勝利の女神:NIKKE[DAEMON X MACHINA]   作:ちしかんn号機

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DAEMON RESTORATION

〔クロガネSIDE〕

 

 

 

 

〘ブラックスミスの反応が近いです! それにこれまで計測してきたどのブラックスミスよりも計測されるエネルギーを超えています!〙

 

シフティーの警告が通信機から聞こえる。

 

「触手だけでもすさまじい気迫を感じたわ」

 

「通常のブラックスミスより強いってヤバいわね」

 

「奴は[異常個体]だ」

 

「異常個体?」

 

俺の言葉にアニスが首を傾げた。

 

「まだ、俺の調査で仮設どまりの新しいラプチャーのカテゴリーだ。タイラント級であり特殊個体の中でも一際強大な力をもつ個体といえる。既存のタイラント級ラプチャーから出現するときも、新規のタイラント級ラプチャーからも出現している」

 

「指揮官は異常個体と戦った事があるのですか?」

 

「戦闘は無いが襲われた事ならある。俺が観測したのは[クラーケン]と[ハーベスター]の二体だ」

 

ラピの質問にそう答えた。

 

実際は、ヘレティックの巨大化や100年前の戦いで出現した[ウルトラ]とかも該当する。

 

〘つまり、あのブラックスミスはクロガネさんが言うとおりであれば…〙

 

「特殊個体よりも強い。しかも戦闘関係の知性も見れる。恐らく相当長く稼働し戦ってきた歴戦といえる個体だ」

 

〘そんな敵に勝てるのですか?〙

 

「勝つとか負けるとかじゃない。俺達は奴を滅ぼし、マリアンを助けて勝利の女神として終わらせてやることだけだ」

 

俺は[ディアボロス]の最終チェックを終わらせて構える。

 

そんな俺の様子にラピとアニスも自身の銃火器の最終チェックを速攻で終わらせた。

 

「奴の距離が近いって事はそろそろ接近に気づかれるはずだ。ここからは走りながら接近、[ブラックスミス]を射程圏内に納め次第攻撃。遮蔽物は奴の触手や対物火砲で意味がない。とにかく動いて攻撃し続けろ」

 

「「了解!」」

 

「では―――オープンファイア!!」

 

俺達はシフティーの指示の元、目的の場所へと走る。

 

そして間もなく地面が揺れた。

 

「ブラックスミスの触手が来るぞ! 振動から奴は地中から来る! パルクールを使って地面との接触を最低限に移動だ!」

 

「ラジャー!」

 

「わかった!」

 

俺の指示の元、二人は廃墟や兵器の残骸、自然の木々を利用して縦横無尽に駆け回る。

 

予測通りにブラックスミスの触手が地面から襲い掛かるが、二人は奴が触手で急襲してくる予兆を感じて回避する。

 

俺も続けて同じように走り続ける。

 

アーセナル使用可能まで―――20分。

 

〘クロガネさん! ラピ!アニス! ブラックスミスの反応が近づいています! あと10秒で有視界圏内です!〙

 

「ああ!」

「ええ!」

「わかった!」

 

シフティーのオペレーティング通り、10秒後には俺達は開けた場所に到着。

 

それと同時に、異様な雰囲気を放つ機械と虫、軟体動物が融合した黒い巨大な怪物―――タイラントモデル003[ブラックスミス]が触手を地面に突き刺し鎮座していた。

 

「ラピは奴の触手器官に牽制射撃! アニスは[ブラックスミス]上部にある複数の円形部分にグレネードを撃て!」

 

俺の指揮の通りにラピが牽制射撃をして、アニスがグレネードを狙い通りの場所に放つ。

 

奴の上部は異常個体であろうとミサイル発射部。

そして、そこが現状脆いことは把握している。

 

 

―――キュォォォォォォンッ!!

