勝利の女神:NIKKE[DAEMON X MACHINA]   作:ちしかんn号機

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名も無き部隊

〔クロガネSIDE〕

 

 

 

 

地上に到着した俺とラピ、アニス、ネオンの4人。

 

「こうも短いスパンで地上に行くことになるてツイてないわ…」

 

「何故だかイングリットの指示だからな。俺はアイツに色々と世話になっている分はこうして働きで返さないといけないしな」

 

「クロガネ様はそうだけと、巻き込まれる私達の身にもなってよね。せっかく滅茶苦茶強いブラックスミスを倒すって苦労したのに、褒められるもせずにまたとんでもない苦労の連続なのよ?」

 

「なら、俺についてくるだけで良いぞ。臨海都市に近づいた頃に3人は近場で待機しても構わないぞ」

 

「ナチュラルに1人で行こうとしてる…。あそこって性能が普通のラプチャーとは段違いの性能の個体ばかりがうろついているのよ…」

 

「慣れている。それで、どうするんだ?」

 

「守るべき指揮官様がいるのに私だけ離れて安全圏はダメでしょ。まあ、クロガネ様は強いから安心だけど」

 

「そうね。クロガネ少佐は噂に違わない実力を持っているわ」

 

「はい! 師匠はアークにいるどの指揮官よりも強いんです。火力の神様ですから!」

 

「火力は関係ないと思う…」

 

ラピがネオンにツッコミをいれる。

 

そんなやり取りをしながら俺達は端末に表示された地図を見ながら歩みを進める。

 

「あ、そういえばオペレーターはどうしたの? クロガネ様」

 

「シフティーか? ちゃんとこちらを見ているぞ」

 

〘ちゃんと見ていますよ、アニス〙

 

「うわぁ!? 居たんだ…」

 

〘もちろんいますよ。今回の任務はイングリットCEOからの依頼ですから。クロガネさんが個人で地上に行く際はオペレーターはいませんけど〙

 

「「「え」」」

 

ラピ、アニス、ネオンが同時に反応しながら俺を見た。

 

「いや、あくまで特殊別動隊の権限を使って個人的な事情で地上の調査をしに行くんだ。ならば、勝手に中央政府の人員を使うわけにはいかないだろ」

 

「だとしても地上に行ってオペレーター無しで行動って自殺行為でしょ!?」

 

「アニスの言う通りです」

 

「流石の私も驚きを隠せませんよ師匠」

 

「まあ、こうして生還し続けているから問題ないだろう」

 

ていうか、俺が個人的な事情で地上に行く時は中央政府の監視があるとできない事ばかりだしな。

 

個人的な用事で地上に行く理由は大まかに3つ。

 

生き残ったであろうゴッデス部隊とオールドテイルズ部隊と再会し情報共有とアークの実情を伝える。

 

ラプチャーやヘレティック、特殊個体や異常個体の調査。

 

俺のアーセナルである[X MACHINA]の修復や未完成な部分を制作する為の材料集め。

 

アーセナルの修理は終わったとはいえ、俺のアーセナルは旧式やプロトタイプを無理やり他のノインの皆のアーセナルと合わせられるように改造とオーバークロックみたいなもので作った奴だからな。

 

実際アーセナルを使った時と戻って状態を確認した判ったことがあった。

 

アーセナルの両腕と両足、武装の[タイラントハンマー]は旧式で修理を重ねた影響でガタがきていた。

 

胴体と頭、量子兵装[グリムリーパーⅡ][デットリードライブ]は初期設計もいいところの試作品で本来の性能の50%も引き出せていない。

 

ラプチャー1次侵攻の時は良いが、あれから100年余りが経過している。

ブラックスミスのあの進化もそうだが、基本的なスペックはかなり上がっていた。

 

今のままで満足せずに、俺専用のアーセナルをちゃんと完成させないとな。

クィーンと再戦し勝つためにも。

 

まずはアーセナルが復活した事で出来る自動修復ではなく俺で全て修理。

並行して今まで地上で集めた素材で、俺専用のアーセナルの制作もやる。

 

