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セガ・エンタープライゼスの マーケティング戦略_VR奥儀皆伝( 8½ )(68 ⅚)【注釈U - n】

セガ・エンタープライゼスの マーケティング戦略_Number68 ⅚ 【注釈U - n
                          【( 8½ )総目次 
   (68⅚)【注釈U-n】セガ・エンタープライゼスのマーケティング戦略 続々
   (68⅚)【注釈U-m】セガ・エンタープライゼスのマーケティング戦略 続
   (68⅚)【注釈U-L】セガ・エンタープライゼスのマーケティング戦略

   (68⅚)【注釈U-k】インタラクティブな Reality 注釈U-j】 政商
   (68⅚)【注釈U-i】 VRのReality【注釈U-h】AS-1物語 続 【注釈U-g】AS-1物語
   (68⅚)【注釈U-f】鋳型化【注釈U-e】白川総裁発言。注釈U-d】IVRC2015。ケルズの書 /(68⅚)【注釈U-c】日加豪同盟。先住民族の知恵。ユリシーズ入口 /【注釈U-b_Pollux】死傷者ゼロ。レオ12世。なでしこの花 /【注釈U-b】シモネッタ。日本文化の波動つづき。八雲とブレイク
   注釈U-a】安全論証。← シラバス カナダの量子コンピュータ。一条天皇の辞世 /注釈T】上宮法皇の e パレード 。『ユリシーズ』 ← シラバス /注釈S】高松塚古墳 。← シラバス / ・・・注釈L】「e五節の舞」 VRデジタル復元 / マニエリスム年表(重要!)
 
   □ セガ・エンタープライゼスのマーケティング戦略 続々
   (68⅚)【注釈U-m】セガ・エンタープライゼスのマーケティング戦略 続
   (68⅚)【注釈U-L】セガ・エンタープライゼスのマーケティング戦略

   ○質疑応答

   司会者:セガさんは世間では、まだ「ベンチャー」のイメージが強いと思います。もちろんそういう性格もお持ちなのですが、現在は 一部上場企業で、アミューズメントの分野ではナムコさんと共にメジャーの会社です。
   今回セガさんにアプローチさせて頂きまして、本当にいろんなことをやっておられるので どこを中心にするか迷ったのですが、T田さんが、最前線をやっておられることから、今回の講演をお願いしました。 
   今日は アミューズメントセンターの業務用ゲーム機分野の話を中心に聞かせて頂きましたが、家庭用ゲームでも結構ですから、いろんな話をお尋ね下さい。

   K林:映画のトランブルさんのお話が出ましたが、ゲームソフトの分野で、作っている方は、日本人と外国人のどちらが多いのですか?
   T田:アミューズメント施設にある 業務用ゲーム機に話を限りますと、世界のほとんど 95%位のシェアを日本製が占めています。それで、日本人が多いということになりますが、VRで作られるコンテンツには、「まじめな作品」と「演出のある作品」の区別があります。どこの国の人が作っているというよりも、この違いの方が大きい気がしています。例えば、銀行のオンラインシステム。これは、まじめな作品です。朝の9時に会社に来て夜中まで働き、また朝の9時に会社に来る人達です。一方、ゲームソフトの開発をする人達は、夜中まで仕事をしますが、朝は出て来ません。そして完成直前には、休日も関係なしに働きづめです。さっき映画の制作に似ているという話をしましたが、芸術家なのです。ですから、銀行員のように「まじめに」ゲームを開発しろと言っても、無理だと思います。
   これは、大型機のVR開発でも同じです。たとえば、原子力発電所のためのお掃除ロボットは、まじめ。一方、AS-1のような開発は、エンターティメント性の強いVR作品です。従って、まじめなソフト開発と、演出のあるソフト開発とは、作る人の頭の構造、ソフトの作り方が全然違います。ですから、日本人と外国人の違いというよりも、演出があるのと無いの との、それぞれの分野に従事する人間の、クオリティの違いの方が大きいと思います。
   K林:日本人にもそういうクリエイティブな人とか、アーティスティックな人は多いと見て良いのですか?
   T田:個人的には、外国人よりも日本人のほうに多いと考えています。少なくともセガには、クリエイティブな要素をもった人間が何百人か、毎年セガに入りたいと言って来られます(注)。出身校にも、あまり関係ないんです。例えば、東大、東工大といったところからも、セガでゲームが作りたいと言って入社を希望される方がいます。そうした中から選ばれた開発センスのある人達が、ここで見て頂いたようなエンタティメント性の強い作品を作っています。