 

 

攻撃を喰らって怪しげな機械音声を発するブラックスミス。

 

俺はすかさず[ディアボロス]で奴のコアがある中央の発光基部に撃ち続ける。

 

それを脅威と感じ取った[ブラックスミス]は両サイドから巨大な筒もとい、大口径の方針が出現。

 

「ブラックスミスの物理砲撃が来る! ラピとアニスは右側の砲身を! 左は俺がやる!」

 

「ラジャー!」

「わかったわ!」

 

俺の指揮の元二人はブラックスミスが出現させた右側の砲身に銃弾とグレネードを叩き込む。

 

俺は狙いを定めて奴の砲身の奥に[ディアボロス]による狙撃を放った。

 

放たれた対ラプチャーの弾丸は奴の砲身に着弾、それと同時にその基部が大爆発を起こした。

 

奴が厄介なのは全距離対応の豊富な武装。

物理とエネルーギーの双方の攻撃と防御を可能とするオールラウンダー。

 

だが奴はその豊富な武装故に1つでも武装を損傷すれば、火器管制をしている奴のコアに大ダメージがはいる。

 

それは普通の特殊個体である[ブラックスミス]であればの話だが。

 

「チッ…」

 

案の定奴は武装がはぜる前に自己パージしてダメージを最小限に抑えた。

 

それどころか俺に向かって無数の触手を勢い良く放ってきた。

 

普通のブラックスミスよりも動き、柔軟性が高いな。

 

俺はその場から移動してラピとアニスに影響が出ない様に駆け回る。

 

「ラピ、アニス! そろそろ奴のチャージが終わる。その場から退避!」

 

「「!」」

 

俺の言葉にその場から移動する二人。

 

その瞬間、二人が撃ち続けていた奴の砲撃部から大口径の弾丸が放たれ、二人がいた場所が盛大に吹っ飛んだ。

 

「なによ! この威力!?」

 

「確かに普通のブラックスミスとはけた違いなようね!」

 

「こんなの当たったら即死どころか体すら残らないじゃない!」

 

「あやらなければどうという事はないぞ!」

 

その後も俺は二人を指揮しつつ、狙撃支援をこなし十数分戦い続けた。

 

奴が[異常個体]なせいか装甲も基礎スペックも高い。

 

何より奴の弱点である武装の誘爆が悉く封じられているせいでかなりの消耗戦を強いられている。

 

現在は半壊程度までもっていったブラックスミスから隠れながら集まっている。

 

「硬すぎじゃない!?」

 

「そうね…残弾も心もとない…」

 

「二人とも!残弾数は!?」

 

「私は1マガジンです」

 

「私も後5発でおしまいね」

 

「俺も後3発だな…」

 

元々大口径の銃弾だから携行数は少ないが、それでも大抵のタイラント級ラプチャー3体は仕留め切れるだけの数はある。

 

実際これだけ弾丸を減らしたのは始めてだ。

 

それに異常個体を見つけてはいるが、本格的な戦闘は今回が初といってもいい。

 

しかも周囲のエブラ粒子濃度が上昇して、シフティー…アークからのオペレーティングによるサポートも無くなった。

 

かなりヤバいな。

 

アーセナルは…あと10分。

 

この状況じゃ俺がアーセナルを起動させる前に奴に見つってくたばる方が先にの可能性が9割って所か。

 

だが―――1割可能性があるなら抗える。

 

その可能性は俺が攻撃し続けたブラックスミスの中央の発光部分。

あそこが奴を動かす動力である指定系統の中枢。

 

そこを破壊できれば勝機はある。

 

そしてその中枢を護る部分は俺が撃ち続けた攻撃で後数発。

 

ワンホールショットを決めれば行ける感じだな。

 

「ラピ、アニス。ここからは最悪の博打という名の作戦を決行するつもりだ。失敗すれば死ぬ。だが……この博打に勝てれば奴を滅ぼすことができる」

 

「何をするつもりですか?」

 

「奴のコアがある中央部に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それで奴のコアを破壊できれば俺達の勝利、失敗すれば全滅だ」

 

「つまり私達は囮として指揮官をサポートすればいいのですね」

 

「ま、それしかなさそうっていうか、この戦いに入った以上はこうなるよね」

 

「ああ。すまないが―――2人の命を俺に預けてくれ

 

俺は二人に頭を下げる。

 

帰って来た返事は―――

 

「わかりました。指揮官が狙撃に全力で集中できるように殿を務めます」

 

「ええ。どのみち死戦いだしね。でも私もラピも死ぬつもりはないからクロガネ様もちゃんとやってよね」

 

「ああ。こんな不甲斐ない指揮官で悪いな」

 

