交通利便の錯覚
2025年10月1日現在、松戸市の人口は50万1080人で、千葉県内では千葉市(98万7361人)、船橋市(65万1220人)、市川市(50万2554人)に次ぐ第4位である。東京のベッドタウンとして発展してきた歴史から、「交通の便がよい街」という印象を持たれやすい。
【画像】「えぇぇぇぇ!」 これが40年前の「松戸駅」です!(計13枚)
しかし、首都圏の50万人前後の自治体と比べると、必ずしも圧倒的に便利というわけではない。むしろ、便利そうに見えて実際には物足りなさを感じる要素がいくつもある。その理由を丁寧に確認していく。
新幹線3駅には直通という利便性
松戸市は交通の便が悪い市ではない。市内には
・JR常磐線
・JR武蔵野線
・京成松戸線(旧・新京成線)
・北総線
・流鉄流山線
・東武アーバンパークライン
の6路線が通り、駅数は23駅に上る。
松戸の強みは、鉄道ネットワークの縦軸が太いことだ。主力の常磐線(上野東京ライン)は上野・東京・品川という新幹線停車の3駅に直通し、本数も多い。市川や船橋も総武快速で東京・品川に直通するが、3駅まとめて強いのは松戸だけである。
とくに東京・丸の内~大手町圏へは、常磐線各停と東京メトロ千代田線を使えば大手町駅直通でアクセス可能だ。さらに日比谷、霞ケ関、国会議事堂前、赤坂、表参道、明治神宮前(原宿)などの主要駅に乗り換えなしで到達できるのも魅力である。
松戸にはさらに2本の「槍」がある。東松戸駅から南北に伸びる北総線と、東西に伸びるJR武蔵野線である。北総線は京成・都営浅草線・京急に直通し、日本橋、東銀座、新橋を経て品川や羽田空港へ延びている。
JR武蔵野線は西船橋、南船橋で京葉線に接続し、東京駅の京葉地下ホームに至る。北総線の下りでは成田空港方面にもアクセスできる。東松戸駅には追加料金不要の「アクセス特急」も停車し、成田空港や時間帯により羽田空港方面にも直通する。
2つのハブ駅の距離感が〝便利そうで今ひとつ〟
上で挙げた条件だけを見ると、松戸市は
「超優秀なのでは」
と思えるかもしれない。しかし、松戸駅と東松戸駅のふたつのハブ駅は微妙に離れており、直結していない。船橋の船橋駅と西船橋駅、市川の市川駅と本八幡駅は総武各停の隣駅だが、松戸駅と東松戸駅は乗り換えが必須で、両ルートの所要時間はいずれも概ね16~20分、時間帯によっては20分を超える。
松戸駅を最寄り駅とする住民は多く、駅から2km前後離れたエリアでは、
「駅までバスでアクセスする人」
も一定数いる。その層にとって、東松戸駅はドアtoドアで60分かかる遠い駅だ。松戸駅と東松戸駅の間には路線バスもあるが、定時運行でも鉄道より時間がかかる。渋滞のリスクもあり、忙しい朝には向かない。
したがって、松戸駅から東松戸駅経由で羽田空港に行くよりも、多くの時間帯では直接品川駅に出て京急に乗り換えたほうが早い。北総線で接続する日本橋、新橋、東銀座へも、直接都心に出て乗り換えた方が概してスムーズである。松戸駅周辺の住民に限らず、多くの住民にとって東松戸駅を経由する利点は、成田空港に向かう場合など極めて限定的である。
加えて、北総線は運賃が高いというデメリットもある。長年
「日本で最も高い水準の運賃」
といわれてきた北総線は、2022年10月に値下げされたが、JRや地下鉄経由に比べると相対的に割高なケースが多い。松戸駅と東松戸駅の中間に住む人にとっても迷うポイントだ。
例えば、東松戸駅から新橋に行く場合、北総線から都営浅草線に直通するルートより、武蔵野線・常磐線経由で松戸駅を通って都心に回り込む方が安くなる場合もある。離れたハブ駅は広域の人々に都心までの足を提供するメリットがあるが、両駅の恩恵に預かれる人は少なく、
「便利そうで今ひとつ」
という印象が残る。
ボトルネックの共有が〝便利そうで今ひとつ〟
神奈川、埼玉、千葉の首都圏3県には、50万人規模以上の市町村が九つある。しかし、市内の二大ハブ駅が離れているのは松戸だけではない。
・神奈川県:相模原市(相模大野駅と橋本駅)
