぞ。
じゃないとそっとお義父さんは距離を取るのを俺は知っております。
フィロリアル様でさえも疑われない程の真心を込めて撫でて貰おうという思いで接するのですぞ。
「ぜぇ……ぜぇ……あなたは……ボクに、何を……教えてるのか、理解に苦しみます」
「お義父さんになでて貰う方法ですぞ。それと早く俺を信用しろですぞ。じゃないと強化が施せずに蹴られて痛い想いをするのですぞ」
「妙な役割を与えないでください!」
何よりフィーロたんの目を掻い潜るほどの演技が必要なのですぞ。
毎度サーカスの演目で迫真の演技をするウサギ男こそ適任、ちゃんとやり遂げさせるのですぞ。
ウサウニーになった俺だからこそ、ウサギ男の中途半端な演技を許すわけにはいきません。
俺の代役はそれほどに厳しいのですぞ。
「無理難題を……」
「早くするのですぞ」
そんな感じで日が暮れるまで俺はウサギ男の強化をしながら来るべき時の為に演技指導をしたのですぞ。
「うう……疲れた」
帰ってくるなりウサギ男はサーカスで割り振られたベッドに倒れこんだのですな。
「随分と厳しい訓練だったようだ」
ワニ男はすでに帰ってきているようでしたぞ。
「内容……自体は早く動き回るフィロリアルの背に乗ってついていくだけだったのですけどね……妙にあざ笑う演技を満足いくまでさせられて……うう」
「はあ……」
「さて、底上げはこれくらいですな。これで少しはタフになったと思いますぞ」
「一日でそこまでして貰えたのなら……儲けものか」
「全くうれしくないですけどね」
何やらウサギ男の愚痴が聞こえましたが知りませんぞ。
そんな訳で仕込みは大分出来てますな。
明日にはフィーロたんが孵化する頃合いでしょう。
お義父さんにお会いしたい気持ちを出来る限り抑えなければいけないのは確かに辛いのですな。
ちゃんと俺のお願いした通りの行動をしてくださっているか、妙な連中に絡まれていないか等、心配してしまいますぞ。
クズを刺激したので困り所ではありますな。
ですがお義父さんの事ですぞ。
何か異常事態が起こった場合、俺に伝達して下さるでしょう。
とは思いつつこのまま眠るのは……落ち着きませんぞ。
そうでしたな。
決めていたことを実行に移すとしましょう。
では樹……いい加減、ウザかったのでその報いを受けさせてやりましょう。
「ははは、ではウサギ男、ぐっすりと休んでいるのですぞ。ではさらばですな」
「またどこかへ出かけるみたいですよ」
「止めるべきか……? いや、普段からどこかへ出かけるかフィロリアルと遊んで寝るかしかしてないか、あいつは」
という感じに俺は再度出発しました。
いえ、行動を開始ですぴょん!
とある宿ですな。
当たりを付けた町の酒場を適当に探し回ったら案の定とばかりに燻製共がどんちゃん騒ぎをしていたのですぞ。
報奨金で英気を養うという名の宴会をしていたようですな。
「イツキ様、本日もイツキ様のお陰で悪に正義を教えることが出来ました!」
「ええ! あいつらもこれで改心するでしょう」
「国の奴隷もこれでまた救われることになりますね!」
燻製は酒を飲みつつ序列交代の危機を回避するために樹への媚をしていたようですぞ。
「そうですね。ですがもっと頑張らねば悪は居なくなりませんか……」
樹の方は考えているようで大した事を考えてない顔をしてますぞ。
そんな樹が見えない所で燻製共は反吐が出るような顔をしてますぞ。
本音が丸見えですな。
奴隷を救って何になるって顔ですぞ。
「イツキ様、人さらいをしているサーカスがあるそうですよ。調査をしなくてはいけませんね!」
「……尚文さんの所でしょうかね。あの方々は証拠を隠すのが上手なのか見つからないようですので入念に下調べが必要です」
樹が毎度、俺たちが開催するサーカスに監査に来るのですかな?
勘弁してほしいですな。
「何にしても……僕はそろそろ部屋に戻って休みますね」
樹は仲間たちとの宴会を切り上げて宿の部屋に戻るようですぞ。
これはチャンスですぞ。
樹に気付かれない様にファイアフラッシャーの魔法で隠れて監視をしている奴を始末し、樹を追いかけました。
ツカツカと樹は宿屋の割り振られた部屋へとやってきて鍵を使って開けたのですな。
ギィ……と扉が開けられて暗い室内に廊下からの明かりが差し込みますぞ。
そのまま樹は部屋に入ってきた所で……。
「――っ!? 何者ですか!」
明かりが差し込んだ所で室内にもう一人いるのに気づいて樹が声を出しました。
「夜分に失礼するの――」
ですぞと言ったらばれますな。
俺は一歩踏み出し、姿を見せますぞ。
その姿は全身が毛皮に覆われ、耳はピンと長く伸びたかわいらしい姿ですぞ。
更にサンタ帽子を被った……モフモフ全開のウサウニー姿ですぞ。
そう、俺はフェアリーモーフで姿を変えて樹の元へとやってきたのですぞ。
っと、思考が脱線しましたな。
このままですぞと言ったら樹に見破られる可能性は十分にあるのですぞ。
樹にはきついお灸をすえるべくこうしてやってきてやったのですからちゃんとばれないように演技をすべきですな。
なのでウサウニーのキャラクターを演じる意味で語尾を追加ですぞ。
「デスぴょん」
そう、ですぞはいけないのでデスピョンが良いですな。
「始めましてデスピョン。俺の名前はウサウニーデスピョン」
「は、はあ……」
樹が俺の姿を何度も確認してから返事をしますぞ。
「一体何なんですか。ここは僕の部屋ですよ?」
「その通りデスピョン。ところで君は弓の勇者の川澄樹くんで良いデスピョン?」
白々しいですが大事な自己紹介なのですぞ。
なので知っては居ますが樹に問いますぞ。
「……いいえ、違いますよ」
ほう、ここでも身分を偽るのですな。
確か樹の言い分では勇者という立場を容易く風聞せずに隠しているのでしたな。
知られているとそれだけ正義の活動がし辛くなるとか面倒くさい話のようですぞ。
「嘘はいけないデスピョン。まあ、川澄樹くんが正体を隠していることはどうでも良いですピョン。こっちはすでに調査済みですピョン」
「何なんですかあなたは」
「俺ですピョン? ウサウニーデスピョン!」
「それはもう聞きました。そのウサウニーさんが一体どうして僕の部屋に侵入してるか聞いているんですよ!」
そんなの壁抜けで簡単に先回り出来ましたからな。