「まったくよ! ね、ラピ」

 

「私は……でも、こういうのも良いと思います」

 

なんだろうな。

こんな感じのやり取りは久々だ。

 

ノインの皆、ゴッデス部隊、オールドテイルズ部隊。

 

今はちゃんと生きているか、俺が知る昔のままなのかもわからないゴッデス部隊とオールドテイルズ部隊。

 

そいつらにどんな形であれ再会して地上を奪還してバカ騒ぎしたいもんだ。

 

だから―――

 

「こんなところで終わるつもりはない―――行くぞ!!」

 

「ラジャー!」

「ええ!」

 

ラピとアニスが勢いよく飛び出て左右に展開、武装の大半を失ったブラックスミスとはいえど、残り少ない触手と上部にあるビーム砲は健在。

 

2人はギリギリの中ブラックスミスの正面を俺が潜んでいる場所に固定しながら戦ってくれている。

 

俺は精神を落ち付かせ、周囲の全てを感覚で読み取る。

 

温度、湿度、風速、風向、ブラックスミスの動き。

 

全てをコンピューターのように読み取り[ディアボロス]を構え狙いを定め、俺は瞬時に三発の銃弾を奴の発光部に放った。

 

銃弾の動きとブラックスミスの動きをこれでもなく完璧に合わせ射撃。

 

そして―――俺が放った銃弾は狙い通りブラックスミスの発光部分を直撃。

 

 

―――キュォォォォォォォォォォォン………

 

 

コアを激しく破壊されたブラックスミスは内部から爆発を起こしながら生物が死に絶えるようにその場で沈黙した。

 

俺は前に出る。

 

「クロガネ少佐…」

 

「クロガネ様…私達やったの?」

 

ボロボロの二人が俺に駆け寄って来た。

 

服は激しく損傷して、二人のガッデシアム製の皮膚は所々破壊され内部フレームが見えている。

 

まったく、かなりの無茶をさせてしまった。

 

だが―――

 

「ああ。俺達の勝―――ッ!?」

 

俺がそういう瞬間、とてつもない悪寒を感じた。

 

悪寒を感じた視線をむけると、そこには倒したはずのブラックスミスがまるで脱皮をするかのように脈動。

 

次の瞬間―――倒した奴よりも一回り小さいブラックスミスが出現した。

 

しかも、そのブラックスミスはラピとアニスに向けて触手を放っていた。

 

先が鋭利な槍かつ、触手全体が蛇腹剣の形状。

 

ヤバい!

 

俺はとっさに2人の前に出て触手を掴む!

 

「ガッ!?」

 

掌と腕が切り裂かれ強烈な痛みが全身を駆け巡った!

 

「クロガネ少佐!?」

 

「クロガネ様!?」

 

「二人とも…離れろ!!」

 

生れたばかりなせいか力は今の俺でも十分防げる。

 

消耗して限界間近な2人ではこの触手に切り裂かれて死ぬ!

 

それに―――

 

「腰が入ってないんだよ!!」

 

俺はそのまま触手をわざと自分の腕に絡みつけながら、復活したブラックスミスを近くの廃墟に投げ飛ばした。

 

両腕の傷口から血が溢れ出す。

 

「今のは…!?」

 

「ラプチャーを投げ飛ばした!?」

 

2人が俺の行動に驚愕しているが、今は気にしている状況じゃない。

 

 

―――キュォォォォォォンッ!!!

 

 

奴がまるで獣の咆哮を上げるかのように駆動音を鳴り響かせて復帰した。

 

クソ、この状態じゃもう戦闘は難しい。

 

アーセナルは―――

 


ARSENAL MAIN BODY RESTORATION COMPLETED(アーセナル本体の修復完了).》

CAN BE WORN AT ANY (いつでも装着可能です)


 

やっと自動修復が終わったか…。

 

これならまだ…戦える。

エブラ粒子が濃いせいで、シフティーには見られることも無い。

 

2人は―――何とかするか。

 

俺はそう考えながら前に出る。

 

「クロガネ少佐! これ以上の戦闘は!」

 

「そうだよ! もう私達には残弾は無いんだよ!」

 

「そうだな…。俺の[ディアボロス]の弾切れだ。そしてどういう訳か小型化して復活したブラックスミス。状況は最悪―――だが、それを変える事が出来るようになった」

 

