眠らない猫と寝起きの鳥
記憶の中にあるそれは、とある日からの出来事ですぞ。
最初のお義父さんが村で朝の日課とばかりに魔物舎で世話をしていた何気ない日でした。
俺も隣のフィロリアル舎で爽やかな朝を満喫していた時の事。
「ク……クエ」
「クエ」
フィロリアル様達が突然、落ち着き無く周囲をキョロキョロと見渡し初め、一点へと顔を揃って向けたのですぞ。
一体どうしたのかと疑問に思っていると。
「ナオフミ様!」
お義父さんが魔物舎から出た所でお姉さんの並々ならぬ声がしたので俺も思わず外に出て、お義父さん達の方へと行ったのですぞ。
村のみんなも朝食を楽しみに既に起き出していたので、お姉さんの声に首を傾げながら様子を見ておりました。
「ああ……どうやら来客のようだ」
ややため息交じりにお義父さんが呟き、お姉さんと一緒にだるそうに歩き出しました。
「あらー? 何かあったみたいねー」
夜遅くまで酒を飲んでいらっしゃったお姉さんのお姉さんも起き出しておりました。
酔いどれじゃないので周囲のみんなが危機感を抱いてますぞ。
「何か問題があったのですかな? やりますかな?」
「元康、お前は何もしなくて良い。別に問題があるわけじゃ無いから大人しくしてろよ」
「わかりましたぞ!」
お義父さんは何やら分かったご様子。
朝の散歩と言ったご様子でお義父さんが前に出て……村の入り口へと来ました。
だだだだだ! っとフィロリアル様達が揃って入り口近くで整列し、ライバルが反対側でなぜか平伏しておりますぞ。
その先には……130センチ前後の身長をした……丸みを帯びた猫のような獣人と真紅の炎を連想する煌びやかで、クジャクのような長い尾羽を生やした鳥型の魔物が居たのですぞ。
猫の方の獣人を良く確認すると毛に覆われたトカゲの様な尻尾を生やし、オーバーオールを着用しています。
隣町にやってきた旅行者か何かでしょうかな? シルトヴェルト辺りからの?
ですがフィロリアル様やライバル、お姉さん達のご様子からきっと違うのでしょうな。
一体どうなっているのですかな?
「ライバル、お前、何やってるのですかな?」
「うるさいなの! 今はお前の相手をしている暇は無いなの。黙ってろなの!」
なんとも反応がおかしいですな。
あ! あそこにいるのは大きなフィロリアル様ですぞ!
普通のフィロリアル姿をしていますが、この元康アイを偽る事は出来ませんぞ!
と、俺が大きなフィロリアル様へと近づこうとした所でクー、まりん、みどりが俺を止めました。
「もっくん、ダメ!」
「あの人の機嫌を損ねちゃダメだと思う!」
「ごしゅじんさま、あの人の機嫌を損ねちゃダメな気がするよ」
フィーロたんもお義父さんに近づいて、猫獣人の隣にいる鳥型の魔物を指さして注意しております。
「思いっきり困らせちゃってるよ。君も少しは自粛しようよ」
「いやいや、別にこっちはそこまで気配出してないでしょー。いやー困ったなぁ……僕はカジュアル系なのになぁ」
と、なんと言いますか平民の所に王族がお忍びで来ましたと言った様子で猫獣人と鳥の魔物がどう切り返すか困ったとばかりに話をしていますな。
「あーまずみんな、機嫌を損ねるとか僕はそんな気難しい性格をしてないから安心して良いし、楽にしてて良いよ。こっちこそただの来訪者ってだけだからさ」
鳥の魔物は片翼を手のように広げてフィロリアル様達へと注意しますぞ。
するとフィロリアル様達はホッとしたように少しばかり緊張が抜けた様に見えました。
「そうそう、気を楽にして、連絡も無しに突然の来訪、失礼するね。たまたま近くで友人と再会して紹介がてら遊びに来ちゃったよ。せめて挨拶にと思ってさ。それにそこの鳥は直前に凄く良い事があったらしくて機嫌が良いから今は何しても怒らないよ」
「魂が腐ってなければ何をしてもいいよ!」
猫の獣人が鳥の魔物を指さしてお義父さんへと説明をしていますぞ。
魂が腐っていると何かされるのですかな?