   (注)アメリカで、新しいエンタティメント施設「ディズニークエスト」が公開(98年)されたとき、日本の業界関係者は大変失望したのだが、個々のアトラクションに加えられたインタラクティブ性に関して、ナムコワンダーエッグやセガのジョイポリスのコピーばかりで、新規性に乏しかった。このため、テーマパークのアトラクションにインタラクティブ性を加えて作られたインタラクティブ・パークアトラクション(筆者の造語)を開発する技術は、日本が世界に誇る「固有技術」だと考えている。実際のところ、1990年から98年までの間、日本製を海外に輸出した場合を除いては、海外にこれに類似したアトラクションは存在していない。また家庭用のゲーム作品開発に関しても、最近こそアメリカ勢の追い上げが激しいもだが、日本製のメガヒットが目立っていた。業務用のゲーム機に関しては、日本の優位は変化していない。結論として、インタラクティブなコンテンツ製作では、外国人より日本人に優秀な人材が多いと筆者は考えている。

   K林:そういう人も、5年過ぎるとただの人になるとか・・・。

   T田:(笑)それは非常に良い ご質問なのですけれど、おっしゃる通り5年くらい開発を続けていると、誰でも、ちょっと壁に突き当たってしまうんですね。 セガは、急成長した結果、人間も増え続けていまして、今研究開発本部には 約千名がおります。その人達に 5年先くらいに、つまり市場の様子が少し変わってきた時点で、どういったキャリアパスを用意してあげるかというのが、現在、われわれの抱えている非常に大きな問題です。
   ただ、お蔭さまで、市場自体が非常に大きくふくらんでいますので、たとえば CATV網を通じてゲームソフトを配信する、ですとか、これまで「まじめな」ニュアンスの強かった分野においても、エンタティンメント性が必要になってきています。
   セガでは、研究開発者のキャリアパスを これから どのように作って行くかについて、「人材開発部」を中心に(社員の創造力活性化のための)議論を始めたところですが、解決方法として、一時、まじめな方向への転身もあるかも知れない と考えているところです。

   K林:おたく族とか宮崎勉とか、こういった流れを推進すると、人間性の問題とか社会性の問題とかが出てくるというのは、セガもそういった仕事をしているのであれば、研究はしておられないんですか?
   T田:85年の以前と以後とで、ちょっと市場の様子が変わってきたと申し上げましたが、それ以前については、プレイヤーに おたく的な人が目立っていました。ところが、女性のお客様が増えたことで 施設の雰囲気が、がらりと変わりました。もちろん おたくの方達も来られますが、郊外型店ではお母さんを中心に家族連れが来ておられます。そのお母さんは、別に 元おたくのお母さんではなくて(笑)、普通のお母さんです。それで、割合で言えば、おたくの方達はずいぶん減っています。
   じゃあ、われわれがゲーム機を作ることで、おたくは増えているのか、と 仮に設問してみますと、これは正確な数字がありませんので感触でお話しますが、ほぼ横ばいに推移しているのではないでしょうか。
   その理由ですが、「ゲーム人口」に関しては、風営法以前の83年から85年にかけて幾分減る傾向にありました。ゲーム自体が高度化して、マニアックになっていたのです。すると、それほど上手ではない人達が 数百円程度のコインを入れてみても 面白くありません。
   それで、マニアックな作品についてきて下さっている方たちを、仮に「おたく」と呼ばせて頂きますと、その方たちは増えるどころか、少し減って来ていました。逆の言い方をしますと、おたく以外の、何か面白いことがないか、と思ってアミューズメント施設にせっかく来てくださった方たちを、83、84年ころは 切り捨てていたのじゃないか、という気がします。これは 市場動向の 経年変化として 深堀りする必要があったかも知れません。ところが、、、
   それが、施設の内装も綺麗になった、という 大きな変化に伴って、なにより 女性たちが 施設にいっぱい来られるようになった事で、市場全体が活性化されました。結論として、おたく的な人たちは、横ばいに推移しているのではないかと思っています。

