「自分はみんなから必要とされていない人間」ライバル同期の言葉に自信を失った女性。単なる憶測を過度に一般化している可能性も。歪んだ認知になっていないか点検を
あなたの職場に「この人さえいなければ、ストレスなく働けるのに……」という人はいませんか。1万人以上のカウンセリングをしてきた心理学者・舟木彩乃さんは「職場で悩みを抱える人たちの相談内容は、9割が人間関係に関するもの。働きやすさの9割は人間関係で決まる」と語ります。そこで今回は、舟木さんの著書『あなたの職場を憂鬱にする人たち』から一部を抜粋し、職場にいる「憂鬱な人」の実例と解決策をご紹介します。 【書影】1万人以上をカウンセリングした心理学者が、心の深層に迫る。舟木彩乃『あなたの職場を憂鬱にする人たち』 * * * * * * * ◆ライバル同期の言葉に過度に反応 〈キーワード:同期入社、過度の一般化、認知のパターン〉 同じ言葉を聞いても、客観的な事実に基づき現実的に捉えられる人と、憶測に基づいてネガティブに捉えてしまう人がいます。一方で、相手がネガティブに捉えてしまうことを利用して陥れようとしたり、自分の有利な方向に状況をコントロールしようとしたりする人もいます。ネガティブさゆえに同期の社員にコントロールされ、自分は希望の部署に行けなくなると悩んでいた新人のケースを紹介します。 矢野さん(仮名、女性20代)は、新卒でPR会社に入社してもうすぐ半年になります。彼女が就職した会社は、最初の数か月は営業関連の部署に仮配属されることになっています。その後は、本人の適性や部署の必要人員数などを総合的にみて、そのまま仮配属部署に残留したり、他部署へ異動したりして、本配属先が決まることになります。 矢野さんの同期入社は6名で、このうち矢野さんとHさん(女性20代)は、企画営業部に仮配属されました。矢野さんやHさんは、企画営業部に残留するのか別部署へ異動するのか、そろそろ本配属先が最終的に決まる時期が近づいています。 企画営業部は、SNSなどを駆使したコミュニケーション力や営業力はもちろん、PR企画を立案するための緻密なマーケティングの知識も必要とされる部署です。同部にはSNSやYouTubeでインフルエンサーのようになっている人たちもいて、会社のPRに大きく貢献しています。いわば、社内では花形部署ともいえるところですが、大きな案件を取り扱うことが多いので、とても忙しい部署でもあります。また、飲み会やゴルフコンペなども頻繁にあり、社員同士の交流もかなり活発な部署でもあります。 そういう先輩社員たちに囲まれている矢野さんですが、どちらかといえば消極的な性格で、自分に自信がありません。営業現場や飲み会などでも緊張しがちで、自分は部署の中で浮いていると感じることがよくありました。それでも彼女が企画営業部で頑張っていきたいと思っているのは、もともと緻密な作業や統計分析が得意で、就職活動でマーケティングができる会社にフォーカスしてきたからです。仮配属先の企画営業部のマーケティング業務は彼女にとって魅力的で、学生のときからやりたかった仕事でした。
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