「……ということだ、指揮官。すまんが当分帰れない」
『ちょっと待ってくれ! クロウを射殺した? アウターリムに上位者がいる? 殺せばアークに多大な悪影響があって、それでも狩るってことか!?』
「そうだ。どれだけ悪影響があれども、上位者というものは即、狩らねばならん。そうせねば、甚大な被害を周囲に及ぼす。時間がないのだ」
私は端末で指揮官と連絡を取り、上位者狩りを始めることを伝えた。
アウターリムは薄暗く、どことなくヤーナムのマシな部分と同じ臭いがする。油断はできないが、そこまでではない。
だから端末で連絡なんて、暢気なことができるのだ。パシャリ、と水溜まりを踏んで先に進む。
「ドバンに協力を要請したが……生憎と断られた。となれば、一人でさっさとやるしかない」
『いや、それにしたって……! すまない、ちょっと待ってくれっ』
うん? 端末の向こうから騒がしい声が聞こえてくる。どうやら誰かがいるようだ。
無邪気な声だ、幼さを感じさせる語調の女性だな。
『マリアン、わかった、わかったから……!』
「どうした指揮官?」
『ああ、こっちも地上へ行く任務があるんだっ。アンダーソンに連絡を取って、そっちに行こうと思うんだがっ』
「それならばそっちを優先した方が良い」
端末の向こうで息を呑む声が聞こえる。私の返答に、どう答えればいいのか迷ってるのだろう。
「貴公の役目は地上奪還だ。それを疎かにしてはいけない、決して」
『だがっ』
「上位者狩りが私のやるべきことだ。貴公は貴公の道を行くが良い」
私はそのまま端末の通話を切る。最後に「待っ」と聞こえたが、敢えて無視。
端末を懐に仕舞う……ところで、再び通知がなった。
指揮官よ、心配性だな、と思って画面を見ると、見知らぬ番号。
気になったので通知を繋ぎ、通話を開始する。
「誰だ?」
『初めまして、狩人。私はエニックです』
端末の向こうから聞こえてきたのは、感情を感じさせない女性の声だ。
抑揚が最低限、相手と円滑な交流を図ろうという気がないのが窺える。
しかし、エニック、か。確か……。
「ああ、ドバンの連絡先を教えてくれたものか。礼を言う」
『いえ、構いません。それよりも、最優先事項として申し上げることがあります』
「なんだ」
私が聞き直すと、エニックは答えた。
『上位者、と呼ばれるものを狩ることを、待っていただきたいのです』
みしり、と手の中で端末が悲鳴を上げる。怒りのあまり端末を握る手が強くなってしまった。
「……理由は?」
私はできるだけ、怒りが相手に伝わらぬように注意する。
真意を聞いてから判断しても良い、と、自分に言い聞かせた。
『現在、ドバンとシュガー、追加人員としてサクラをそちらに向かわせています。三人と合流し、人数と戦略を揃えてから、対象の排除に向かってください』
「よくやったエニック!」
思わず歓喜して叫んでしまった。
おぉ、ドバンよ。貴公も狩人の血が騒ぐか! 先ほどはあのようなことを言っておきながら、なんともいじらしい!
しかし、ちょっと気になってしまった。
「ドバンは嫌がっていたが、どうやってこちらに向かわせた?」
『拒めば副司令官の地位を剥奪する、と通告しました』
「そっか」
無職になるのはつれぇよな。
「それで? ドバンたちとはどこで合流すればいい?」
『そちらの端末から向かう先をシミュレートしました。目標地点周辺で合流できるようにルートを構築、ドバンたちに通達しています。あなたはそのまま、対象に向かってください』
気が利く女性だ。言葉の意味はわからないが、このまま進めば合流できると思えばいい、てことだな。
私は唇の端を持ち上げ、笑う。
「良い仕事だ。感謝する」
『私はアークを管理するAIです。当然の仕事をしたまでです』
「ふむ。では一つ報告しておく」
私はエニックに向けて言った。
「クロウ……エキゾチック部隊だったか? あいつら、上位者のナメクジに感染してるぞ」
返答はない。だが、私は構わず続ける。
「クロウは私が仕留めた。胴体に銃弾を二発撃ち込んだ。死体処理なりなんなり、早くするといい。感染が広がるぞ」
『……情報を取得。他、アンダーワールドクイーンのモラン、ロザンナを現場に急行させ、クロウのボディを回収、及びエキゾチック部隊、バイパーとジャッカルの拘束を通達しました』
「それがいい。……では、私は向かうぞ」
端末の通話を切って、私は胸が弾んだ。
そうか、ドバンが来るか! ドバンが来るなら、大丈夫だな!
しかし戦力的にこのままではあれか……新しいカレル文字を刻む必要があるか……。
私はそう考えながら、歩き続けるのだった。
この後のエピソードでNIKKEのサブイベントを盛り込んでも良いかどうか?
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サブイベントも書いていい
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メインストーリーだけ進行して欲しい