   司会者:その関連で伺いたいのですが、「UFOキャッチャー」や「テトリス」は割合素朴で、昔からあった種類のゲームですね。これが根強くあって、そこに女性やファミリー客が付いたというのは分かるのですが、他方で、中高年のおじさんや夫婦でもできる、ゆったりした落ち着きのある作品といった これまで試されていない 新しいジャンルについては、いかがですか。そんなインタラクティブ・ムービーのようなものの見通しは、どうでしょうか。若い人向けに作られた、ガチャガチャした、スピード感があるもの ばかりではなくて。

   T田:実は、そんな風に落ちつきのあるモノクロの映画のムービーライドがあっても良いとは思います。ゆくゆくは、作ってみたい。それから、具体的な計画としては、子供さん向けのアニメ作品も面白いムービーライドになると思います。しかし、AS-1には、まだ3作品しかリリースされていません。それで、とにかく、「AS-1、凄いよ。面白いよ」という話題を先に作ってしまうのが基本かなと思っておりますので、派手さのある話題作が、優先されて作られるだろうと思います。
    それから、先ほどCMに出ていたソニックのゲームは、たしかに若い人向けのスピード感のあるゲームですが、しかし旦那様が出勤された後のお家で子供に買ったゲームを 奥様がやられて、めきめき腕を上げているのも 最近顕著です。ソニックくらいのスピードなら 奥様でも平気だと思います。
   少し余談になりますが、東京のCATVチャンネルに協力して、ゲームの配信、ゲーム・オン・デマンドの実験をやっているのですが、その中で『ぷよぷよ』というゲームが、ダントツの人気です。これは奥様が主にやっておられるのだろう、というのが、われわれの分析です。ご主人たちが気付かれない間に奥様が腕を上げておられるので、家族で郊外型施設にいらしたとき「わたしがやる」とスキルを示される奥様が、これから増えるのではないかと思います(笑)。

   K林:ゲーム・オン・デマンドは、どこのCATVを使っているんですか。

   T田:東京ケーブルネットワークです。現在、29本のソフトの配信を12月から始めて、3月の終わりまで、3ヶ月の予定で実証実験をやっています。私は、直接の担当ではないのですが。
   司会者:アメリカでも、やっておられますね。
   T田:アメリカではこれからで、4月から7月まで実験します。セガTVという子会社を作りまして、これは、アメリカ最大手の TCIさん、それからタイムワーナーさんとセガが作ったゲーム・オン・デマンドの会社ですが、ここでの実験が4月からの予定です。
   その結果を受けて、今年の秋以降、実際のサービスを開始する予定です。
   B所:アーケードゲームでは、一人一回どのくらいお金を遣っておられて、家庭の場合、こういったゲームにどのくらい払って良いと思っているのか。どのあたりを狙っていらっしゃるのか、もし分かりましたら・・・。
   T田:お店によってレベルがありますが、街の100坪クラスのアミューズメント施設では、一人だいたい千円前後です。郊外型施設の場合は、自販機の売上を含めて、だいたい 2千円弱くらいが平均です。
   今、横浜の山下町にアミューズメント・テーマパークを作っていますが、ここの場合はそのもう少し上、3千円弱が一人当たりの平均単価と考えています。二人で来られれば、その2倍。3人ではその3倍が施設の売上です。(注)

   (注)ここで筆者は、家庭用のソフト配信の価格について回答し忘れているのだが、この頃に実施されたCATVユーザ向けのアンケートを見ると、2千円台の料金(つまり、CATVの有料チャンネル並みの料金)が適当だと答えている人が、回答者の 48.4%で最も多かった。

   B所:リピータの方はどのくらいの周期で来られるとかの統計は、分かりませんか?
   T田:これは業界でも正確な数字は持っていないのですが、ただ、われわれが こうした機器を開発するときに、例えば『スクランブル・トレーニング』でも、幾つかのシナリオの分岐を用意しています。ですから、乗った都度、異なったシナリオを観て頂ける可能性があります。こういった作り方で、リピータに対応しています。 インベーダーゲームの時代は、相当な数のリピータがおられたはずなのですが、現在ではゲームの機種もジャンルも多くなっていますので、基本的には特定機種ごとのマニアックなリピータは少なくなっているのではないでしょうか。ともあれ、来場された都度 面白い体験をして頂けるものの開発を、研究開発部としては心がけているつもりです。