・埼玉県:川口市(川口駅と東川口駅)
・千葉市(千葉駅と海浜幕張駅)
なども同様だ。ハブ駅が離れていることには、むしろメリットもある。しかし、松戸の場合は、ほかにも「便利そうで今ひとつ」と感じる要素が重なっている。
松戸から都心への主動脈は、常磐快速(上野東京ライン)と常磐緩行(千代田線)に事実上集約される。北千住~取手間は複々線(上り線と下り線がそれぞれ2本ずつの計4線)で分離運行されているが、双方に遅延や事故の波及は避けられない。東松戸駅方面に回れば武蔵野線や北総線の選択肢はあるが、松戸駅利用者には遠回りになりやすい。
一方、市川や船橋は
・総武快速
・総武各停
・京葉線
・東西線
・武蔵野線
に交通が分散しており、どれかが止まっても別ルートに迂回できる。松戸は混雑や事故、遅延時のしなやかさに欠けるのである。さらに、常磐側の新しい幹線であるつくばエクスプレスは市域を通っていない。
TDLや空港への足が〝便利そうで今ひとつ〟
千葉県の東京寄りエリア、松戸、市川、船橋、浦安を比べても、松戸だけは東京ディズニーリゾートへのアクセスが遠い。
市内に京葉線の駅がないため、松戸駅からは常磐線で新松戸駅に出て、武蔵野線で南船橋駅または新木場駅へ移動し、京葉線で舞浜駅に向かうルートになる。あるいは常磐線(上野東京ライン)で東京駅に出て、京葉地下ホームに乗り換える方法もある。いずれのルートも遠回りで複数回の乗り換えをともなう。以前は松戸駅~東京ディズニーリゾート間の高速バスもあったが、2022年に運行を終了している。
さらに、高速バス「松戸・柏線」(成田空港交通)も2024年から運休に入った。松戸から東京ディズニーリゾートや成田空港へのバスが使えない状況である。
それだけではない。「松戸・新松戸~羽田空港線」も2024年から当面の間、運休となっている。首都圏で松戸と同規模の市で、成田や羽田にバスで行けない例はほとんどない。この状況も、松戸の「便利そうで今ひとつ」を強める要因である。なお、松戸には成田エクスプレスやスカイライナーの停車駅も存在しない。
ようやくできたICが〝便利そうで今ひとつ〟
松戸の交通を語るとき、道路の話題は避けて通れない。人口50万級の都市でありながら、2018年まで市内に高速道路の乗り場がなかったからだ。これは全国的にも珍しいパターンで、大きなマイナスポイントとなっていた。
東京外環自動車道の松戸インターチェンジ(IC)が開通したのは2018年6月である。しかし松戸ICは、高谷(湾岸)方面にだけ乗り、高谷方面からだけ降りられる
「ハーフIC」
だった。このため三郷ジャンクション(JCT)や常磐道、埼玉側へは直接アクセスできない。ドライバーが「便利そうで今ひとつ」と感じる要素になっている。
ICの不完全さと整備の遅れは、松戸市の一般道の構造的脆弱性を決定づけた。松戸市は、江戸川の橋梁に向けてクルマが集中し道路が詰まりやすい地理的制約と、古い市街地の宅地化が先行したため道路拡張が困難という歴史的制約を抱えている。
このため、IC不在期から続く交通集中は、現在もICの片方向接続と河川による絞り込みで国道6号に負荷を残し、慢性的な渋滞を引き起こしている。さらに、国道6号からの交通を分散すべき松戸~市川間の大動脈である千葉県道1号市川松戸線は、多くの区間が2車線にとどまり、分散機能が弱い。
こうして「便利そうで今ひとつ」の要素が重なる松戸市だが、市川や船橋にはないオンリーワンの交通手段を持つ。それが船である。「矢切の渡し」が定期運行しており、松戸市矢切と東京都葛飾区柴又を結ぶ渡し船だ。東京23区側に船で渡れることは、松戸の交通を語るときに欠かせない特徴である。(ミゾロギ・ダイスケ(懐古系ライター))
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みんなのコメント
なんか変なこと書いてあったが、乗ったことないんだろうか?
それに海浜幕張がハブ駅だなんて。。
記者は千葉に来た方がいいよ。