日本人も「かけ子」に使う「中国系」カンボジア詐欺集団・首領の正体 犯罪収益1兆円、首相の顧問も務め、24億円豪邸で贅沢三昧
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首相の上級顧問に
ここでは中国人を中心とする「管理人」を置き、かけ子を監視し、少しでもさぼると殴るけるの暴行を加え、女性の場合は性的な暴行も加えていた。拷問や性的搾取は日常茶飯事で、殺人も行われていたと米財務省は指摘している。 陳はそれらの違法な手段で形成した資産をカンボジア政府高官に献金し、密接な関係を築く。そのなかにフン・セン前首相や、その息子で現在の首相であるフン・マネット首相がおり、陳は両者の上級顧問に就任、カンボジア政界に食い込み、さまざまな利権を手に入れた。この結果、プリンス・グループは30カ国以上に進出し、プリンス銀行や不動産会社、エンターテイメント事業を擁し、年間売上高は数十億ドルに上る企業体となった。しかし、それは表向きの姿で、裏では詐欺などで資金を稼ぎ、100社以上のペーパーカンパニーを通じてそれをマネーロンダリングし、莫大な資産を形成していったとみられている。 米司法省によれば、陳は高級腕時計やヨット、プライベートジェット、リゾートヴィラ、ニューヨークのオークションハウスで購入したピカソの絵画を含む希少な美術品などを購入。英国政府は、押収した127,271ビットコインに加え、ロンドン北西部にある1200万ポンド(約24億3000万円)の邸宅など19の不動産を含む英国国内の1億3000万ポンド(約263億2500万円)以上の資産を凍結した。
いまだ行方はわからず
米連邦捜査局(FBI)は指名手配した陳らの行方を追っているが、いまだに行方は分かっておらず、カンボジア政府の庇護の下、プライベートジェットを利用して、中国やカンボジアの国境地域に潜んでいる可能性が高いとみられる。 そのようななかでも、陳やその幹部らの命令で、カンボジア国内では、いまも陳が形成したオンライン金融詐欺組織が暗躍し続けているのは間違いない。米司法省やFBIによると、カンボジアの金融オンライン詐欺拠点は国内全域に拡大しており、少なくとも約300カ所の拠点があり、その一つ一つが高い塀に囲まれた大きなホテルやマンションのような構造になっている。それらは多数のガードマンに守られるなど警戒が厳重で、外からは建物内部の様子はうかがい知れないという。
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