   B所:保護者の方から怒鳴り込まれた、とかいう話はないですか。

   T田:最近は、郊外型施設で、怒鳴り込むお母さんの側を味方につけてしまいましたので、聞きません(笑)。それから、都市型施設の六本木GIGOですとか そんなお店の場合には、若い人達の遊び場として社会的に認知されていて、TV取材でも好意的に、おしゃれな遊び場として紹介されています。ちょっと昔の ゲーセンといった悪いイメージは、かなり払拭されたかなと思っています。少なくとも遊びに来られている方々に、そんなイメージを持つ方は殆ど、おられないですね。
   ただし、イギリスでは、セガだけではなくて、ゲーム機業界全体に対して怒っておられます。私、イギリスには1年住んでいたことがあるのですが、イギリスは、子供向きのTV番組でも見るのを禁止するという親が多い、躾のきびしいところです。そういった社会的な風潮の中で、ゲーム機に反対をしておられるのではないかと思います。 ともあれ、国内のセガのAM施設に関しては、デートスポットになっているところも、最近は多くあります。

   I場:ああいった面白いソフトを作るのには、映画的な手法が要るということなのですけれど、相当なお金と時間が掛かると思うのですが、大体の目安としてどのくらいで出来るのでしょうか。
   T田:その直接のお答えは、企業秘密を含みますので、避けさせて頂きますが、例えば『テトリス』とかそういった類のゲーム機器の場合には、数名が、半年とか一年掛かりで開発しています。最低限の必要なスタッフを挙げると、監督の立場にたってゲーム全体の世界観やシナリオを考えている人間(「企画」と呼ばれています)が一名。キャラクターを描くデザイナー、背景画のデザイナー、作曲をする人が最低で各一名。それから、ゲーム全体をうまく組み合わせる、映画で言えば編集者に相当するプログラマーが必要です。あとは、そのソフトの内容、奥行きに従って、いろんな場面での登場人物や背景画が必要になりますから、その規模に応じていろんな開発者が参加します。だいたい半年から1年くらいが、開発期間です。あとは人件費を掛けて、計算してご覧になってみて下さい。

   I場:企画の段階というか商品開発の絞り込みに於いては、何が一番重要なのでしょうか。過去の売れ筋商品の、生活時間行動分析のようなことも仰っていましたし、おたく族みたいなデザイナーが一生懸命やってくれているという話もありましたが、何が一番・・・。
   T田:(笑)何か良い方法があったら教えて頂きたい、というのが本音なのですが・・・。セガはアミューズメント施設の機械に関して、研究開発の長い歴史があります。潜水艦の魚雷で敵をやっつける『ぺリスコープ』(65年)という業務用ゲーム機が、66年に国際遊戯娯楽協会のアミューズメント賞を受賞しました。これが、現在のセガの出発点です。それ以来、どんなゲーム機を出せば喜ばれるか、それについての経験はずっと有しておりました。
   85年以降、特に平成に、急速に市場が拡大しました。ファミリー向け、幼児向け、女性向けに、新しい機器を提供しなければいけなくなった時は、正直言って困りました。ところが良くしたもので、世の中には、女性向きのアーケード機器を数十年開発してこられた会社もあり、ファミリー向けに映画制作をされた会社もあります。われわれは、そうした会社の製作ノウハウを施設運営の現場で学ぶことができたので、そこにセガらしい特徴を加えた作品が開発できるようになった、という現状です。ここでも、AM施設の運営をセガが続けてきたことが、そのままセガの強みになったと見て取れます。