「なにをいっているの!?」

 

「クロガネ少佐! その怪我では!!」

 

「心配してくれてありがとうな。人としての俺はこれ以上は戦えない。だが―――悪魔としてなら話は別だ」

 

俺はそう二人に行って脳内に埋め込まれたアーセナル制御デバイスを思考して操作。

 

「―――ユーザーネーム“クロガネ”。アーセナル[X MACHINA(エクスマキナ)]展開」

 

俺がそう唱え終わると、俺の周囲に赤いエブラ粒子が出現すると同時に黒と灰を基調とした全身装甲の近未来デザインアーマーが纏われていく。

 

「え…」

 

「どうなっているの…」

 

2人が驚く中、アーセナルの装甲が稼働しながら男性声の機械音声が脳内に鳴り響く。

 


《アーセナル機動シケーンス開始》

 

《武装及び安全装置確認》

《大口径アサルトライフル[グリムリーパーⅡ]2丁、オフライン》

《ナックル型近接パイルバンカー[タイラントハンマー]1機オフライン》

《右バックパック拡散レーザーキャノン[デッドリードライブ]オフライン》

《大型自動防御シールド[サテライトシールド]オフライン》

《高機動粒子兵装[ウイングシフト]オフライン》

 

《脊髄とのデータリンクテスト開始―――正常》

 

《正常稼働武装が[タイラントハンマー]1機ですが問題ありませんか?》


 

アーセナルの制御システムがそう問いかけて来た。

 

勿論―――

 

「問題ない」

 


《ユーザーの認証を確認。クロガネ専用アーセナル[X MACHINA]起動します》


 

その音声と共に頭部も装甲に覆われ、正面の装甲が顔面に展開され、ヘッドマウントディスプレイが俺の視界に広がった。

 

実に100年ぶりにアーセナルを纏うな。

 

流石にエブラ粒子を吸収しながらの自動修復には時間がかかった。

まあ、コアとタイラントハンマー1装以外は全壊だから仕方がないか。

 

「クロガネ少佐…その姿は……」

 

「クロガネ様が…変身した?」

 

「悪いが詳しい事情は話せない。それと位から見る光景はこの場で留めて置いて欲しい」

 

俺は二人にそう言い、アーセナルを纏った身で前に出る。

 

右肩部には唯一の子った武装の[タイラントハンマー]のみ。

 

俺はそれを量子変換すると同時に右手に装着。

 

その光景をみた復活したブラックスミスが中央の発光部分を点滅させた。

 

まるで俺に恐怖しているかのように。

 

そうだろう。

 

100年前、ラプチャーを最も葬り去った者の姿と完全に一致するのだから。

 

そしてそれを行った本人もいる。

 

奴等―――ラプチャーにとって俺は悪魔。

ラプチャーを狩り葬り、破壊し尽くす機械の悪魔(デモンズエクスマキナ)

 

今ここに…悪魔は復活した。

 

そして、この姿になった今―――奴を一撃で葬れる。

 

[タイラントハンマー]レディ』

 

俺がそういうと同時にタイラントハンマーから光が発せられた。

 

―――!?

 

復活したブラックスミスは俺がやろうとしている事の脅威を察し、逃げようと後方に跳躍しようとする。

 

当然逃がす気はない。

 

俺は両足にエブラ粒子を集中し両脚部の装甲が展開。

 

そのまま地面を蹴り上げながら翔け、音速並みのスピードでブラックスミスに肉薄。

 

そしてチャージしたタイラントハンマーを構え―――

 

『奈落に堕ちろ!!』

 

復活したブラックスミスのコアに目掛けて振り放つ!

 

 

―――ドォォォォォォォォンッ!!!!

