北米

2025.11.13 16:30

米国のイノベーションにとって有害で逆効果、新たな移民規則で学生の実習訓練が終了または制限

Shutterstock.com

トランプ政権が取る可能性のある別の方法は、OPTとSTEM OPTの学生の雇用主に新たな法的、給与的、または管理的負担を導入することだ。「通常のOPTの本当の売りは、雇用主が簡単に従業員を雇用できることだ」とグリーン&スピーゲルのダン・バーガーはインタビューで述べた。「彼らは就労許可証を持って現れ、働くことができる。官僚主義が少ない」彼は、OPTがボランティアとして週20時間だけ働くこともできると指摘する。「それは本当に研修についてのものだ。それは人々が自分の分野で実務研修を受けるのを助けるものであり、必ずしも仕事についてのものではない」

OPTとは対照的に、STEM OPTは研修計画、市場賃金、E-Verify、そして潜在的な現地視察を必要とする。

アナリストはまた、政権当局者が「滞在期間」の終了を利用して、学生がOPTに移行することを困難にする可能性についても懸念している。提案された規則では、学生は4年間などの固定期間のみ米国に滞在でき、それ以上滞在するには延長申請が必要となる。学生が固定期間の終わりに学業を修了した場合、DHSがOPTを追求するための米国滞在延長申請を拒否するかどうかをアナリストは疑問視している。バーガーは、現在の文言では「滞在期間」規則が一括してOPTを拒否することを認めているとは考えていない。しかし、DHSが「極端な審査」を導入し、多くの申請を拒否する可能性はあると考えている。

予想される経済と移民への悪影響

経済学者は、OPTとSTEM OPTの終了を米国のイノベーションにとって有害で逆効果だと見ている。

ジョージ・メイソン大学の経済学教授マイケル・クレメンスの研究によると、「最も明確な証拠は、米国大学の外国人卒業生がイノベーションの大幅な増加をもたらすということだ」「米国大学の外国人卒業生が米国に留まるよう広く誘致する方法を模索する移民政策は、圧倒的な証拠が示すように、国益に資するだろう。OPTを終了させることは逆効果となる」クレメンス、エイミー・ナイス、ジェレミー・ノイフェルドによる米国科学・工学・医学アカデミーのための研究によると、OPTの終了は米国の生産性を損ない、経済成長を低下させ、ユタ州やサウスカロライナ州などの州全体に相当する国内生産を米国経済に失わせるという。

ノースフロリダ大学の経済学教授マデリン・ザヴォドニーは、OPTに関する約10年分のデータを調査し、「結果は、OPTプログラムがSTEM分野の米国労働者の雇用機会を減少させていないことを示している」と結論づけた。アメリカ政策財団の研究によると、「米国労働者の数に対して、OPTを承認された外国人学生の数が多いほど、それらの米国労働者の失業率は低くなる」ことがわかった。

OPTとSTEM OPTを終了させることは、留学生が米国に来て卒業後に働く可能性を低くするだろう。それはドナルド・トランプが2024年にポッドキャスタで語った移民政策への願望と矛盾する。「私がしたいこと、そして私がすることは、大学を卒業したら、自動的に卒業証書の一部としてこの国に滞在できるグリーンカードを取得できるようにすることだ」と彼は述べていた。

forbes.com 原文

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2025.10.22 16:00

BENTLEY The Craft of Excellence ── クラフツマンシップが紡ぐ至高を心に刻む

夏の夕暮れ、都心の高層階で幕を開けたベントレーの特別な一日。Forbes JAPANと共催したこの試乗会は、「ラグジュアリーの本質」を体感できる場だ。テーマは「The Craft of Excellence」。招かれた経営者、ビジネスエグゼクティブたちに対し、伝統と革新、クラフツマンシップとテクノロジーの共鳴を、一つひとつの体験を通じて提示した。


会場はアンダーズ東京49階、スカイビュースイート。広がる東京湾と高層ビル群が、これから始まる時間の舞台を予感させる。試乗会の参加者が着席すると、冒頭にベントレーモーターズ ジャパン ブランドディレクター遠藤克之輔が登壇。ベントレーが次の100年に掲げる「Beyond 100+」戦略、そして完全電動化を含む大胆な変革について語った。革新の核心にあるのは「人の手で培われた価値をどう未来に継承するか」であることが強調された。

