狩人さんはアーク暮らしを夢見たい   作:風袮悠介

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祖母が亡くなってお葬式と初七日で忙しかったのですが、復帰できました。
お待たせして申し訳ない。


幕間劇1.1-教官と商人は慎ましやかだが厳しいらしい(Cherry Blossom異譚)-

「……ふぅ……!」

 

 コマンドセンターの外で、私はシモンの剣を変形させ、射を射っていた。

 朝っぱらから……というか地下生活に朝とか夜かとあるのだろうか……こんなことをしてるのは単純な話で、一つの大きな問題に行き当たったからだ。

 その問題を解決するために、私は用意してもらった厚い鉄板に印を付けて、こんな練習をしている。

 高速で放たれた水銀の矢は鉄板をぶち抜き、その先の軒先に着弾。大きな土煙を上げた。

 

「……どういう威力だ、その弓」

 

 私の練習を見てくれているのは二人。指揮官の紹介で、こういった武器の習熟訓練に関して助言をくれそうな人にお願いした。

 一人はエリシオン最強の部隊、狙撃手とやらと現場判断を担っているウンファと呼ばれる少女だ。

 つり上がった瞳と冷徹な顔つきだが、非常に良く整っておりお人形さんを彷彿とさせる。私の知ってる人形と同じ綺麗さだ。あっちの方が私の好みだが。

 周りの女性は豊かな胸をしているのに対し、彼女は実に慎ましやかな胸と整った体型をしていた。部隊としての黒い戦闘服と帽子を身に付けた、戦場巧者と私は見た。

 

 慎ましやかな、胸をしているのだが。

 

 彼女は矢が放たれた先……印を付けた鉄板に触れ、穴の空いた部分を観察している。

 指でなぞり、近づいて目で観察し、何故か匂いを嗅いでいた。

 

「私が知る限り、弓矢で鉄板を貫く……いわゆる鎧抜きというのは知識だけなら知ってる。だが、実際にそれを可能とした人物は知らない。

 しかも、ただぶち抜いただけじゃない。矢の大きさに対し、穴の大きさが合わない。まるで着弾した瞬間、鏃が変形して命中部分以外も壊しているような。

 銃の弾にもそういうものはある。あえて命中したときに先が変形する弾丸だ。お前に言ってもわからないだろうが、お前の使っている矢は似たような効果を発揮してるな」

「実はヤーナムに……これを元々使っていたシモンと呼ばれた男の武器を手に入れたときから使っているが、詳しい原理は私にもわからない。手に持てば、なんとなく遺志を感じて使えるだけだからな」

 

 私自身、こういった武器の原理原則なんてものはふわっとしか理解していない。

 武器を手に持つと、自然と使える。まるで武器に込められた遺志に導かれるか、外から操られるような。

 シモンの剣の表面を右手でなぞりながら答えた。

 

「それで? どうだろうか……この弓でラプチャーと満足に戦えるか?」

「……弓はどれくらい離れた位置から射って命中させられる」

「ふむ……」

 

 ウンファの質問に、私は言い淀む。

 

「ヤーナムにいた頃は、せいぜい目視できる範囲……歩数にして5歩以内でしか使ったことがない。獣との戦いは近距離戦が基本だからな」

「話にならんな」

 

 ウンファはこちらに振り向き、呆れながら答えた。

 

「15歩や……せめて10歩くらいの距離からの使用に習熟しているならともかく、そんな近くで弓を使う意味はほぼほぼない。お前は私たちの銃を見ているだろう? 私たちはニケだ、お前の想像よりも遠くから銃を扱い、ラプチャーと戦っている。私など、自身の兵種の関係でさらに遠くから戦える。

 最長距離……そうだな、間合いと言おうか。それくらいの間合いでの戦いを前提にしているのに、一人だけ前に出て弓で戦うなんて、後ろにいる仲間からして迷惑でしかない。お前の背中を撃つハメになるからな」

「そうか……」

 

 彼女の指摘に、私は溜め息を吐いた。この答えは、私自身も予想していたものだからだ。

 ここまでハッキリと言われるとは思わなかったが。

 

 アメンドーズとの戦闘から日にちが経ち、私はある問題に行き当たった。

 自身の戦闘に使う道具の補充が行えないことだ。

 水銀弾、輸血液といったものだけではない。狩人の徴や匂いたつ血の酒、白い丸薬、毒メス、火炎瓶も何もかも補充できない。

 火炎瓶くらいなら自分で作れるかもと思ったが、やはり手に馴染んだ瓶がないので辛い。

 油が詰められた、手に馴染んだ瓶を獣に投げつけて相手を焼き殺す……狩人はそんなものだ。

 自分で製作できない、ならば誰かに任せようと思ったが指揮官に強く止められた。

 危険物を広めるな、と。

 失礼な。

 

