狩人さんはアーク暮らしを夢見たい   作:風袮悠介

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06話-ここはヤーナムではないらしい3

 吸い込まれるような瞳に、私は息を呑んだ。

 初めて動いた人形と相対したときのような、僅かな緊張感が胸から湧き上がる。

 何を言われるのか、何をされるのか。

 アニスのように撃たれるのか、ネオンのように話が通じない事態になるのか。

 とりあえず、私は持っていた湖の盾をコートの下にしまい、両手を挙げた。

 敵対心はない、と必死に示す。

 

「すまない、いきなり押しかけてしまって」

「……」

「これには事情がある」

 

 ラピがこちらに近づいてくる。手には銃を持っておらず、敵対する様子がない。

 少し安心した。内心、胸を撫で下ろした。

 私の前にラピが立った瞬間、

 

 ガシ、と私の右手を掴んだ。

 

「ハァッ!」

 

 そのまま抱え込まれるようにして体勢を崩され、床に投げられた。

 背中から床に落ちて、そのまま転がされて仰向けにされる。掴まれていた右手を背中側に回されて間接を極められた。

 

「あなたがいきなりコマンドセンターに侵入したことは、認める?」

「あぁ……認める」

 

 ラピからの質問に私は素直に答える。どうやら今のは尋問らしいな。

 ちょうど良い。アニスとネオンがこっちを見ているが、この状態なら話を聞いてもらえるだろう。

 

「それで? あなたは何者?」

「私は……狩人というものだ」

「狩人?」

 

 ラピが聞き返してくる。

 落ち着け、私。ここでカフェ・スウィーティーの面々やアニスとネオンにした説明をすれば、腕を折られる可能性があるな。

 私は少し呼吸を整える。

 

「ああ。所以はわからないが……気づけば地上で目を覚ましていた。あてどなく彷徨っていたところをカフェ・スウィーティーに拾ってもらい、地上生存者としてここに運ばれたんだ。あとはコマンドセンターに行けと言われて、ここに……」

「は? 地上で生きてた?」

「アニス、確か公式発表では……」

「うん、地上での生存者は0。一人も人間は生きてないって……」

 

 ……地上で人間は一人も、生きていない? どういうことだ、まさかあの街で人の気配がなかったのはそういうことか……!?

 そうか……わかったぞ!

 

「まさか……あのラプチャー? とかいうのが関係している、のか?」

 

 私がラピに問うと、彼女は逡巡してから答えた。

 

「ええ、そうよ……昔、人間はラプチャーと戦争になって負けた」

 

 やはりそうなのか……! ラピの言葉のどこかに、悲しさと悔しさを感じた。

 同時に私の胸に怒りが湧いてくる……! あの医療協会のものどもめ、ビルゲンワースの学徒どもめ!!

 

「やはりビルゲンワースと医療協会は、ここにまで手を伸ばしていたのか……!」

「はっ?」

「彼奴腹どもめ、宇宙は空にあることに気付き、とうとう上位者を呼び寄せたか!! 殺してやる、殺してやるぞミコラーシュめ!!」

「え、いや、その、誰? ミコラーシュって?」

「安心するといい、私が必ずメンシス学派と医療協会とビルゲンワースを殺そう! まさかヤーナムではないここにまで奴らの手が伸びているとは……私の意識がトんでいる間にこんなことになっているとは!」

「待って、落ち着いて!」

 

 アニスの声に、私の興奮が冷える。

 いかん、ここで興奮してはいけない。落ち着け、

 

「すまない、興奮してしまった」

「う、うん。いきなり興奮して冷静になるって、なんなのこの人……」

「それで、改めて聞きたい事がある」

 

 私はアニスの目を見て質問した。

 

「ここは、ヤーナムではないのだな? ヤーナムという地名は知っているか?」

「ここはヤーナムじゃないし、ヤーナムなんて聞いたことありませんけど?」

 

 代わりにネオンが答えてくれた。そうか、ここはヤーナムではないのか……。

 

 それなら尚更、ミコラーシュをぶっ殺さないとダメだな!

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