赤い血を撒き垂らし、遺児の身体が傾く。脳漿をぶちまけた彼奴の目が白目を剥いた。
『××××××××××××××××××!!!!』
ゴースの叫びとも判別できぬ"音"が、私の耳を貫く。
目と耳、鼻から止めどなく血が溢れ出し、目眩がしてくる。
濃い、濃い血の匂いだ。
噎せ返るような。
私は大砲に一発分の弾を込め、走り出す。痛みなど無視しろ、走り出せ、自分の身体のことなど知ったことではない!
仕込み杖を振るい、仕掛けを起動させる。
仕込み杖が分裂し、刃を持つムチへと形態を変化。
シャラララララ! と細かい鉄と刃の、相手の命を削る音を鳴らし、私の腕の動きと連動して振るわれる。
狙うは遺子の首、ではなく。
ゴースの身体へと届かんとした。
そのとき、遺子が笑った。
脳症をぶちまけ血を撒き散らし、少し前まで両目の焦点が定まっていなかった目が、私の目を見つめる。
たったそれだけで私の脳みそが掻き回されたかのような激痛を襲う。
さらに眼球と耳からの出血が増す。
ああ、わかるぞ。届く、頭の中に、宇宙の、生命の、上位者とは、人とは、星とは、世界とは、我らは一にして集合体の形をしながらその形は常に不定形のようで水のように柔らかで火のように冷たく氷のように熱く揺蕩いながら何か食べて飲み込まれながら――っかぁ!!
強制的に流し込まれる啓蒙に、意識が遠のきながらもゴースの身体に刃が届く。
細かい刃がゴースの身体に食い込み、肉をズタズタに切り裂いていった。
ダメだ、傷が浅いっ、これじゃまだ仕留められんっ。
事実、ゴースの顔に変化はない。血を撒き散らし、胴体らしき場所にある血塗れの顔がニチャリと歪ませて笑顔に変える。それだけで脳に多大な痛みを与えてくる。
この上位者二体に遠くから見つめられるだけでこれだ、近づけばどうなるかっ。
待て、ドバンたちは大丈夫か? 見るだけで発狂させる存在の近くにいるのは。
その瞬間、私は左腕の大砲をゴースに突きつける。そして、弾を発射。
一秒でも早く戦闘を終わらせなければ、周りのもの全員が死ぬっ。
大砲の弾がゴースに着弾し、肉と血と悲鳴を撒き散らす。
さすがに大質量の弾が身体に食い込み爆ぜれば、平気ではいられないらしい。
次の弾を装填し、備えるつもりだったが気づく。
目の端っこで光が!
「っく!!」
思わず横っ飛びに転がると、私がいた場所をエーブリエタースが放った数条の光線が降り注ぐ。
さらに転がる。一度、二度三度、数条の光線が襲いかかってきた。
視界の端に捉えたエーブリエタースが、光線を放つのを止めたのを見た。
よし、反撃に、
『ああああああああああああ』
目を転じれば、そこには遺子がいた。
腹に繋がった胎盤状の大型刃物武器が、その手に握られている。
前に見たそれよりも輝きも禍々しさも、増していた。
躱しきれない。
遺子の顔が愉悦に歪む。
死ぬ。
「くっそおおおおお!!!」
再び、再びだ。
横合いから飛び出してきたドバンが、遺子の顔面を車輪でぶち抜く。遺子の顔の半分が打撃で爆ぜて欠損、衝撃で吹き飛ぶ。
感動する、さすがはドバン、アルフレートだ。
「助かった、ドバン」
「だだだ大丈夫なのか! 顔が血塗れだぞ!!」
「まだ平気だ。発狂に至ってない。それより、ドバンこそ」
そこで私は気づいた。
ドバンに発狂が蓄積している様子がない。
こいつ、まさか強靱な意志で発狂や啓蒙を、完全に遮断していると言うのか!?
素晴らしい狩人だ。
順当に経験を積めば狩人として開花するだろう。
その素質としては私よりも遙かに上、いや、あるいはカインの流血鴉すらも上回るか!?
ならば、勝てる。
この最高の仲間がいるならば、上位者三体を狩るなど容易いことだ。
私は血塗れの顔を拭い立ち上がる。
ドバンの横に立ち、膝を奮い立たせた。
さすがだ、ドバン。
お前の隣は、安心するぜ。
NIKKE三周年は最高でしたね☆
この後のエピソードでNIKKEのサブイベントを盛り込んでも良いかどうか?
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サブイベントも書いていい
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メインストーリーだけ進行して欲しい