続いて、レーシングドライバー澤圭太によるブリーフィング。ベントレーのプロダクトの説明、そしてルートの説明に続き、特別な体験に導くためこの日用意された車両を紹介。新型コンチネンタル GT スピード、オープントップのGTC スピード、ベンテイガ アズールなど8台。いずれも英国クルーの職人たちが仕立てた、ベントレーが誇るモデルたちだ。

試乗体験 ― 都会と海をつなぐ道で

17時50分、アンダーズ東京1階の車寄せから車両が一斉に発進する。市街地を抜け、東京タワーを横目に芝浦へ。やがてレインボーブリッジに差し掛かると、夕暮れの海が眼下に広がり、湾岸の夜景が視界に重なる。走行は約60分。高速と一般道を組み合わせ、都市と海をつなぐルートが選ばれていた。

都心部というロケーションの試乗会で、もっともベントレーがその特性を色濃く表現するのは「調和」だ。力強く立ち上がるエンジンフィールがある一方で、室内には静けさが満ちるという、不思議なムードを参加者たちは感じる。
厚みのあるレザーの豊かな風合いとその香り、カーボンファイバーやレザー、ウッド、さまざまな素材で構成されるインテリアパーツが醸し出すオーセンティックな雰囲気、ステアリングから伝わる柔らかな手触り。そのすべてが「職人の手」を通じて仕上げられた、文字通り唯一無二の空間だ。

ベントレーは、ステアリング1本に5時間かけて620針を手縫いするという手の込んだ工程をいまなお残している。効率ではなく、人の感覚が生みだす精度にこそ価値があると信じているからだ。

深い記憶に残る体験はつづく

走行を終えた車列が虎ノ門ヒルズ ステーションタワーに戻ると、舞台はTOKYO NODE 49階の「KEI Collection PARIS」へと移る。そこではパリで三つ星を獲得した小林圭シェフによる特別コースが待っている。

ベントレーオリジナルのカクテルを口に運ぶと、試乗で感じた「解放感」がそのまま余韻として広がる。眼前に広がるのは美しい東京の夜景。ウェルカムドリンクを楽しみながらの歓談、そしてダイニングへ。

小林圭がそのこだわりを注ぎ込んだグリル ガストロノミー レストランに設けられた特別な部屋で供されるコースは、一皿ごとに物語を持ち、香りが先に立ち、味わいが後から静かに残る設計。これは「お腹を満たすのではなく、記憶を満たす料理」を標榜する小林シェフの哲学に根ざしている。

素材を粗末にせず、命に敬意を払う姿勢。その根底にある思想は、職人技を重んじ、天然素材をいまなおインテリアの核心に据えるベントレーの姿勢と響き合う。

赤紫蘇のグラニテ
赤紫蘇のグラニテ
熊本県産 延寿牛のユッケ 生雲丹 石焼き手巻き寿司
熊本県産 延寿牛のユッケ 生雲丹 石焼き手巻き寿司
兵庫県産 太田牛 極 フィレ
兵庫県産 太田牛 極 フィレ
ヴァシュラン エキゾチック
ヴァシュラン エキゾチック

この夜、テーブルを囲んだ参加者が感じ取ったのは「分野を越えて共有される価値観」だっただろう。同席する遠藤の口から語られる数々のベントレーのエピソード、Forbes JAPAN藤吉雅春編集長によるビジネスの開拓者たちの物語、そして隣り合う、各界の第一線で活躍するビジネスパーソンとの会話。

クルマも料理も、人の記憶に残るのは価格や機能ではない。香りや触感、空間の空気、そして一同に介する才能といった要素が、何年後かにふと蘇る。そこにこそ「真のラグジュアリー」が宿る。

