中国製の電気バスに遠隔操作の「キル・スイッチ」搭載の懸念 欧州で警戒広がる
【ロンドン=黒瀬悦成】中国の大手バスメーカー「宇通」社製の電気バスについて、外部からシステムを遠隔操作してストップできる疑いがあるとして、バスを導入した欧州諸国の間で警戒が広がっている。欧州では英国やフランス、北欧諸国などで同社製のバス計6000台以上が導入されており、騒ぎが拡大する恐れがある。 遠隔操作をめぐる騒動は、ノルウェーの大手交通会社ルーターが自社で運行する宇通製の電気バスについて、「車載カメラの映像がインターネットに接続され、車内が監視可能になっていないか」「バスの制御システムが外部からアクセス可能になっていないか」-を解明するため試験を実施したのが発端だ。 ルーターが10月末に発表した試験結果では、カメラはネットに接続されていなかったものの、バッテリーや電源供給の制御システムがモバイル・ネットワークを通じて遠隔からアクセスできることが判明した。 これにより、制御システムが理論上、メーカーが遠隔操作でバスを停止させたり走行不能にさせたりする、いわゆる「キル・スイッチ」の役割を果たすことが可能になるとして、同社は遠隔操作をできなくする対策を取ることを決めたことを明らかにした。 デンマークの当局もノルウェーでの事態を受け、自国内で運行している中国製電気バスに関して対策を取る方向で検討に入った。 デンマーク最大の公共交通会社モビアは469台の中国製電気バスを運用しており、うち262台が宇通製だとしている。 一方、英紙テレグラフによると、英国でも一連の事態を受け、運輸省と国家サイバー・セキュリティー・センターが調査を開始した。英国内では現在、700台前後の宇通製電気バスが運行しているという。 同社は英紙ガーディアンに対し「車両の運行地域での法令や規則、産業基準を厳格に順守している」と説明した。 中国製のハイテク技術を巡っては、英国が2020年、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を自国の5Gネットワークから締め出すことを決めるなど、欧州全土で中国排除の機運が高まっている。