ついでに[アンチェインド]に関する調査もしないとな。

クィーンやその直属の配下である[ヘレティック]を攻略する上では重要だしな。

 

それから俺達はそのまま目的地へと前進。

 

エブラ粒子が濃い地域があったが、地上に設置されたアーク製の[エブラ粒子浄化装置]を使って難なく進めた。

 

しかし―――

 

〘問題発生です、クロガネさん〙

 

「どうかしたのか?」

 

〘この先の進路上にある道をスキャンした結果、無人浮上鉄道の線路に沿って移動する必要があるのですが、線路全体に高圧電流が流れています〙

 

「確かに危険だな。彼女達にダメージが入るのは避けたい」

 

〘あの…クロガネさんの場合はそれ以上に危ないんですが…〙

 

「そうだったな。シフティー、この線路に電圧が流れている原因は? それとその線路周辺の地図と情報を転送してくれ」

 

〘いまヒストリーで検索します。―――5年前に臨海都市の封鎖を進めていた際にラプチャーをこれ以上臨海都市に入れない為に意図的に当時の工作部隊が作動させたそうです〙

 

シフティーから転送された線路データをみる。

 

地上を奪われてから100年。

それ以前の技術なのに完成度が高いな。

 

しかも電力は自家発電式となると、自然に止まる望みはないな。

 

お、少しより道だが外部からコントロールできる施設があるな。

 

「進路から多少それるが線路のエネルギー供給を制御できる施設があるな。そこでならうまくいくかもしれない」

 

〘私も同じことを思っていました。マッピングしますか?〙

 

「いや、もう覚えたから問題ない。シフティーはラプチャーへの警戒を重点的に頼む」

 

〘了解です〙

 

シフティーにそう促し、俺は3人に振り向いて指示を出す。

 

「ま、そんなわけで少しより道になるが、安全の為に線路のエネルギー供給を止めるために制御施設へと行く。各員周囲への警戒をしてくれ」

 

「ラジャー」

 

「わかったわ」

 

俺はネオンの返事を待っていると、彼女は口を開いて―――

 

「―――あ」

 

ネオンが敵を見つけたサインを出した。

 

「ラピ、アニス!! 戦闘態勢!!」

 

俺は2人に指示を送りながらネオンを引っ張り近くの物陰に避難すると同時に[ディアボロス]を組み他立てて警戒。

 

「ラピ!」

 

「ええ!」

 

ラピとアニスもお互いの銃火器を構え、安全装置を解除して警戒する。

 

シフティーの警戒網に引っかからなかっただと…。

 

しかも俺の警戒にも引っかからなかったラプチャーをネオンが偶然発見した。

 

これは早々にアーセナルの出番がきそうだな。

 

俺がそう警戒していると―――

 

「あ、あの師匠。私なにか敵を見つけたと誤認する言い方を言いましたか?」

 

「ネオン、さっき[あ]を単独で使用しただろ。地上では[あ]を単独で使用する=索敵に引っかからなかったラプチャーと遭遇したか、油断してラプチャーの接近を許した時に使うんだ。前に地上に行った時に教えただろ」

 

「……すみません。忘れていました…」

 

「は?」

 

「いえ、さっきの[あ]は良いアイデアを想いつたときに行ってしまったと言いますか…」

 

マジか?

 

念のため、警戒を最大限にしてラプチャーの気配を探るが全くない。

ステルス迷彩もカモフラージュもそういった感じも無い。

 

「ラピ、アニス」

 

「私は確認できません」

 

「私もよ」

 

「シフティー」

 

〘こちらも4人の有視界圏内にラプチャーの反応はありません〙

 

どうやらネオンの[あ]は本当に言った通りの様だ。

 

「ラピ、アニス警戒態勢解除。どうやらネオンは素で[あ]を使ったみたいだ」

 

「そうだったのですね」

 

「なんだ…まったく。ネオン、地上の上がったニケには暗黙のルールがあるのよ」

 

「[あ]の単独使用の禁止ですよね…。すみません…」

 

