狩人さんはアーク暮らしを夢見たい   作:風袮悠介

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すまねぇ、風邪を引いたり年末の仕事の忙しさで更新が滞ってたぜ……!
頑張って書くから、また宜しくお願いします。


幕間劇1.3-影にて護衛をするらしい。したくない-

 逃げたい。

 激しく逃げたい。

 なんだろうか、文面から感じる厄介事の匂いが偽ヨセフカからの頼み事と同じくらいに感じる。

 だが、逃げるという選択肢を選ぶわけにはいかないだろう。

 

『指揮官、何事だ?』

 

 一応、事情を聞いてみる。

 予想は出来てるが、確認は大事。

 ちゃんと確認してお母さんのブローチを少女に渡したときと同じように、確認は大事だ。少女は泣いてしまい、その後は豚の餌に……。

 いかん、再びあの豚の尻を抉りたい衝動に駆られた。

 すぐに指揮官から返信が来た。

 

『着いてから説明する。緊急事態だ』

『その緊急事態とは何か説明しろ』

『頼む 速く』

 

 切実な状況らしい。私は溜め息を吐きながら端末をふところにしまう。ここでほっといて逃げても問題はないし何を言われてもどうもなかろうが、私は指揮官を助けるためにここに居るわけだし。

 助けなかったら本末転倒だ。

 私はアーク行きのエレベーターへ、足を向けた。

 

 

 

 

「初めまして狩人くん。私は」

「初めましてではないな、アンダーワールドクイーンのサクラ殿。銃を向けられたこと、忘れてはいない」

「狩人、悪いけど堪えてくれ」

 

 私はアーク行きエレベーターにて指揮官とサクラの二人と合流し、アークへと向かっていた。

 上昇する感覚の中で、三人だけの密室。

 自己紹介を始めようとしたサクラを制して、私は口を開いた。

 

「まぁいい。事情を話せ、何があった?」

 

 盗み聞きしたこととシグナルから話を聞いたことは言わない。

 改めて彼女の口から、事情を聞いてみたい。サクラは私の目を真っ直ぐに見つめながら答えた。

 

「わかりました……お話ししますね」

 

 サクラの口から語られたのは、まぁなんとも安直というか下らないというか。

 要するに、組織内にてサクラの後継者を求められた。

 しかしサクラはすでにニケとなった身、子を望むことはできない。

 そこでサクラは考えた。私にはすでに婚約者がいる、と。相手がいるから当面の不安はないと示すつもりなのだ、と。

 地上の桜の前でドラマと同じように愛を誓い、内外に事実として公表するんだそうだ。

 ちょうど今は桜祭りで、近くにまで行ける時期らしい。そして、サクラ率いる清明会が、今回の祭りの用心棒役を担っているのだとか。

 

 私は眉間を指でもみほぐしながら天井を仰いだ。

 

「それで……私に何をしてもらいたいのだ?」

「私の部下と一緒に、護衛をお願いしたいのです。……指揮官は有名ですから」

 

 なんだ今の間は。

 いかん落ち着け。眉間を揉んで落ち着け。

 

「護衛ならば、尚更部下で良いだろう。何故私に?」

「私の部下の他に、影ながら護衛をしてもらった方が確実でしょうから」

「そういうことだから頼む」

 

 あぁ、指揮官。わかってないな。眉間を揉む速度を上げながら、私は落ち着こうと努める。

 これ、絶対に事情が違う。

 いや口から出任せを言ってるわけじゃない。

 

「キミには苦労を掛けます……改めて、嫌ならここで」

「サクラ。私は今、キミの夫として振る舞うと言ったんだ。ちゃんとするさ」

 

 私はこっそりとサクラの横顔を見る。

 紅潮してる。

 頬が紅潮してる。

 笑顔を浮かべながら、口の端でしてやったりとニヤけている。

 厭しか女ばい。

 

 こいつ、絶対に清明会の問題にかこつけて指揮官との仲を深めたいだけだ。

 こいつもドラマを見て、指揮官とそれがしたいと思っただけだな。

 

 清明会云々の話は本当なんだろう。そこに嘘はない。

 嘘は言ってないだけで、本当のことも言ってない。

 清明会の話という大義名分を持って、桜祭りに指揮官をデート? とやらに誘いたいだけだ。

 指揮官は気づいてないが。

 気づけよ面倒くせぇ。

 面倒臭いよこの事態。

 逃げてぇ。

 

「そうか……うん」

 

 だが、逃げられない。

 このエレベーターに乗った時点で、私は逃げられない。

 アークに到着して外に出た瞬間、サクラの部下が出迎えのために待っていることだろう。

 待ち伏せしてる。そして、一緒に来た指揮官を夫と言って、私は指揮官に親しい人間という形と護衛として雇ったと紹介するだろう。

 外堀から埋めようとしてやがる。

 夫を連れてきて、夫の友人にも認められて護衛役を快く引き受けてもらってるぞ、という形で外堀を埋めようとしてやがる。

 面倒くせぇ。

 こいつ、恋愛事に関して迂遠な方法と直接的な行動を同時に使うし、それで指揮官を手に入れようとしてやがる。

 清明会のボスという立場を最大限に使ってやりたい放題してやがる。

 マスタングは何をしてんだ。

 何もしてねぇんだろうな。ちくしょうが。

 

「わかった。引き受けよう……私は清明会の部下を隠れ蓑に、こっそりと護衛をすれば良いのだな?」

「ええ。指揮官に近づくおん……怪しい人物を、それとなく離してください。部下に怪しいところは見せたくないのです」

 

 女って言おうとした?

 指揮官の顔を見ると、わかってないのかわかってるのかわからねぇ。桜祭りでどう振る舞おうかと考えてやがる。

 

 私は今回の事態にて逃げなかったことを心から後悔するのだった。

この後のエピソードでNIKKEのサブイベントを盛り込んでも良いかどうか?

  • サブイベントも書いていい
  • メインストーリーだけ進行して欲しい
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