   司会者:開発テーマを決めてゴーサインを出すのは、中山社長が直接やれとおっしゃるのか。それとも、ずっと下から上げていくのか。そのあたりの決定メカニズムは、どうですか。
   T田:開発の途中に 中山社長から的確な批評を受けると工数が増えるので、なるべく終盤まで 社長に目立たないよう開発をするチームがあることも事実ですが(笑)。ゴーサインのメカニズムについてお話しますと、例えば映画監督に こういう映画を作りたいと言うイメージがあるのと同じように、研究開発者の頭の中に、「こういう新しいゲームを作りたい」というのがあるのです。彼らは最低でも一週間に一度は 必ず、アミューズメントセンターに顔を出しますし、市販の家庭用ゲームも、100種類以上は最終ステージまでを自力で攻略している人たちですから、提案内容には 絶対の自信を持っています。
   毎月一度、企画を提案する会議がありまして、そこに 社長、副社長、常務、そのほか役員が、ほとんど出席しています。そこで研究開発部の自信作を、プレゼンするのです。(私は、最近までそこで書記をしていました。)ゴーが出れば、とにかく半年とか一年を使った作品の開発が、そこから始まるのです。この会議は、中山社長も非常に楽しみにしている機会です。この会議の場でとにかく、どうやって社長にウンと言わせるのかが、みんなの腕の見せどころです。

   F田:さっき、ゲームと映画は似た所があるというお話だったかと思いますが、映画は当たり外れが大きい。リスクが大きいと思うのですが、アミューズメントの場合、企画を立てて世に出ないものの比率。それから、内作と外部発注の比率といったものは、どうでしょう。また、リスクマネージメントといったことをどうお考えなのか。それとも、セガさんでは、当たり続けてほとんどはずれはない、ということでしょうか。
   T田:どういうわけか、当たり続けています(笑)。

   F田:コンシューマのほうも、そうですか?
   T田:はい(笑)(注)。セガという会社は、面白いバランスで出来ている会社です。研究開発の人間は、思い入れで作品を作ります。すると、企画の段階で一般の人に ついて行きにくいものが出てくる危険があるのです。ところが良くしたもので、営業部門の役員は、試作機のロケテストを見ると「この機械は何万台いける」と言い当てて、ほとんどハズレません。ものによっては、もっと伸びて 200万台 300万台いくこともありますが、当たるか伸びないかについては、社長を始め営業部門の役員の勘は、なぜかハズレません。 また研究開発部では、半年一年と、ずっと作りつづけるのではなくて、節目にチェックが入ります。これは、研究開発部の内部チェックですが、これもリスク回避に役立ちます。
   内作と外部発注の比率についてですが、AM施設向けのセガの業務用機器は、ほぼ100%内作です。コンシューマ向けは、(正確に数えていませんが)3分の2くらい?が 外部発注ではないでしょうか。外部発注の場合でも、ありがたいことに、どういう作り方をすればセガらしいテイストが出るか、皆さん分かって仕事をされています。結論として、かなり当たり外れは発売前に予測できる。ただし、コンシューマの方が、若干ハズレの割合が大きい、ということは言えるだろうと思います。

   (注)コンシューマに関する質問への筆者の回答は不十分なので、留意頂きたい。質問者は、海外向けGENESISの発売ソフトの決定や ROMの事前手配数などに関心があって この質問をされている。しかし、筆者の回答は、業務用ロケテスト機の完成時点に本社ロビーで N井専務や O形常務が「初見」で 製造部への発注台数(ものすごい数)を その場の「立ち話」で決めてしまわれ しかも 直営店への設置台数、他店への販売数として、この読みが当たっているのを何度か実見したことから 業務用機に引きずられた答えとなった。GENESISの発売ソフトに海外流通チャネルの意見が どのように反映されたか、などは、講演者にも関心があるので、どなたかに教えて頂けるとありがたい。

   I場:アミューズメントセンターというのは、立地条件が大きいですね。それを、どう選ぶかがポイントですね。
   T田:実は、85年以前のAM施設というのは、立地が殆どすべてでした。例えば、タイトーさんがインベーダ機の流行のとき(78年)に駅前の一番良い場所を押さえられた。セガには、二番手の場所しか残っていませんでした。そういった意味からは、先輩たちは苦労されたようです。ところが郊外型の場合は、極端なことを言えば何もなかった所でも、面白い複合施設ができれば、商圏30キロ以内は車で来てくださるのです。
   それで、個々の場所の立地条件に応じて、ミスタードーナツさんやマクドナルドさんに一緒に出店して頂くとか、ショッピングセンターでも イトーヨーカドーさんなどに 一緒に出店して頂くとかすることによって、何もなかった所にでもお客様に来て頂けるようになりました。最初こそ、例えば 長崎屋さんの出されたお店にセガの郊外型施設を導入する ような展開でしたが、最近では セガ(の N崎課長)が検討している物件に、長崎屋さんやヨーカドーさんをお誘いして一緒にやって頂く といったことが増えています。それが最初に、郊外型の施設がセガの売上を支えていると言った理由です。

