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249 ようやく出番

もうご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、「転生したら剣でした」がコミカライズいたします。

幻冬舎様の無料WEB漫画雑誌、デンシバーズでの連載ですよ!

絵師はケモミミに定評のある丸山朝ヲ先生です。


連載開始は今週、12月9日。皆さん、ぜひお読みください。

 思いがけずミドガルズオルムの生態を色々と知ってしまった翌日。


 俺たちはやはりまったりと過ごしていた。昨日はお風呂にも入れて、フランは朝から上機嫌だ。


 あ、因みにお風呂のお湯は、フランが入り終わった直後にきっちり張り替えているぞ。フランの残り湯に男どもを入らせるなんて――許さん!


 フランは甲板から水平線を眺めながら、時おり水面に見える魚やイルカなどを観察したり、飽きたら部屋でゴロゴロしたりしていた。だが、この日の午後、ついに穏やかな船旅に終わりが告げられる。


 カンカンカンカン! カンカンカンカン!


 敵襲を告げる鐘が鳴り響いたのだ。4回ごとに鳴らされる場合は、海賊による襲撃だったはずである。


『海賊か!』

「行く!」

「オン!」


 フランが俺を掴んで部屋を飛び出す。そのまま甲板に駆け上がると、船長が他の船員に指示を出して戦闘態勢を整えようとしているところだった。


 モルドレッドは最初から甲板にいたらしく、部下とともに北を睨みつけている。


「来たか。さすがに速いな」

「海賊は?」

「あそこだ」


 モルドレッドが指差す先には、確かに何かの影があった。だが、まだ相当な距離がある。俺たちじゃ、何かあるとは分かっても、それが船かどうかもよく分からない。ましてやそれが海賊船かどうかなんて分からなかった。


「あれが海賊船なの?」

「おう、間違いねえ! 海賊旗を掲げているからな!」


 ジェロームが自信満々で言い切る。あれが見えるのか? そう思ったが、彼の手には望遠鏡が握られていた。なるほど、これで確認したんだな。


「逃げられるの?」

「うーむ、無理だろうな。向こうは小型の快速艇だし、風も悪い。あと1時間くらいで追いつかれると思うぞ?」

「なら戦いになる」

「おう。向こうにこっちを逃がすつもりはないだろう」


 でも、あの小さい船でこの巨船を襲うのか? そもそも接舷しても船に上がってこれるのだろうか?


 だが海賊たちも、勝算もなく向かってきているわけではないようだ。


「あの船の先端には衝角が付いてるからな。あれでこっちの横っ腹をぶち破って、戦闘員を送り込もうって腹だろう」


 海賊船についている衝角には内部に通路があり、人が通れるようになっているらしい。その戦法を使うとなると、むしろ大きい相手を想定してるってことか。


 足の速さで追いついて、数隻の衝角で動きを止め、衝角内の通路を使って戦闘員を船に侵入させる。接舷して縄梯子で乗り込むよりは安全に獲物の船に乗り込めるわけか。やられる方としては最初から中に入り込まれた状態になってしまうわけで、かなり厄介だ。


「どうやって戦うの?」

「基本は、近付かれる前に砲撃と魔術で沈めるだけだ」


 海戦だし、それが基本だよな。近付かれたら海賊船の衝角で船体に穴を空けられてしまうわけだし。


 と言う事は、普通に沈めちまっていいんだな。場合によっては相手を拿捕して、海賊たちは衛兵に突き出して賞金を獲得。船は接収みたいなことをするのかと思ったんだが。


「面倒だからな」

「そんな理由なの?」

「考えてもみろ。捕まえて港に連れて行くにしたってぶち込んでおく場所が必要だし、人がいりゃ飯も食わせなきゃなんねえ。船を接収するにしたって、動かす人員がいなきゃ運べないだろ?」

「相手の船のお宝も沈めちゃっていいの?」

「仕事終わりならともかく、今から襲って来ようっていう海賊船に、大したお宝なんか載ってねえよ」

「なるほど」


 それもそうか。と言う事は、本当に撃沈していいんだな。


「拿捕するとしたら、もっと大型の船だ。大型船の推進機関ならかなりの金になるからな。むしろ、こちらから襲っても良いくらいだ」


 ジェロームなら本当にやりそうで怖い。いや、商船が海賊船を襲ったりしないよね?


「むしろ、逃げられると色々と厄介だ」


 ジェローム曰く、掲げられている海賊旗に見覚えが無いそうだ。彼はこの航路に出没する海賊団なら大抵把握しているはずなのに。


「多分、北か南から流れて来たんだろう。それでもう5隻を送り出してきている」


 そもそも、この辺は縄張り争いが激しい。 航行する船の数も多いし、海賊からしたら非常に美味しい狩場であるそうだ。勿論、その分商船も対策を立てているため、リスクも大きいが。


 そんな海域なため、大海賊団が多く、新参の海賊が大きな顔をするのが難しいのだ。その中でもこの海域を縄張りにしていると言う事は、かなりの大海賊団が他の海賊団の縄張りを奪った可能性が高いらしい。


「ここであの5隻を逃がすと、こっちの位置や戦力が本隊にばれちまうからな。できればここで沈めておきてえ」


 さて、俺たちはどうするか。出しゃばっても構わないのか?


「モルドレッド、どうする?」

「先に砲弾の撃ち合いだ。その後、もっと距離が近づいたら魔術のやり取りになる。冒険者で魔術が使える奴は甲板から攻撃だな」


 そうか、大砲の方が射程が長いんだな。となると、こっちにも少し被害が出るんじゃないか? だが、ジェロームやモルドレッドからしたら、その被害も織り込み済みらしい。海戦では当たり前の事なんだろう。だが、俺たちならその問題も解決できる。


「ねえ」

「なんだ?」

「私に任せて」

「何か作戦でもあるか?」

「ん。私が沈めて来る」

「はあ? そりゃあ、そうしてくれたら有り難いが、そんな事できるのか?」

「できる」

「ふむ。危険を冒す必要はないぞ? まだ航海は長い。黒雷姫殿の力は必要だからな」


 ジェロームとモルドレッドが視線を交わす。本当かどうか考えているんだろう。そして、モルドレッドが頷く。


「ランクA冒険者という人外の領域に到達した人間に勝利する者も、また人外であると言えるだろう。俺は問題ないと思う」

「そうか、じゃあ、お願いして良いか? ただ、この船への被害は抑えてくれよ」

「わかってる。じゃあ、行ってくる」

「行ってくる?」

「ん。行って沈めてくる。ウルシ」

「オン!」

「うおおお! この狼こんなデカかったのか!」

「これは……俺でも勝てるかどうか……」


 驚くジェロームたちを無視して、フランがウルシに飛び乗る。


「いく」

「オン!」


 フランたちは船員の驚きを背に受けつつ、そのまま海賊船に向けて飛び立ったのだった。


体調はもうほとんど完調したんですが、執筆が次回に間に合いそうにありません。

次回は9日に更新させていただき、その後は2日に1回更新に戻せたらいいなと思っています。


あと、フランの入ったお風呂の残り湯に関して大量の感想有難うございます(笑)

おまいら、大好きだぜ……!

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[一言] 時に涙し、時にニマニマし、時に大笑いをあげながら楽しんでおります!頑張って連載をお願いいたします。
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