お義父さんの話によるとここに魂が腐っている存在は居ないそうですが。
「その割に、ドラゴンとフィロリアル共に思いっきり警戒されてんな」
「ラフー……」
お義父さんの肩に乗っていたラフちゃんが鳴きますぞ。
「ああ、それはそこにいる面倒臭い鳥がね。翼を持つ者の祖として妙なオーラを自粛もせずに出してる所為だよ。迷惑だよねー」
「モテる雄はつらいものさ……そっちだって気配をダダ漏れにしてる癖によく言うよ」
「僕は感じられる相手が限られてるから良いの。じゃないと彼らも気づけないでしょ」
「……隠せるならお前がアイツを仕留めりゃ良かっただろ。それと何が一人だからさ、だよ」
お義父さんの返答に猫の獣人はサラッとした顔で答えますぞ。
「そこまで相手も馬鹿じゃないでしょ? まあ、馬鹿でもあったかもしれないけどね。あの時は、一人だったさ。嘘は言ってないし、君は人に世界の行く末を任せないだろ?」
「ああそう……」
ポンっと両手を合わせた猫の獣人がお義父さんから視線を離して後ろに居る俺達の方へと向けますぞ。
「改めまして、挨拶だね。僕は……君達からすると神狩りと呼ばれる存在かな。名前はアーク。そこの尚文くんとはちょっとした出会いがあってね。助力をした関係なんだよ」
「そうだな」
「ええ、あの時は助かりました」
自己紹介する猫の獣人改め神狩りのアークと名乗った者は仰りました。
そしてお義父さん達も頷いていますぞ。
なんと、つまり赤豚本体を倒すためにお義父さんが色々と恩がある方という事ですぞ。
お義父さんはアークの隣にいる鳥の魔物へと視線を向けますぞ。
「アークから聞いているだろうが、岩谷尚文だ。隣にいるのはラフタリア。他にも色々と後ろにいるけど自己紹介をしていたらキリが無いから後で話がしたかったらしろ」
「はいはい。僕の名前はー……まあ彼と同じく色々と名前があるけど不死鳥って呼ばれる事が多いかな? 不老不死じゃないんだけどさ」
「まあ神を自称している連中を狩ってる奴等が不老不死じゃな」
「そういう事だね。僕達は寝たり起きたりしているだけさ」
「というかそれって名前じゃないよねー」
「わかってるって。まー鳳凰とかもあるけどね。この世界にも居たんでしょ? だからここは簡易的に……次の名前になりそうなホーとでも呼んでよ」
そう言うとホーと名乗った鳥の魔物は一礼をしました。
「あ、僕も神狩りの役割は持ってるよ。こっちの永遠を終わらせる子とは別だけど」
永遠を終わらせるのと、という所でホーはアークを指さしておりました。
そんな二つ名もあるのですな。
「翼を持つ者の祖なんて言われる事もあるよね。世界新生が彼……の役目だけど安心して。この世界は新生するほど老いたり腐った世界じゃないからさ」
なんとも大きな話をしているような気がしますが錬やブラックサンダーの様な次元の連中なのでしょうかな?
「そいつと同等っぽいお前はドラゴンの祖とかか? なんかそういう雰囲気があったが」
お義父さんは頭を垂れるライバルを見つめて訪ねましたぞ。
つまりライバルの大本ですかな! そうなれば敵ですぞ!
「ううん? 僕は祖からすると兄弟の位置かなー。竜達は一応上司って認識してくれてるだけで別だよ」
「似たようなものでは?」
「うーん……義理の兄弟みたいな感じと言えば分かってくれる?」
血の繋がりは無いけど族長の義兄弟というポジション……確かにちょっと違うポジションという事でイメージ出来ますぞ。
「はぁ……」
お義父さんがかなり面倒そうなため息を漏らしていますぞ。
「あ、そこまで面倒そうにしなくても良いじゃないか。君の世界で言う所の来訪者にぶぶ漬けを出すような真似はされたら困るよ」
早く帰れの暗喩ですぞ。
あんな姿なのに日本の事を知っているのですな!