   K林:前回のTSUTAYAのM田社長のお話では、郊外型施設ができたところに人が来るから、TSUTAYAの店舗を作って儲けたという話だったけれど、そういうことでしょうな。
   ちょっと聞きたいのは、今までのマルチメディアは、ゲームもありCDもありで、既存の流通を前提にした話ですけれど、オンラインのコミュニケーションが注目されていて、NTTも2015年に光ファイバーを引くと言っているのですが、はっきり言ってセガさんは、ゲーム・オン・デマンドを実験しているということは、そういうことを考えて、商売されようとしていますか、全然考えてないですか。率直に、イエスかノーで。
   T田:その質問は、私もセガの経営陣にぜひ聞いて見たいですが、イエスかノーかで申し上げましょう。 実は、アメリカ市場で 57%のシェアを取ったとき、アメリカでゲーム・オン・デマンドを考えておられた会社が、一緒にやろうと話しを持ってこられました。今は、そういった話に乗るかたちで(前向きに)動いています。 2015年の光ファイバー化は、私も期待しています。しかし、一番川上で開発をしている立場から申し上げると、われわれが開発したものを面白いと思って購入して下さる方は、川下に必ずいるのです。するとその間を光ファイバーでつなぐか、CATVかは、購入される方が一番便利だと思われる形で繋がると思います。アメリカでもNII(全米情報基盤、光によるインターネット)か衛星放送になるか という議論があるようですが、われわれの側では、あまり意識しません。
   われわれの認識ですが、例えば、CD-ROMのシステムは世界に先駆けて4万円くらいで発売していて、アメリカではセガのシェアは 90%なんてことも言われています。お客様が CD-ROMでの購入を望まれるのでしたら、そのようにお売りします。しかし同時に、これはデジタル化された映像と音ですから、何かのチャネルで オン・デマンドで自分がやりたいと思ったら(購入して)プレイするというニーズも、あると思います。ですから、お客様が、どのチャネルが便利だと思われるのか、そのチャネルに対してイエスという話しではないかと、・・・。あくまでも個人的な見解ですが。

   司会者:回線の使い方ですが、ソフトをデリバリするという意味ではおっしゃる通りと思いますが、例えばGIGOとナムコワンダーエッグで対戦するとか、回線を繋ぎっぱなしで、離れたところで対戦する使い方は、あり得ますよね。そうしたときは、開発のコンセプトからして違ってきませんか。
   T田:いえいえ。実は、NTTさんの ISDN回線を使って、東京と大阪のお店で『アウトランナーズ』という車の対戦ゲームを、4台が東京、4台が大阪でエントリーして、8台で競争するという実験を既に始めています。しかしこれは、一つのAM施設に8人の仲間が来て、通信モードで一緒に競争しているのと全く同じことですね。同時参加できるオン・デマンドの面白いゲームをセガがどうして作れるのかというと、郊外型施設などに仲間がグループで来られて、通信モードで同じゲームに参加するということを、これまで運営の経験として直接見て知っているから、ノウハウがあって面白い作品が作れるのだと思います。
   少し話しはそれますが、こういう機会ですのでお願いしておきたいと思います。ISDNでは、流れた情報量に応じて課金されるのが魅力です。ところで、アメリカではNIIのいろんな実験を民間レベルでやっていますが、基本は(料金が定額で安い)パソコン通信です。ところが日本では電話料金が高くて、この間も上がりました。ですから、パソコン通信をやっている若い人たちに、ネットワークの経験を充分に積ませてあげられない。インターネットもボランティアのパソコン通信ですから、次世代のネットワークのソフトを日本から生み出すために、若い人たちがもっと気軽に使えるような、何か別の料金体系を設定して下さるとかはできないでしょうか。これは、国家的な問題じゃないかと思います。

