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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 真・槍の勇者のやり直し
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尻尾コプター


「お義父さん達はまだ帰ってきてませんな」

「錬さんが何時までも時間を掛けているんでしょうよ」


 金槌の錬に振り回されて不憫ですぞ。

 ですが万が一の事態もあり得るのでちょっと水中に顔を入れて確認しますぞ。炎の魔法をドボンと落してお義父さんの仰った穴があるのかですぞ。

 ふむ……確かに奥の方にそれらしき穴が見える様な気はしますな。


 耳を凝らしてお義父さん達の戦いの音を聞こうと思いますが水中ですので良く聞こえませんぞ。

 やがてドボンとお義父さんが錬を背負って水面へと顔を出してきましたぞ。


「どうにか倒せたね」

「……ああ」


 錬が岸に上がった所で全身を震わせて水を吹き飛ばしますぞ。

 水から出たときのキールみたいな動作を自然としていますな。

 お義父さんが犬ドリルと言っていた動作ですぞ。フィロリアル様も泳いだ後に良くしますぞ。


「尚文、随分と水中戦が手慣れているな」

「まあサディナさんと一緒に居るとねー。散歩感覚で海の中に行くから馴れるもんさ」


 お姉さんのお姉さんはサラッと海の中を泳いでいきますからな。

 お義父さんも泳ぐのには自信があって錬と一緒に戦うのに上手く立ち回ったのでしょう。

 少々羨ましいですぞ。


「錬さん。上手く戦えましたか?」

「と、当然だろ」


 かなり怪しい返事ですな。

 お義父さんもそんな錬のプライドを守るために視線を逸らしていますな。

 おそらく初撃で倒す事が出来ずに何発かスキルを放ってどうにか倒したという所でしょう。

 ここは反省点として錬にお義父さんの足を引っ張らないように注意しますかな。


「錬」

「なんだ?」

「そんなに泳ぐのが難しいのでしたら尻尾を高速回転させてスクリューにするのですぞ」

「尻尾スクリューですか!」

「出来るか!」


 俺は耳で拍手をして見せてやりますぞ! それからブルブルン! っと少しばかり耳をネジって浮かびますぞ。

 ふわっとですがな。これ以上は耳が釣りそうなので練習しないといけませんな。

 ちょっと耳を動かしている内にやり方が分かってきましたからな!


「やってますよ」

「元康が人間じゃないだけだ! それともウサウニーは化け物か!」

「尻尾を振り回してスクリュー……勇者の肉体強化で強引に推力にするのはあり得る手立てではあるって事では?」

「なんかファンシーだね」

「勘弁してくれ! そもそもそれを言ったら一際大きい尻尾を持ってる樹が適任だろ! 飛べ樹! 尚文は腹ばいで地面を滑って高速移動しろ!」

「これは墓穴を掘りましたね。この話はしない方が良さそうです」

「腹ばいで高速移動って……確かに盾をお腹に着けて地面を滑ったら早そうだけどさ……ちなみにリスの尻尾って取れちゃうからあんまり乱暴にしちゃダメらしいんだよね。だから樹の尻尾コプターは試さない様にね」