「まー……『今更何なんだ、来るのが遅いぞ馬鹿!』って思う気持ちも怒りも分かるけど、世界は無数にあるし、大丈夫だって警報が来ないようにしていた連中がいたんだからしょうがないでしょ。全知全能なんて傲慢でしかないし、穴だらけなんだからさ」
思い切り愚痴をアークは述べておりますぞ。
「ここに滞在する間、怒りをぶつける相手くらいはしてあげるよ。それだけの事をする資格を君達は有している。ただ、こっちの言い分と報告くらいは聞いてくれて良いかな?」
「なんだ?」
「今回の件の黒幕がいた世界には報いを受けさせた。もうこの辺りで波は起こらないよ」
淡々とアークは述べました。
そういえばふと気付いたのですが、このアークという者、気配から何まで感じられませんぞ?
これが神狩りという事でしょうかな?
「……そうか」
お義父さんは淡々と報告を聞いて不満そうな顔を崩しました。
「責任者がどうのこうの言い逃れをしようとしていたけどね。こっちが裏を取らないとでも思ったのか呆れるもんだよ。世界単位で完全に腐りきってたからねー。アイツらからすると僕は殺戮者そのものだろうね」
何はともあれ、と、アークは笑いますが……なぜか俺はその笑顔に見覚えがあるような気がしました。
「という訳でちょっと滞在するからよろしくね」
「はいはい。お前等が居れば面倒な連中とか来ても勝手に解決してくれそうだ。怠けるのは許さんからな」
「わかってるよ。一宿一飯の恩くらいはねー」
ホーがフィロリアル様達に解散を命じて、フィロリアル様達が思い思いにリラックスをしている様になってから話に混ざってきました。
つまり神狩りの二名が村にしばらく滞在するのですな。
村のみんなもヒソヒソと思い思いに雑談をしながら解散して行きましたな。
俺はどうしますかな? フィロリアル様達の元へ日課に戻ろうかと考えていると、ホーが俺を見てきました。
「ああ、君、見覚えがあるね。覚えてる。僕がこの前いた世界でニュースになってた人だよね? 北村元康くんだったっけ?」
「なんだ? 元康の事を知ってるのか?」
「さっき言ったでしょ。ここに来る前にお世話になっていた世界でね、彼の事を少し覚えていたんだよ。まあ言うまでもなく彼は有名人さ。ヒューヒュー色男! 僕と同じだね!」
お義父さんが俺を睨んでますぞ。
正確には俺と槍を睨んでいるようですぞ。
近くに神狩りがいたのにお前は気付かなかったのか! というかお前の世界、こんなバカしか居ないのか? とお義父さんが思っているのが俺にも伝わってきますぞ。
「し、知りませんぞ!」
「まあ気付かなくてもしょうがないよ。あの時の僕だとね……こっちも色々あったのさ。今はこんなに光り輝いているけどね!」
何やら理由があるようですぞ。
ホーの事情は分かりませんが助かりましたな。
しかし、少々ノリが寒いですぞ。
昔の俺を見ている様でむず痒い気持ちになってきますな。
「……ニュースねー」
「うん。痴情のもつれで殺されたって話だったけどこの世界に召喚されて死を回避していたんだね……今回の主犯による因果干渉の名残がある。なるほどなるほど。彼が殺されたって事で色々と関係縁者が大暴れして主犯は惨たらしい最後を迎えたらしいよ。大学の……おっとこれは僕の中のプライバシーに関わるから話していい領域じゃないや。ごめんねー」
と、ホーは俺の元の世界に関する話をしているようですぞ。
激しくどうでも良い話ですな。
「おや? 緊急時に元の性質を利用して破滅の回避を試みたりしてたんだね。なるほどね。完全な偶然だけど僕達と君が同じ世界に居たのは何かの因果だったのかもしれないね」
「因果ですかな?」
「うん。まあ、君の性質みたいなものだよ」
どうにもよくわからない事をホーという者は言いますな。
「……元康がねー。まあ元康の過去の女が悲惨な末路を歩んだって事みたいだな。無理心中しようとした末路なのか……いや、無理心中するはずなのに報いを受ける……なんでだ?」
「結局、命可愛さに死にきれなかった感じ?」
「豚は我が身が可愛いですからな。俺を好きと言う感情に酔いしれていて俺が死んだ後に我が身可愛さに逃げたのでしょうな」
やはり豚は害悪なのですぞ!