   K林:基本論から言うと、通信のコストというのは良くご存知だと思いますが、距離の要素はドラスティックに、どんどん少なくなっている。伝送路の大容量化です。同時に、キャパシティが大きくなると、情報量の要素も少なくなる。これを統合すると、将来的におそらくコストベースのあるべき料金体系というのは、オーバーに言えば、全国フラット(均一)にできるだろう。参考までに今の計算で言いますと、日本全国 3分30円で出来るのです。さらにもっと言うと、世界中を日本のトラフィックをベースに計算すると、世界中 38円でできる。このあたりは、更にどんどん将来に向かって、距離と情報量の差は縮まって行くことになるでしょう。
   だからどこに問題があるかと言うと、一つの例として今のような競争のフレームワークの中では、つまり市内と市外の業者が別だとか、国内と国際の業者が別だとかいう体系下では、業者を守るためには、理論的に正しくてもできないんです。大変大きな問題、基本的な問題です。しかし今後の料金体系のあり方としてもう少し現実的に、限られたエリアの利用について、コスト構造に忠実な料金体系をオプションとして入れていこう、という考え方があるのです。実は、既にキャプテンというのが全国一律で30円です。
   T田:あ、私、キャプテン担当を(CSKで)ずっとしていました。
   K林:あれは、先行的な料金体系で、ファクシミリ専用網というのは2段階しかない。かなりむりやり、将来そうあるであろう姿を描きながら、われわれが作った料金体系ですけれど、あれが将来の姿なのです。同じようなことを、例えばパソコン通信というジャンルの中で市内外格差のない料金体系を作るということは考えています。出来るかどうかという問題はあります。長距離新電電が文句を言うかも知れない。こんなことやられちゃ、かなわない、おれたちどこで生きるんだ、という話が出てくるかも知れないが、考えてはいます。

   T田:私、キャプテンのプロジェクトでは、(ご出席の H原弘行部長が NTT側の窓口で)相当の成果をあげたのですけれど、それはさておき、パソコン通信も結局は、中を飛び交っている情報が面白いからこそ、皆さん使ってくれると思うのです。アクセスしている人間の数を増やすことが、そうした面白い情報をアップロードできる人の数を増やすことになりますから、そうした好循環を増やして行かなければ、こういった回線自体が使われなくなってもったいない、という印象を持っておりました。ですから、今のお話は、伺って心強く思いました。


 French DGT Minitel https://technicshistory.com/2020/05/17/the-era-of-fragmentation-part-3-the-statists/

   (次期社長に内定されていた CSK副社長の指示で、私は ① 出向して セガ・エンタープライゼスで AS-1を作る流れにのったが、もしも 身体が3つあれば ② 当時 CSKで NTTから PC-98用の キャプテン端末エミュレータを受託していた。フランスには既に マンマシン・インタフェースの大変に行き届いた「ミニテル」端末があって 仏国版キャプテンが大成功していた。営業本部から 引きはがされるように仕事を持っていかれてしまったのだが、セガに出向していなければ キャプテンの弱点であるインタフェースの改善を提案できる立ち場にあった。 また、CSKで私の企画したキャプテン画像入力システムが 友人の天才 K林さんの設計で 相当台数 売れていた。これが Prologue という第二世代AI事業部の取扱製品となったことから、もしも ③ 第二世代AIで「画像AI入力」プロジェクトを行なうようなことが 仮にあれば キャプテンの側面からの援護になったかもしれない。が、第二世代の AIは 例えば ワイン・ソムリエ並みのワイン選びとかが想定されていた時代で、当時は 残念ながら AI では画像を扱っておらず、私は出向を決めた。なお、キャプテン テレソフトウェア・プロトコルは 友人の天才 I垣さんと私が作った。)

