勝利の女神:NIKKE[DAEMON X MACHINA] 作:ちしかんn号機
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今回の話は割とオリジナル全開です
それと、オリ主設定の画像を変えました。
大きな変更はなく全体像や見える角度や表情の追加です。
興味のある方は是非見てください。
火力の女神?
〔クロガネSIDE〕
マリアンの一件から数日後。
俺はアークにあるニケを製造する事を許された民間企業。
そして、アークにおける三大企業と称される一つである[エリシオン]の本社に呼ばれていた。
俺は自分を呼び出した人がいる部屋の前に来ていた。
扉はいかにも企業のCEOがいる豪勢さ。
そして、電子表示には[エリシオンCEO執務室]と表示されている。
俺は扉横の呼び出しボタンを押す。
「“イングリット”。来たぞ」
〘ああ。入ってくれ〙
呼び出しボタンの隣にあるスピーカーから凛々しい女性の声が聞こえると同時に扉が開き入る。
内装は軍事基地の司令官が働くような内装で、豪華というよりも勇ましさを感じる。
そして部屋の奥中央にある執務机には白い外套に軍服を模した服装を着た茶髪の長髪に凛々しい女性がいた。
「呼び出しに応じて感謝する―――クロガネ」
「アンタには[ディアボロス]や装備、弾薬関係で世話になっているから忙しい時以外はくるさ―――“イングリット”」
彼女の名前は“イングリット”。
アーク三大企業の一角である[エリシオンCEO]。
企業のCEOでありながらも軍事的知識は中央政府の高官以上であり指揮官としての能力も一般的な指揮官を超えている*1。
因みにタクティカルが口癖で、暇さえあれば趣味としてニケの訓練には教官として参加するほどの軍事オタクでもある。
俺はイングリットに促されるまま上座に座り、イングリットも対面の下座に座る。
「それで、アンタが俺の事を呼び出すなんてどうかしたのか?」
「いや、むしろお前が私の方に来ない事に違和感を持ってな」
「どういうことだ?」
「部下―――エリシオンで生まれ、戦いを学んだ
「マリアンの件か? それならアンタが知っての通り、
「アンダーソンとお前が
やっぱり感づいていたか。
前哨基地や俺個人の活動以外の隠し事をイングリッドクラスに隠し通すのは難しいな。
「知っていたんだな。アンダーソンや俺もアンタなら感づくと思っていたが」
「だったらなぜ私にも話さなかった」
「アンタは中央政府所属でもないアークを支える三大勢力のCEOだ。
「“シュエン”はともかくとして“マスタング”は?」
「わからないが妥当だ。ああやってハイテンションキャラを出しているが本心はまるで隠している。ああいった手合いほど下手に信頼するのは危険だ」
「そうか。それでマリアンの事だが…」
「ああ。確実にアークで侵食コードを埋め込まれていた。幸いなのが被害がゼロにできた事だな」
「自殺者が出たようだがな」
「それは彼女たちの管轄範囲外だ。自殺しようとするものを止めようとするほど暇じゃないだろう。それに、指揮官として碌に教育していない中央政府の教育が悪い」
「まったく、
「アウターリムやシュエンの横暴、他にも特権階級や中央政府高官の横暴を許している時点で信頼は無いようなものだ。そして―――
「まったく。お前を前哨基地に送ったアンダーソンの采配に感謝する事だな」
「ああ。それで俺を呼んだのはマリアンの件か?」
「その通りだ。彼女の最後はどうだった?」
「立派に勝利の女神としての責務を全うした。浸食に犯されながらもブラックスミスの不意打ちから俺を庇ったからな」
「そうか…。私の教え子は立派に役目を果たしたのだな」
「ああ」
イングリッドは少しの間黙とうした。
この人も俺と同じくニケを兵器ではなく戦友として見ている。
それにどんなことにも誠実であり、正しいことを正しいく、悪いことを悪と断じれるアークの特権階級でも真面な感性を持っている。
そして、イングリッドは黙とうを終わらせた。
「改めて呼び出した悪かったな。マリアンの最期をお前の口から直接聞たかったからな」
「理由もアンタらしいな。それで用事はそれだけか?」
「実はお前に頼みたいことがある」
「頼みたいこと? 地上の調査関係か」
「ああ。お前を指揮官としてニケ3名と一緒に[臨海都市にある発電所の調査]を依頼したい」
「もしかして俺が指揮官として着任する前に失敗した場所か?」
「知っているのなら話が早い。最近の計測でその発電所が突然稼働したとの報告があがっている。その原因と発電所を占拠しているラプチャーの調査を依頼したい」
「それは良いが、あの場所となると流石に普通のニケじゃ厳しいぞ。俺1人なら問題ないが」
「1人で地上に行きたがるのもいつもの事だな……。だが、今回は私が指定したニケ3名と一緒に向かって欲しい」
「アンタ直々のニケの指名となると[アブソルート]か?」
「いや、あいつらは別任務で手が離せない。今回連れて行ってもらうのは―――」
俺はイングリットから語られたニケの名前に少しだけ驚いた。
◇
「それで…エリシオンCEOの指示でクロガネ様と一緒に私達[分隊04-F]ともう1人のニケと一緒に発電所の調査になんでなるのよ」
「イングリットがそう俺に依頼してきたからな」
「そう依頼って、なんでよりにもよって私達なのよ!」