ぺっ! ですな!
「まー……ある程度、干渉があるとは言ってもその辺りの部分は変わらないからねー。面倒なしがらみを捨ててこの世界に呼び出されている訳だし、結果的に良かったんじゃないかな?」
「……元康、お前、元の世界に帰りたいって気持ちは?」
「まったくありませんな。フィーロたんとフィロリアル様の居ない世界に価値はないのですぞ!」
「……だそうだ。良かったな。鳥の上司、きっとお前もコイツの信仰対象に入るぞ」
「えー……僕を崇めるのー? 変に見返りを求められても困るんだけど? たまにいるんだよね」
ホーがフィロリアル様かそうではないかですかな?
俺はホーに近づいてフィロリアル様かの判定をしますぞ。
くんかくんかですな。
「な、何やってんの?」
ふむ……なんとなくですがフィロリアル様にもある、芳醇な香りが強いような気がしますな。
……ただ、なんとなくですが鳳凰を倒した時に感じた匂いも思い出されますぞ。
そういう意味でフィロリアル様達の上司という表現は間違っていないのでしょう。
不死鳥……そういえば鳳凰も類似する特徴を持つ魔物でしたな。
納得ですぞ。
「よし、ホーでしたな。フィロリアル様として認めますぞ! 安心してください。俺はフィロリアル様に見返りなど求めませんからな! 君は今日からホー君ですぞ。俺はホー君も等しく愛してみせますぞ」
「ちょっと! 僕を馬車を引くことを至上の喜びにしている連中と一緒にしないで欲しいんだけど!?」
っとここでホーは馬車を引いているフィロリアル様を指さして抗議の声を上げました!
「なんという事を言うのですかな! 馬車を引くフィロリアル様こそ至高の存在なのですぞ! ホー君! 君はきっとその本能に気付いていないだけですぞ!」
「いやいやないないない! 僕に馬車を引かせようとかしたら怒るからねー!」
俺の提案にそう拒否するホーの様子をフィロリアル様達が何やら心配そうに見ていますぞ。
そんな心配しなくてもフィロリアル様の本能には逆らえないのですぞ。
「元康はフィロリアルを否定する様な暴言でも一度認めたら怒らないのな」
「徹底していると言いますかなんと言うか……」
「まあ激しく面倒ではあるが良い所なのかもしれん」
何にしてもフィロリアル様の上司らしき方が村で滞在するという事になったのですぞ。
「……何にしてもフィロリアルって生き物は厄介事からは逃げたがる性質があるみたいでな。遠巻きに上司を見てるって所か」
「みたいだねー」
「で、ドラゴンの上司であるアークの方だが……」
お義父さんが周囲を見渡して微笑んでいるアークへと顔を向けますぞ。
「来客って事だが……何かするとか予定はあるのか?」
「件の報告とこっちの面倒な鳥を君達に紹介ついでに来ただけで予定なんて無いよ。あ、何か仕事をして欲しいって言うなら手伝うから気楽に言ってね」
「領地の統治……見た所、色々と面倒を見てるっぽいね。この猫で竜でもある奴ってさ、寮母とか子育てとかそう言った事を時々気まぐれにやってたりするから結構役立つよ? 本人がやるって言っているんだしコキ使おうよ」
ホーがアークとやらを指さしてお義父さんに説明してますぞ。
寮母に子育てですかな? 家事育児能力が高いという事なのですな。
「懐かしい話だねー」
「ほう……じゃあ色々と手伝ってもらうか」
「良いんじゃない?」
なんて話をしていると遠巻きにライバルが眉を寄せて見ていますぞ。
「うわ……恐ろしい提案してるーって見られてるよ。神狩りでドラゴンの上司に雑用させようって怖く無いのかって感じだね」
「気にしなくて良いよー。むしろ何もさせてもらえず歓迎だけされる方が嫌じゃない?」
「まあねー。何か裏がありそうで嫌だよね」
なるほど。
能力や権力を持っていると変に疑われるものですからな。