 お義父さんの言葉に樹の尻尾へと俺達の視線が移りましたぞ。


「……尚文さん。あなたに僕は言葉の命中を所持して居るとお墨付きを与える日が近いですよ」

「擁護したのにこの始末」

「元々言い出したのは元康だろ! 少し浮く元康が悪い! 耳で拍手するな!」


 という所で俺達の武器から光がそれぞれ飛んで行き、武器がアンロックされた様ですぞ。

 生憎俺は既に所持して居た武器だったのが多いですがな。


「ボケはこれくらいに、水中戦闘系のスキルや技能が多いですね。生憎と今の僕は扱えませんけどね」

「というか……単純に深海の魔物の方がロードオブシーよりも強いのいるしなー……」


 お姉さんのお姉さんと気まぐれに出かけたお義父さん達が巨大な深海の魔物を手土産に牽引してきた事がありましたな。

 あの時は復興中の隣町からも食料目当てに人がやってきたので覚えて居ますぞ。


「……海の中を見るのは嫌いって訳じゃないんだからな」

「わかってるよ。元の姿に戻ったら錬もサディナさんと一緒に海の中へと行ってみようか」

「ふと思うのですけど深海とか尚文さんはサディナさんと行く事があるのですよね? 水圧とかどうなんですか?」


 どの世界でもお姉さんのお姉さんと知り合ったお義父さんは付き合いで深海に行く事があるみたいですな。

 フィロリアル様も一緒に連れてって貰う事がありますぞ。

 俺も行った覚えがありますがな。


「まあ……潜水艦とか無いと行けない所でも特に問題無く潜れたりするね。その辺りの魔物で解放出来る盾に水中活動時間が延びる技能とかあるし」


 よくよく考えると異世界だよねーとお義父さんは朗らかに答えますぞ。


「サルベージってのも中々面白いよ。こう……ダンジョンに挑むってのもロマンだけどね。沈んだ船とか見つけて中を調べるとかね」

「武器や魔法のお陰でもありますけど大概ですよね」

「確かにね。異世界だからこそだね。それと深海魚は時に不気味な魔物も混じっているから恐いね。それ故に幻想的でもあるんだけどね」

「海底文明とかあるんでしょうかね?」

「何かシルトヴェルトとかその辺りで聞いた様な気がするなぁ……どうだったかな?」

「まあ、亜人獣人枠でしょうね」


 半漁人とかその辺りですな。ただ、波での戦闘で魔物として出てきたりするのでどっちか分かりづらいのですぞ。


「海底都市とかロマンがあるよね。ちょっと行ってみたい気もするなー」

「生憎僕の世界でも海底都市はありませんけどね。錬さんもそうですよね?」

「そうだな。さすがにそこまでの話は聞かない」

「俺は……聞いた様な気がするような……しないような? ですぞ」


 元の日本での事を思い返しますぞ。

 アレは水族館でしたかな? それともなんでしたかな?


「本当、元康さんの世界って下手な異世界よりもファンタジーなんじゃないですか?」

「昔過ぎて忘れてしまっただけですぞ」

「元康くんはループしすぎて曖昧になっちゃってる所が多いみたいだからね。記憶がごっちゃに成っても不思議じゃ無いよ」

「どちらにしても海は未知に溢れているって言いたいのは分かりましたよ」

「サディナみたいな水生系の亜人や獣人も居るからな」

「ルカ種とか他にも居るらしいね。サディナさんはルカ種っぽいけど別種らしいよ。たぶんシャチと一言で言っても種類が分かれるみたいな感じなんだと思うけどね」


 ふと、最初の世界のお義父さんもお姉さんのお姉さんを見ながら日本でのシャチに関する話をしていたのを思い出しましたぞ。


「元々の世界での話だとシャチは四種に別れているんじゃないかと他のループでのお義父さんも仰っていましたぞ」

「あ、それは話済みなんだね。生活圏が違ったり主食が違ったりするんだよね。模様もよく見ると違うんだよ」

「尚文さんって、元から居た日本で水族館とか動物園でそれぞれパンダとシャチのぬいぐるみとか買って飾ってそうですよね」

「いやさすがにそこまで幼くないよ? 子供の頃は人並みに好きな動物だったけどさ」


 お義父さんのお部屋ネタですな。

 お姉さんが何かしてしまった禁断の場所ですぞ。

 この事実をお義父さんが知ると凄い速度で振り向くので優しいお義父さんがどんな反応するのか聞いて見るのは良さそうですな。


「そういえばお姉さんがお義父さんの部屋のパソコンで何かを見てしまったそうで、お義父さんが後にドン引きしてしまった事がありましたな」

「え? 俺の部屋のパソコンの中身をラフタリアちゃんに見られちゃったの?」


 と言う所で錬と樹が凄く同情するような目に成りましたぞ。


「わかりますよ、尚文さん。やはりその手の品には死んだ時に見られないように、パソコンが自壊するようなプログラムが欲しいですよね」

「そうだな。絶対に見られたくない物が個人データベース内にはあるものだ」

「オタク故に見られたら死ぬ奴ですね。錬さんは中二病設定資料とかですよね?」

「そんなものは無い。むしろ樹の中二病資料だろう。きっと書かれていたはずだ。学校にテロリストが乗り込んで来て、遠くからスナイピングでテロリストを倒す天才狙撃手という設定の妄想小説が」


 錬と樹が黙祷していたと思ったらバチバチとにらみ合いに発展しましたぞ。


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― 新着の感想 ―
[一言] パソコンの中にある遺書のファイルを開くと人に見られたくないデータを消してくれるものがあるらしいです
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