第三者の振る舞いが鍵
差別問題に詳しい大東文化大学文学部の特任教授・渡辺雅之さんはこう指摘する。
「マイクロアグレッションが起きるときには、必ずと言っていいほど権力勾配があります。マジョリティーが無意識に優位性を持ち合わせ、悪気はなくとも相手を下に見ているからこそ起きる」
さらに渡辺さんは、マイクロアグレッションはヘイトスピーチやジェノサイドにつながっているとも指摘する。無関心や、気づきにくい先入観、偏見からマイクロアグレッションが生まれ、日常に差別の種が潜んでいく。それが制度的、文化的差別とリンクし、ヘイトスピーチ、ヘイトクライムが起きる。さらにエスカレートすると紛争や内戦の中でジェノサイドが発生する。
「差別はエスカレートする性質を持ちます。だからこそ、マイクロアグレッションを軽く見ないこと、その問題や加害性に気づくことが大切です」
加害者とならないために、どうしたらいいか。流れてくる情報を鵜呑みにしたり、属性による決めつけをしない。相手の状況を想像し、話すときに「〇〇人は~」「男(女)は~」などと主語を大きくしないなどが考えられる。だが、無意識に傷つけるのを、どう気を付けたらいいのだろう。渡辺さんは「バイスタンダー、つまり第三者がどう振る舞うかが鍵になる」と話す。
バイスタンダーとは「傍観者」の意味だが、たとえば急病人が出て救急車を呼ぶ間、その場に居合わせた人が救命救急などの措置を行うことを指す。マイクロアグレッションも、起きていると気づいた第三者が介入したり、傷ついた人をケアしたりするのが、できることの一つだという。
「足を踏んでいる方は気づきにくく踏まれている方は言いにくい。傷を深くしないためには、そこにいる第三者や見聞きした人がどう振る舞うかにかかってくると思います」
バーヌさんは「マイノリティーがひとつの答えを持っているわけではないので、一緒に考えてほしい」と話す。
「マイノリティーといってもその背景や経験は様々です。信頼関係ができてようやく話せることも出てくるので、目の前の相手とゆっくり関係を築きながら、マジョリティーも一緒に背負い、悩み考えてほしいと思います」
(編集部・大川恵実)
※AERA 2025年11月3日号