「知ってるならなんで使ったのよ…」

 

「さっき師匠に指摘されるまで忘れていました。なにせ地上に出たのは師匠と数回だけでしたので…」

 

「ネオン、単独で[あ]を使うとこうなるから覚えておいて。それで、なんでさっきは単独で[あ]を使ったの?」

 

ラピがネオンに[あ]を使った事を問いかけると、ネオンは何かを閃いた様に眼鏡を光らせながら話し始めた。

 

「寄り道しないいい方法を思いついたんですよ! 線路に流れる高圧電流が原因なら厚手のゴム長靴を履けば突破できるかと!」

 

「……」

「……」

〘……〙

 

ラピ、アニス、シフティーはネオンの提案に絶句した。

 

「はぁ…。ネオン、人や貨物を乗せて走るリニア車両を動かす高圧電流を一般的なゴムの長靴で防ぐことは出来ないぞ」

 

「そうなんですか!? であれば工業用のを使えば!!」

 

「それでも意味は無い。そもそも高圧電流の他にプラズマも発生しているんだ。電位以外にも熱で全員やられるぞ」

 

「そうなんですね…いいアイデアだと思ったんですが……」

 

しょんぼりするネオン。

 

そんなこんなで線路のエネルギー制御施設へと前進。

 

数回のラプチャーとの戦闘があったが、全部通常個体のお陰で難なく突破。

 

そのっま制御施設へと入った。

 

「予想はしていたけど…」

 

アニスが施設に入ってそう一言漏らした。

 

施設には既に白骨化した遺体が10数人転がっていた。

 

恐らく100年前にラプチャーから逃げよとして避難したが、食糧不足での餓死だろう。

 

白骨死体がきれいに残っているのが良い証拠だ。

中には幼い骨格の遺体もあった。

 

「師匠、これは……」

 

「ラプチャーから逃げた先の果てだ。前にも教えたが地上にはこういうのが沢山ある。一々気にしている暇は無いぞ」

 

「……」

 

ネオンは悲しげな表情を浮かべた。

死者を慈しむのは良いが、今の俺達にはその暇は無い。

 

真の意味で死者を慈しめるのは、人間とラプチャー、ニケにまつわる因縁が解決してからだ。

 

「総員制御室へと進むぞ。ただし―――()()()()()()()()()()()()

 

「ええ」

「ラジャー」

「はい」

 

まあ、これくらいはしても問題ないだろうな。

 

それから施設内を進み、明かりがともっている制御室へと到着。

 

〘こちらの情報では、まだ制御室のシステムは生きています。指揮官、コネクティングデバイスを―――〙

 

「問題ない。このハードとシステムならこちらで操作できる」

 

俺は制御室のコンソールを操作して線路へのエネルギー供給を操作する。

 

これと言ってユーザー認証や暗証番号や物理キーを必要じゃないのは幸いだな。

 

恐らく5年前に来た工作分隊が操作しやすい様にしてくれた可能性が高いな。

 

俺はそのまま操作を続けて線路へのエネルギー供給を絶った。

 

〘線路へのエネルギー供給の停止を確認。相変わらず凄いですね〙

 

「これくらいは出来ないと色々と困るからな」

 

「クロガネ様ってマジで何者なの?」

 

「これほど世代が離れたシステムを知っているなんて…」

 

「流石火力の神ですね、師匠」

 

「吸収できる技術は吸収するのが俺のポリシーなんだ。まあ、この手の技術は専門官に劣るがな。それと火力は関係ないぞ」

 

そんなやり取りをしつつ、俺達は目的地である臨海都市にある発電所へと進路を戻した。




ちなみに、クロガネが使っているアーセナルは[タイラントハンマー]や両腕両足は旧式であり他は急造兼未完成品です。
要するにどこかで一度ぶっ壊れて、強化されて正式なクロガネ専用アーセナルが出てきます。

見た目は大々的に変わるわけではありませんが、専用機をより強調したものとなります。

登場はしばらく待っていただけると幸いです!
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