日本人も「かけ子」に使う「中国系」カンボジア詐欺集団・首領の正体 犯罪収益1兆円、首相の顧問も務め、24億円豪邸で贅沢三昧
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日本人29人も
カンボジアを拠点にしたオンライン金融詐欺事件のなかでも、今年8月に日本人29人が逮捕された事件の詐欺拠点になったカンボジア北西部のポイペトでのケースについて、容疑者らが説明したところでは、拠点は塀で囲まれ、内部にはコンビニや床屋などがあり、こうした関連施設の従事者も含め「1000人ほどの人」がいたという。彼ら日本人を管理していたのは中国人夫婦。かけ子は日本人のほか、他のアジアの地域から渡航してきたとみられる人もいたという。 この29人の逮捕容疑は当初、ポイペトから長野県警の警察官をかたり、東京都八王子市の男性に電話をかけ、現金をだまし取ろうとした詐欺未遂容疑だった。だが、新たに5月21〜27日、やはり警察官などをかたり愛知県尾張旭市の女性(61)に「マネーロンダリング(資金洗浄)事件に関与している嫌疑がある」などとうその電話をかけて現金200万円を振り込ませて詐取した事件が判明するなど、その後の調べで、他の事件に関与していたことも明らかになっている。 それ以前にもカンボジアでは日本人がかけ子としてオンライン詐欺に関与していた事件が発生している。 例えば、2023年11月には、埼玉など9道府県警が首都プノンペンを拠点に日本に特殊詐欺の電話をかけていた20〜40代の日本人の男25人を日本へ移送し、詐欺などの容疑で逮捕している。 このほかにも、今年10月7日、警視庁特別捜査課はカンボジアのオンライン詐欺グループのかけ子をしていた46歳の男を詐欺容疑で逮捕した。この男は今年3月、知人から「カンボジアでテレフォンアポインターをする仕事がある」などと言われ、プノンペンに渡航したが、あてがわれた仕事はオンライン詐欺で、パスポートを奪われ一味の言いなりにされていたのが恐ろしくなり、折を見て日本大使館に駆け込み、助けを求めたという。一味のなかには他の日本人も2人いたということで、今後もカンボジアで日本人絡みの事件が新たに明らかになる可能性は少なくないとみられる。
相馬勝(そうま・まさる) 1956年生まれ。東京外国語大学中国語科卒。産経新聞社に入社後は主に外信部で中国報道に携わり、香港支局長も務めた。2010年に退社し、フリーのジャーナリストに。著書に『習近平の「反日」作戦』『中国共産党に消された人々』(第8回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞)など。 デイリー新潮編集部
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