 

 

轟くような衝撃音と共にタイラントハンマーの最高出力によって復活したブラックスミスは跡形も無く消し飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

タイラントハンマーの最大出力で跡形も無く破壊されたブラックスミス。

 

奴がいた場所から横幅数メートル、直線百メートルの廃墟や木々なども地面をえぐるように消し飛んでいた。

 

久々の稼働にしては及第点と言ったところか。

 

さて―――

 

「クロガネ様…それは…一体なんなの?」

 

「………」

 

アニスとラピがこちらに来た。

 

アニスは訳を求め、ラピは信じられないものを見たかのように口が動かない様子だ。

 

『ついさっきまで修復中だった俺本来の力だ。詳細は話せない―――それよりもマリアンを捜索してくれ』

 

「……とりあえず判った」

 

「……はい」

 

そのまま俺達は連れされたマリアンを捜索した。

 

元々捜索予定だった調査隊はブラックスミスによって部品をはがされてブレインシェルターも無くなっていて死亡。

その隊を率いていた指揮官も無残な死体で発見された。

 

そして―――

 

「指揮官。マリアンを発見しました」

 

『様子は?』

 

「生きてはいます……」

 

ラピはそう言いながらマリアンがいる方向に視線を移した。

 

そこのいたのは―――

 

「………」

 

大破どころではない状態のマリアンだった。

 

左足は大腿部からもぎ取られたかのように破壊され、残った右足も歩くことが不可能なくらいに歪に変形している。

 

右腕も方から捥がれたかのように消失、頭部も右目は赤く発行し、左目はうつろな状態だった。

 

「侵食が脳にまで転移しているわ。これじゃあ手遅れね」

 

「クロガネ少佐。侵食及び脳が破損したニケは―――」

 

『わかっている』

 

俺は上半身のアーセナルを量子変換で解除。

 

胸部にあるホルスターから拳銃を取りだす。

この拳銃はゴッデス部隊の時に良くしてくれた相棒が、ゴッデス部隊から離れる際にもらった銃だ。

 

俺はマガジンを抜いてスライドを引き薬室から弾丸を取り出す。

 

あのブラックスミスの蛇腹剣形状の触手でやられた怪我は既に塞がり、俺の乾きかけた血が弾丸全体を包んだ。

 

俺はその弾丸を壊れないように握り締め、マガジンに装填。

 

そのマガジンを拳銃本体に装填してスライドを引いて薬室に弾丸を送った。

 

そして銃口をマリアンの額近くに向けた。

 

「マリアン。このような事を防げずにこうなってしまいすまない。俺を許さなくていい、恨んでもいい。だが俺はここに誓う―――お前をこんな目に合わせた奴は、()()()()()()()()()()()()()。だから―――」

 

俺がそう言いかけた瞬間―――

 

「クロ…ガネ……少佐……あり…がとう…ござい…ます……」

 

マリアンの左目に光が僅かに戻った。

 

「マリアン!?」

 

「え…」

 

「これは…」

 

ラピとアニスも驚いている。

侵食が脳にまで転移したニケがこうなることはまずないからだ。

 

「……クロ…ガネ…少佐。包……帯…うれし…かった…です。……少し…の…間…でし…たが……共に……戦えて……戦友……として……いてくれて……ありがとう…ござい…ました…」

 

「こんな俺を…()()()()()()()()()

 

俺の問いかけにマリアンは何も言わなかった。

 

その代わりに俺に向けて―――優しい微笑みを向けて再び動かなくなった。

 

「そうだな…。もう言葉はいらないか…ありがとうマリアン―――(悪魔)を赦した勝利の女神よ

 

俺は引き金を引いた。

 

乾いた銃声が周囲に鳴り響き、薬きょうが虚しく地面に落ちた。

 

俺はマリアンの頭に包帯を巻いてそのまま彼女を両手で抱えるように持ち上げた。

 

「クロガネ少佐…」

 

「マリアンを…どうするの?」

 

「こんな戦場じゃ……ラプチャーが闊歩するような荒れ果てた場所じゃ彼女は静かに眠れないだろう? だからせめて静かな場所でな…」

 

「そう…ですね」

 

「うん」

 

ラピとアニスも同意してくれた。

 

その後は近くにあった大きな木と小さくも綺麗な花畑を見つけマリアンを木の近くで寝かせた。

 

そして、俺は右胸を手に当てて―――

 

「来世は幸せでありますように……」

 

祈りを捧げ、ラピとアニスと共にその場を後にした。




どうしても、マリアンの死を思い出しながら書いていると室内なのに雨が降るんですよね……。
どうしてでしょうね。

そして自分は石を割ってイベスト2を見終わりました。

ネタバレ無しの感想は―――石を割ってみる価値大いにありです。

では!
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