私が気になって指揮官室まで来ると、中から声が聞こえてきた。男性の声は指揮官、女性の声は……サクラという少女だろう。
確か彼女はアンダーワールドクイーンと呼ばれる、例えるならば聖歌隊を1000倍マシにしたような非合法組織の長とのことだ。
そんな彼女と指揮官がなんの話をしているのか、もし困った話をしているならば手助けができるだろうか。
そう思って、私は部屋に近づき、聞き耳を立ててみた。
「……くん、単刀直入に言います。うちの人になってくれませんか?」
「聞き間違いだろうか……うちの人?」
「簡単に言えば、夫ということですね」
手助けできることは何もないと判断しよう。私は踵を返してその場を去ろうとした。
ビックリした……まさかこんなところで婚姻の申し出とはな……指揮官も随分と隅に置けぬ男だな……。
前々から女性に言い寄られる、懐かれる、慕われている部分はあるなと思っていたが、まさかここまでとはな。
私はさっさとコマンドセンターを出て、自身の拠点にしているゲストキャンプに向かうことにした。
「……そういえば」
が、私は途中で足を止めた。
ウンファたちとの訓練中、何やら地上の桜がどうとやらと言っていたな。
サクラの話を聞いて桜の話を思い出すとはあまりにも安直すぎるが、気になってしまったら脳裏にちょいちょい浮かんで鬱陶しい。
どういう話か良くわからないし、詳しい人に聞いてみるか。
そうなると、興味が出てきた。
ここら辺でああいったものに詳しい人と言えば……私は前哨基地を見渡し、目当ての建物を見つけた。
観測所。
前哨基地に近づく敵を感知するために建設されたものらしく、つくづくここが私の知るヤーナムではないことを教えてくれる施設だ。
私はそちらに足を向けた。
「……という感じの恋愛ドラマなんです」
「ふむ……なるほど、それまでの過程をすっ飛ばして、自身が求める結果を一足飛びに手に入れる……褒められた行為ではないな」
「こ、こういうのは恋愛のジンクス、なので……」
「なるほど、ジンクス。私も望んだ血晶石を手に入れるため、いろいろなジンクスをやってみたものだ。そういうことなら理解できる」
それとはちょっと違うのですけど……と呟くのは、この観測所に詰めるスカウティング部隊の一人であるシグナルと呼ばれる少女だ。幼く背の低い外見と、愛らしい仕草を見せる子で、仕事の最中でも暇があればテレビとやらで演劇をみることを趣味としてる。
とはいえ職務には忠実で、通信技術に関しては一級品だとか。
なのでシグナルならば桜の話に関して何か知ってるかと思って聞いてみたが、どうやらテレビの恋愛ドラマとやらの描写に出てくる、恋愛成就のジンクスに肖った話なのだと分かった。
私は腕組みをしながらシグナルの話を聞き入り、先ほどの指揮官たちの事情を察してみる。
「ふむ……つまりサクラは指揮官を相手に、その恋愛のジンクスとやらを試そうとしている、ということか」
「え? し、指揮官が誰かとそういうことをするんですか!?」
「あぁ……どうやらアンダーワールドクイーンのサクラが指揮官に夫になってくれと言っていた。さらにこの時期で桜のジンクス……関連がないとは到底思えない」
シグナルは衝撃を受けた顔で「そんな……指揮官が……」と項垂れている。
とはいえ仮の話であり、本当に桜の話なのかはわからない。夫になってくれ、という言葉しか聞いてないからだ。
理解し難いが、桜の前で改めて夫に、恋人になってくれと言う。
随分と乙女な話だ。
「そういうことなら、私の出る幕はないか。シグナル、世話になった。私は帰るとしよう」
「え、あ……はい……」
シグナルは項垂れたまま、私と別れの挨拶を交わした。
そのまま観測所から出た私は、一度戻って休むことに決めた。指揮官周りの話は、ただの個人間における恋愛話だ。私が関与することではない。
足を踏み出した私の懐で、携帯端末が震える。どうやら誰かから連絡が来たようだ。
携帯端末を操作すると、指揮官から連絡が来ていた。
『すまないが、協力してほしいことがある。アーク行きのエレベーターで落ち会おう』
……なんで私を巻き込もうとするんだ、指揮官??
この後のエピソードでNIKKEのサブイベントを盛り込んでも良いかどうか?
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サブイベントも書いていい
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メインストーリーだけ進行して欲しい