トランスジェンダー選手は五輪で女子競技禁止の方針 IOC、英報道
男性として生まれて女性を自認するトランスジェンダーの選手をめぐり、英紙タイムズは10日、国際オリンピック委員会(IOC)がトランスジェンダー選手が女子競技に出場するのを禁止する方針だと報じた。来年にも正式に発表する可能性が高いという。
同紙によると、先週行われたIOC内部の会議で、トランスジェンダー選手に関する調査結果が提出された。一部の競技では、男性に多いホルモン「テストステロン」の数値が治療などで基準以下になれば、条件付きでトランスジェンダー選手が女子競技に出場するのを認めている。だが調査結果では、数値を下げても身体的な優位性が残るとの見解が示されたという。
同紙によると、この会議では、テストステロンの値が高い性分化疾患(DSD)の選手に関する調査結果も報告され、DSDの選手も出場が禁止される可能性があるという。IOCは新たな方針を来年2月にも発表する可能性が高いという。
IOCは性別ごとの出場資格は各競技の国際統括団体の判断にゆだねてきた。一方、今年6月に就任したIOCのコベントリー会長は、女子競技を「守る」ことにIOCが主導的な役割を担う意欲を示していた。
IOCは10日、タイムズの報道に関して英BBCの取材に「議論を継続中で、現時点で決定は行われていない」と述べた。
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- 【視点】
スポーツが得意で頑張ってきたトランスジェンダーやDSDの選手はとても不安なことだろう。彼ら彼女らからすると、上の決定次第で急にオリンピックから閉め出されることになる。少数派である彼ら彼女らの権利はどうなるのだろう。 確かにトランスジェンダーであること、あるいはDSDのあることが人の身体的運動能力にどのような影響を与えるのかについて、科学的な調査自体は進めるべきだろう。 だが、IOCのコベントリー会長はもとからトランスジェンダー選手を排除する方針を掲げて2025年5月に会長となった人物である。ご存じの通り、今年は反トランスジェンダーをかかげるトランプ政権が発足した。そして次回2028年のオリンピックはロサンゼルスで予定されており、この大会は第一期トランプ政権のときに決定したものである。最初から結論ありきだったのではないかと疑念がわいてしまう。 パラリンピックは、ルールを工夫することで多種多様な条件を持つ選手に対応していると聞く。オリンピックも一部の選手を排除するためではなく、より多様な人が公平に競えるように工夫することはできないのか。
…続きを読む - 【視点】
これはトランス当事者としてのぶっちゃけ話ですが、女性ホルモンを打ったところで、既に形成されている筋力に有意な低下があるかというと疑わしいです。 ホルモンの効果は個人差が非常に大きいですし、また相当長期間の投与によって効果が出るものです。私自身の体感としては、1年や2年ではそう変わりません。 また、一般人ならともかく、日常的にトレーニングをしているスポーツエリートの場合も同様に考えられるかどうかも不明です。 そもそも、あらゆる選手を男女二元的な区分けのみに押し込んで競技するという仕組み自体に無理があるので、ジェンダーフリー枠を設けるあたりが妥当な落としどころではないかと思います。 あと、この記事はトランスジェンダーがメインの記事かと思いますが、トランスジェンダーだと誤解されがちなイマネ・へリフ選手の写真が出てくるのはミスリードに繋がりかねません。 その点は注釈を付けるなり、記事の作り方を考えたほうが良いように思いますよ。 ※おことわり)当記事の本文と写真説明は、このコメント投稿後に更新されています
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