ホー君達も色々と大変という事でしょう。
神狩りという方々も色々とあるみたいですな。
「で……ホー、お前は何が出来るんだ?」
「ん? 僕の火でチャーハンでも作るかい?」
「その程度なら元康で十分だ」
「あらそう? 僕のチャーハン、美味しいと思うんだけどなぁ……まあ色々と出来なくはないけど全容を把握してからでも良いんじゃない? あ、裏技とか予知とかその手の事はしないよ?」
「そんなもん最初から期待すらしてないが……どんな予防線を張ってんだお前は。とにかく朝飯の準備をしてたんだ。料理が出来るなら手伝え」
お義父さんがアークに手伝いを要求すると頷かれますぞ。
「んじゃ手伝いますかねー。まずはどんな味がここでは好まれてるかの確認からだけどね」
と、アークは腕まくりをしながらお義父さんと一緒に厨房へと向かって行きました。
そうしてお義父さんとアークは厨房で料理をしてましたぞ。
お義父さんは面倒そうに食材を空中で適当に切っておりました。
「ここじゃこう言った味が好まれる感じかーじゃあこれで良さそう」
アークも厨房で……手慣れた様子で鍋に入った料理を味見しながら煮込みを手伝っておりましたぞ。
ヒョイッと当たり前の様に調味料を摘まんでちょいちょいと投入していました。
「あ、尚文くん。ちょっとその食材分けてー」
「あいよ。お前が切ってる奴もこっちに分けろ」
「うん」
タン! っとお義父さんが切った食材を器用に飛ばしてアークの方に渡すとアークも似たような手つきで飛ばし返しておりました。
そんな様子を村の料理補助担当達が唖然としていましたな。
お義父さんとアークが息の合った食材交換をしながらの調理ですからな。
間に入れませんぞ。下手に入ったら双方で飛んで来る食材にぶつかりかねませんからな。
手慣れてるなんて次元じゃ無いですぞ。
ホーが言っていた寮母をしていたというのが分かる気がしますぞ。
なんて感じに料理が完成して俺達の前に朝食が出てきました。
「兄ちゃん今日も飯が美味いぞー! アークさんの作った料理ってどれだー?」
「これだね」
と、キールが尋ねるとアークが作って居たのはスープでしたな。
お義父さんが作る一晩煮込んだスープには劣りますが俺としては良い味に感じますぞ。
やや現代人向けの濃い味ですな。
「おー! アークさんの作ったのはこれかー」
「そう。まだここの味には合わせて無いけどね。どっちかというとここの味ではなく、尚文くん達、現代人向けな味付けだね」
「確かに好みって言うなら間違いは無いな。割と汎用的な味付けだな」
「料理なんて人それぞれ好みの味わいがあるからね。その辺りを相手に合わせて調整していくのが楽しかったりするんだけど……いきなり好みな味付けをしたらドン引きされちゃうでしょ?」
「……そうだな」
お義父さんはアークのセリフに同意してますぞ。
確かにお義父さんは知っている味の再現が得意な方ですからな。
試食して味の完全再現をすぐにやったら気持ち悪がられてしまうというのを理解していたという事の様ですぞ。
「なんかよくわかんねーけどこれはこれで美味しいな!」
ムシャムシャとキールはお義父さん達の作った料理の感想を述べていましたぞ。
「なーなーアークさんはこの世界に来た悪い奴らみたいなのを倒すためにいろんな所を旅して回ってんだろ?」
「君達からしたらそうなるね」
「じゃあさー旅の話してくれよー」
キールが激しく馴れ馴れしい様子でアークに尋ねましたな。
「ちょっとー僕はどうなのー! 僕だって旅してるよー!」
ホー君がここで自己主張しますぞ。
「人生という……旅をね」
「お前は鳥だろ」
「……」
お義父さんとアークが同じ表情でホー君を見てますな。
うざい奴だと顔に書いてありますぞ。
ならば俺が聞きましょう。
「ホー君、教えてですぞー!」