 だが、水銀弾だけはどうにかなる。

 自身の血か体力かを媒介に、五発だけは作れる。

 輸血液をほいほい使うわけにはいかないが、これで誤魔化せる。

 減った血や体力は、ヤーナムにいた頃は考えてなかったが、ちゃんと飯を食って寝て休めばどうにかなる。

 しかし、作れる水銀弾だって限りはあるし、一度に用意できるものも十分ではない。

 水銀弾はこれからも使う。内臓攻撃に、灰を用いての銃撃、秘儀と山ほどに。

 少ない水銀弾を効率良く使う。

 

 そのためにシモンの剣を用意した。

 自身の技量によって威力をなんとかできる、と思ったのだが……。

 

「ダメか」

「ダメだな。私もイングリッドが持っていたお前の戦闘データを見た。そのうえで言うが、お前にニケの戦闘調練を元にしたアドバイスなんてできるわけがない。

 仮に私がお前の上官で作戦で運用しろと言われたら、指示を放棄して好き勝手にやらせるか敵陣に突っ込ませて好きにやってこいと放り出すかの二つに一つだ。

 なら、お前は自分の強みである近接戦闘を極めた方がいい。銃と武器での戦い方をな。他の奴らはお前の自己判断で行った戦闘で変化した戦場に合わせて動いた方が混乱が起きないし効率が良い」

 

 バッサリと切り捨てられるように断言された。

 このウンファという少女、実に現実主義というか効率主義というか、言うべきことはっきりとしてしていてわかりやすいものの、言葉が強くて落ち込む。

 

 言葉は強くとも胸は慎ましやかなのだが。

 

 いかん、頭の中にいらぬ考えがよぎった。

 

「わかったか? わかったら私は帰るぞ」

「それなら私も帰ろうか。ガッデシアムの鉄板を用意するのに、疲れたからな」

 

 この場に呼んだもう一人も、ウンファと一緒に帰ろうとしていた。

 

「ありがとう、ドラー。的を用意してもらって」

「構わないよ。お客様からの要望だ。狩人が訓練に使うものを用意してくれ、とな。ただの鉄板やトレーニング用品ではなく、とことん頑丈な奴と言われたから、要望に応えただけだ」

 

 私のお礼に答えたのがドラーという少女だ。彼女はこのアークにて商人をしているらしい。

 それも、裏方や非合法、なかなか手に入らないものまで扱うとか。だから頑丈な的を用意してもらうのに、指揮官が頼んでくれた。

 私よりも背が低く、アークにて商売人が着込む暗めの色合いをした服……紳士服に似ているがスーツというらしい……を着こなした、どこかやり手だが油断できない雰囲気をした少女だ。彼女の顔つきも冷静で、にこやかな表情も浮かべるがどこか冷たい。

 

 そして胸が慎ましやかだ。

 

 ……他の豊かな胸をした少女ばかりを見たせいだろうか、彼女たちの体つきが貧相に見える。いや、普通だったら抜群に整った体型のはずなんだけどな。

 大分私の感覚も麻痺しているらしい。ヤーナムにいた頃の常識を取り戻さねば。

 

 取り戻していいのか?

 

 まぁいいか。こうして胸の慎ましやかな女性二人の助けで、私の訓練もできたわけだし。

 帰ろうと準備しているドラーという少女を見ていると、血の遺志と引き換えに道具をくれた水盆の使者を思い出して懐かしくなる。

 使者も小さいしドラーも小さい。

 

 似たようなもんだろ。

 

「お前、なんか失礼なことを考えてないか?」

「何も」

 

 ウンファがジト目で睨んでくるが誤魔化しておく。いかんいかん。

 目を逸らした先に意識を向けてみると、なんかコマンドセンターに少女が入っていく姿が見えた。あの服装、確か……。

 

「サクラ……?」

「桜? 桜がどうかしたか?」

「いや、それが」

「そういえば地上の桜が公開されるらしいね」

 

 コマンドセンターに入った少女、サクラの話をしようとしていたが、ドラーが思い出したように私とウンファの話に入ってくる。

 

「地上の桜と言えば、今まで一般公開されてなかったものか」

「ああそうさ。地上から来た桜の木が初めて民間人にお披露目される。人気のドラマの舞台ともなったからね、多くの人が集まる」

「ドラマか……あの噂の?」

「その噂を目当てに来る人は多いだろうね」

 

 ウンファとドラーが何かを話しているが、私の耳には素通りしているだけだった。

 あの少女は確か、シュガーが言うには……。

 

「何やら、一悶着ありそうだな」

 

 私は手助けのつもりで、彼の部屋に向かうことにした。




ゼンゼロとかやり過ぎてブラボとニケをサボり過ぎてたぜー!
ランキングは取り戻せないわ敵に殺されるわで散々だ!

ゼンゼロ、一線から引きます。
タワー100階登ったし。

この後のエピソードでNIKKEのサブイベントを盛り込んでも良いかどうか?

  • サブイベントも書いていい
  • メインストーリーだけ進行して欲しい
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