筑紫女学園大のネパール復興支援が中止、寄付金150万円が未返金 「事業に疑義を呈されるのは遺憾」
2015年4月のネパール大地震を受けた筑紫女学園大(福岡県太宰府市)の復興教育支援事業で、同大が被災校舎の再建を中止したのに、前払いした建設費150万円が返金されていないことが分かった。原資の大半は寄付金や募金。大学は現地業務を担ったネパール人男性に「返金を求めている」としているが、問い合わせたのは建設中止の4年半後だった。(上野洋光) ■豪雨のため水位が上昇したネパールの河川【写真】 事業は、大学が中部ガンダキ州の中学校舎を再建する計画。関係者によると、同大は18年2月、建設費の半額に当たる150万円を男性の口座に送金。学生11人が同月、現地で施工準備の穴掘りに従事した。渡航費のうち66万円は県の若者育成の助成金から支出した。
だが建設は進まない。男性は大学に「校舎は政府が再建することになった。別の支援先を探す」とメールで伝えてきた。同大は19年1月、建設を事実上中止した。 4年後の23年2月、事業が不透明との声が学内で上がった。大学は同年8月、前払い金の状況をメールで男性に質問し、男性は「個人口座に保管中」とメールで返信。再三の残高証明書の提出要求には応じなかった。
大学は24年7月にも文書とメールで提出を要請。男性はメールへの返信で「金は請負業者や建設業者に既に渡った」とし、支援事業を担当する教授の名前を挙げて「1カ月以内に教授に電子送金する」と記した。「透明性のある説明はできない。下手な言い訳や偽の書類をでっち上げて証明できなかった」とのメールも送ってきた。 大学事務局によると、男性は教授の20年来の知人。学生が渡航した際は、男性が営むゲストハウスに宿泊した。男性を「教授の有能なサポーターで信頼に値する」と評価。「今年5月末に男性の口座に残高があることを確認した」とした。男性からのメールに、残高証明書の写真が添付されていたとしている。
同大は仏教系で、寄付金は仏教関係者や企業・団体が負担。学生も募金活動をした。 事務局は問い合わせまでに4年半かかった理由を「コロナ禍が重なり、支援事業を休止していたため」と説明。「事業に疑義を呈されるのは遺憾。返金が遅れているのは送金手続きの煩雑さも要因のようだ。今後も返金を求めていく」とした。
西日本新聞