   K林:もう一方では、インターネットのように、業者ベースではなくて、国やボランティアのベースで、国の予算で借りた専用線を勝手に使っても良いよ、ということをやっているわけです。そうした発想でやったほうが良いのか、ちょっと分かりません。
   デフォルメした形では、そうしたアプローチもあるのでしょう。
   T田:インターネットは、ボランティアでやったから、うまくいったところがありますね。これからは、NIIという国家が支援する形に変わって行こうとしていますが。 少し余談ですが、この間マイクロソフトの古川さんと(別件で)話したときに、メールの話になって、距離的にはマイクロソフトとアスキーの事務所は 650mくらい離れているだけなのですが、マイクロソフトは一旦シアトルにメールを送って、いろんな学校のインターネットを経由してアスキーに届くんだ、という話を聞きました。
   K林:日本でもそういう使い方をしているところが、一部ありますね。そういう発想を頭の中に置きながら、やろうじゃないかという話は聞いています。

   T田:ボランティアだから出来ているということだと思うのですが、NIIになったとき、仮に国防の観点からアメリカの回線が遮断されるといったことになれば、アスキーはじめ日本のいろんな会社が迷惑をこうむりますね。(注)
   (注)ここでの筆者の発言は、全くの勘違いである。アメリカではインターネットの商用と軍用の分離が 既に行なわれており、アメリカの国防用通信網の MILNETは、既に 90年には分離独立が行われていた。
   K林:それと今もう、パンクしそうですからね。
   T田:今は、15分程度で、メールがアスキーまで届いているのだそうです。 ですから新社会資本という言い方が適当かどうかは分かりませんが、現在パソコン通信で先駆的な使い方をしている日本人も数多くいますので、次世代の使い方を見つけてくれる彼らを何かの形でバックアップできないかなと、私、個人的には思っているのですが。

   F田:御社の場合には、千人の研究開発の方がおられたり、T田さん自身がパソコンに係わったりされているので、もっとジャブジャブ、パソコンの通信を使うようなお考えはありますか。例えば、ソフトをマルチロケーションで、やりとりされるとか。あるいは、午前中出てこられない開発者の方が、ご自宅で開発して、それを会社に送るといったやりとりは、ないのでしょうか。
   T田:ソフトの配信に関してですが、アミューズメントセンターのゲーム筐体に新作のソフトを電話回線で配信して、新しいゲームができる機械にするという計画が、7、8年以前からございました。セガの元のオーナーがアメリカにいるのですが、彼から直接、そういう計画があったことを聞きました(注)。筐体の移送費や人件費を考慮すると、その試算は採算に乗っていたそうです。 ただ最近のゲーム機については、グループで来店される方が増えたので、コントロールパネルの形状がゲーム機毎にばらばらです。2人用のものですとか、4人同時に使用できるものなどがあって、単純にソフトを配信すれば別のゲーム機になるといったことではなくなっているのが制約で、現実には行なわれておりません。
   それから、自宅で開発したゲームを会社に送信するという開発のやり方についてですが、研究開発の全員が会社に来なくなると思いますから(笑)、容易には採用されないと思います。

 (注)ローゼン元社長から、筆者が直接、83年頃に伺った。試験だけで、実施は されていない。

   K林:ご存知の通り、パソコンソフトは今、富山の薬売り方式を各社が考えておられます。ゲームソフトでは、まだそういうのは考えていないのですか。
   司会者:CD-ROMで、そういうのはありませんでしたか。
   T田:富山の薬売り方式(料金を払えば解除キーが送られてきて、デモソフトから完全なプレイができる状態に切り替わるという方式)は、まだないと思います。

   K林:どんどん CDは安くなりますから、そういうものを考えられる時には、わが社にご相談下さい。いろんなところと一緒に研究していますが、わたしどもが持っているブロック暗号のアルゴリズムのFEALという方式が、基本的には良い方式じゃないかと皆さんに注目されています。
   また、ある時期にはお手伝いできる可能性がありますので、その時にはご相談下さい。
   T田:願ってもないお話です。宜しくお願いします。

   司会者:時間がきましたので、今日はこの辺で。どうもありがとうございました。

   (追記:94年3月以前のセガが、なぜ、どのように急成長したかを記録した資料は、現在、本社にも殆ど残っていない。たまたま筆者が NTTで行なった講演の印刷記録を殆ど変更せず type upして、現時点での注釈を追記した。)

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 フェロー武田 (68⅚)【注釈U-L】
 セガ。エンタープライゼスのマーケティング戦略。2025.09.18

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