そういって不満を垂らすアニス。
彼女がああいいう態度になるのも無理もない。
俺達が行く予定の[臨海都市の発電所の調査]。
その発電所自体が大量のでありスペックも並みのラプチャーを凌駕する個体がわんさか占拠している。
俺が着任―――正確にはこの体の持ち主が指揮官に着任する前に大規模なニケ分隊でその発電所を確保する計画があった。
あの発電所を占拠できれば、保管されているであろう資源や発電所の発電能力を加味して、2ヵ月分アークを喰わせられる事が出来る。
だからこそその計画が発令されたが、全部失敗に終わりニケと指揮官、随伴していた人間の職員総合計約150名が死亡する大損失を被った。
そういう事で臨海都市の発電所は放棄されていたが、最近の計測で発電所が稼働した。
そんでもって発電所の調査をエリシオンが引き受ける形となったのを俺達に回してきたというわけだ。
ま、大規模部隊が壊滅した作戦に向かわされるとなると、アニスが言いたくなるのもわかる。
「本当は俺1人で行くつもりだったが、イングリッドがどうしても[分隊04-F]とお抱えのニケを連れて行って欲しいと言われてな。最悪随伴だけで俺だけ任務をやる形でも問題ないが…どうする?」
「って!? クロガネ様だけがやるの!? あの危険な任務を!?」
「ああ」
「前回の作戦もそうだけど、クロガネ様って本当にぶっ飛んでいるわよね」
「そもそもラプチャーを撃破できる銃を扱えるだけで変わり者だけどな」
「自覚があるのが余計のアレね…。それにあの黒いパワードスーツもそうだし…」
「アニス。それをアーク内で言うのはクロガネ少佐との約束に反するわ」
「そうだった…。ごめん、クロガネ様」
「今は周りに誰も居ないから問題ないが気を付けてくれ」
「クロガネ少佐。
「あー。なんていえば良いのか……俺が言うとブーメラン発言にもなるが、ちょっと変わったニケだな」
「ちょっと変わったニケ?」
「?」
アニスとラピが疑問符を浮かべるような様子を見せる。
時間的にもう少しでくるんだが…。
俺は前哨基地で商売している時計職人から作ってもらった頑丈の懐中時計を出して時刻を見る。
すると―――
「あ、師匠!!!」
聞きなれた声が後ろから聞こえた。
来たか。
声が聞こえた方向に振り向くと、そこには小柄な体系に白いセーラー服と眼鏡が特徴のニケが大型のツインバレルの銃身にブルパップ式の白いショットガンは肩につるす様に携行しながらこちらに駆け寄って来た。
「久しぶりだな―――“ネオン”」
「お久しぶりです! 師匠!」
「「…」」
ネオンの登場にラピとアニスは何とも言えない顔をしていた。
「あの…クロガネ様。もしかして随伴するニケは……この子?」
「ああ。ネオン、2人に自己紹介を」
俺がネオンに自己紹介を促すと、彼女は2人の前に出て姿勢を正しながら自己紹介を始める。
「初めまして[分隊04-F]のラピとアニス。私は“ネオン”。エリシオン製のニケで師匠の弟子です。銃火器は[ショットガン]です。今回の任務に社長―――イングリッドさんの指示で随伴する事になりました」
「ど、どうも…」
「よろしく」
なんだかすごいキャラのニケが来たなと判り易い様子を見せる二人。
俺も初対面というか一緒に地上の任務に行く時は驚いたものだ。
「クロガネ様は、ネオンと知り合いみたいだけど一緒に地上に行ったの?」
「ああ。
「はい。あの時の師匠は凄まじかったです。師匠が操る完全オーダーメイドのエリシオン製対ラプチャー大口径対物ライフルである[ディアボロス]。
「中々変わった奴だろう? 最初は俺も困惑したが、今じゃなれたもんだ」
「酷いですよ師匠!私は普通のニケです!」
「ショットガンに求められる火力を数倍にして、それ以外を犠牲にした改造をするやつは普通じゃないぞ。それに事あるごとに「火力最高」と叫ぶだろうが」
「火力は最高です! 相手が何であれ火力で解決できない事はないと、私と初めての任務の時に師匠が体現してくれたじゃないですか!! 答えは火力! 火力が全てです!!」
そういいながら眼鏡を光らせた万歳ポーズを取るネオン。
こうなったのも、俺が[ディアボロス]というネオンのショットガンである[オールブレーキ]と似た性能を披露した影響だ。
イングリットも―――
―――「すまない。ネオンに地上を体験させるだけのつもりがこうなってしまった。ああなった以上は付き合ってくれないか?」
っと頭を抱えながら言われた。
そういうわけで、ちょくちょく俺と一緒に地上に同行して、俺はネオンの火力の師匠としている。
「ま、根は良い奴だし2人も直ぐになれる。というわけで言われた作戦の調査に向かう。もし参加したくないのなら地上でラプチャーから身を隠せる場所に待機して俺だけで行くから安心しとけ」
「流石に指揮官を―――クロガネ様を一人にはできるわけないでしょ…。まあ、私もできうる限りちゃんと付き合うわ」
「私はご命令通りにクロガネ少佐と共に行きます」
「私はとことん付き合いますよ!! だって師匠の弟子ですから!」
「すまないな。俺も出来る限りアンタ達に被害が出ない様にするつもりだ。よろしく頼む」
こうして、俺とラピ、アニス、そして火力の弟子であるネオンと共に[臨海都市の発電所の調査]の為に、中央政府専用の地上行のエレベーターに搭乗。
俺達は地上を目指した。