未来に向けて紡がれるもの

21時半、イベントは静かに幕を閉じた。だが体験は終わらない。参加者の記憶の中で、夜景を走り抜けた感覚や料理の香りが何度も再生されるからだ。

ベントレーが提示したのは、クラフツマンシップとテクノロジーの両立であり、革新の中に人の感覚を残すという思想だった。それは「効率化」とは対極にある姿勢だが、だからこそ心に届く。小林シェフの料理と同じく、努力の痕跡を見せずに自然な美しさを体現する。その哲学が二つの世界で重なったとき、豊かさの未来像が輪郭を帯びる。

「The Craft of Excellence」と題されたこの一夜は、ブランドが言葉で語るのではなく、体験そのものがその意味を語る時間だった。

クルマと料理、二つの表現を通じて示されたのは、人が人のために磨き上げる技の価値。伝統と革新を往還しながら、未来のラグジュアリーをどう定義するか。その答えを、参加者は自らの五感で確かめただろう。


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北米

2025.08.21 15:00

移民や留学生の受け入れなしでは「米国大学の多くが閉鎖危機」、雇用機会の減少も 報告書

教員職143人を解雇したウェストバージニア大学(Shutterstock.com)

教員職143人を解雇したウェストバージニア大学(Shutterstock.com)

米シンクタンクの米国政策財団(NFAP)の報告書によると、米国の大学の多くが移民や留学生を多く受け入れられなければ閉鎖に追い込まれる可能性があるという。そうした事態になれば、米国の学生にとっては学校の選択肢が減り、大学が立地する町の労働者にとっては、雇用機会が減ることになる。

データは、米国生まれではない学生がいなければ暗雲が垂れ込めることを示している。留学生を含む現在の移民政策は、米国の高等教育の将来に影響を及ぼす。

NFAPの調査によると、「移民や留学生、移民の子どもがいなければ、米国の学部生の数は2037年には2022年から500万人近く減り、現在の約3分の2の規模になる。一方、大学院生数は少なくとも110万人減り、現在の約6割の規模にとどまる」という。

調査をまとめた米ノースフロリダ大学経済学部教授のマデリン・ザボドニーは、米国外生まれの学生が欠かせない理由をこう説明する。

「米国の大学は『人口動態の崖』に直面している。2007年以降の出生率の低下により、米国生まれの大学に通う年齢の若者の数は2025年から減少に転じると予想されている」。ザボドニーはアトランタ連銀とダラス連銀の研究部門で、エコノミストを務めた経歴を持つ。

人口の変化は、米国の大学や大学周辺のコミュニティにとって試練となる。つまり、米国の政策立案者が移民を歓迎する政策を採用するのか、それともトランプ政権が反移民政策を貫くのかで、大学やコミュニティの将来が左右される可能性がある。トランプ政権はコロンビア大学に留学生への「依存度」を下げるよう求めるなど、教育関係者の目には留学生に対して攻撃的と映る措置をとっている。トランプ政権はまた、100万人以上の移民を強制送還するという目標を掲げている。

入学者減で移民と留学生の必要性が明らかに

大学に進学する米国生まれの人の数は、2025〜2029年に15%減少する可能性がある。分析によると、米国の高等教育機関への入学者数は2010〜11年にピークを迎え、その後、減少に転じた。

「学部入学者数の3分の1、大学院入学者数の5分の2近くを失うことは、多くの大学、特にすでに人口の減少が進んでいる地域に立地する大学にとって壊滅的な打撃となるだろう。多くの大学が閉鎖されて米国の学生の教育機会が減少し、多くの州や町で大学関連の雇用が減り、米国内の大卒労働者が減少することになる可能性がある」と報告書にはある。

閉鎖される可能性が高い大学はイェール大学やコロンビア大学といったトップ校ではなく、もっとランクの低いところだ。「地方大学や一般教養課程を主体とした小規模の大学、特に田舎にある大学が最も厳しい状況に直面する」とザボドニーは言う。米国人の学生も留学生も、有名大学への進学を希望するだろう。

「小規模で知名度の低い大学は、学生を集めるのが難しくなる。名の通った規模の大きな大学の入学率が上がれば、特にそうだ」とザボドニーは指摘する。「外国人の大学院生がより多くの研究リソースを持ち、学位取得後の就職に有利な大規模な大学に進学できるのであれば、地方の大学が外国人の大学院生を受け入れるのは特に難しくなるだろう」

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翻訳=溝口慈子

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