インドネシアの無償給食プログラム、食中毒の主な原因に
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【11月13日 AFP】インドネシアで今年発生した食中毒の約半数が、プラボウォ・スビアント大統領が栄養失調対策として開始した目玉政策「無償給食プログラム」によるものだと、プログラムを監督する国家栄養庁(BGN)のダダン・ヒンダヤナ長官が12日、議会で明らかにした。衛生上の懸念から中止を求める声が上がっている。
ダダン氏によると、数十億ドル規模のこのプログラムが1月に開始されて以来、インドネシア全土で1万1000人以上が食中毒になり、うち600人以上が入院した。
記録されている食中毒発生事例441件のうち、「無償給食プログラムによるものが211件、つまり48%を占めている」とダダン氏は述べた。
食中毒1件当たりの摂食者は多数で、時には数千人に上ることもある。
中部ジャワ州の二つの学校で起きた食中毒事例では、政府から支給された給食を食べた児童660人以上が下痢、吐き気、めまいなどの症状を呈した。
ダダン氏は、無償給食プログラムに関連する食中毒の半数は大腸菌汚染によるものだと説明。給食を調理する厨房(ちゅうぼう)への監督を強化したと付け加えた。
当局は、こうした厨房に対し、食品トレーを消毒し、調理および食器の洗浄にはろ過水のみを使用するよう義務付けている。
現在、このプログラムの下で1万4000以上の厨房が運営されており、ダダン氏によると、11月までに4200万人以上に食事を提供した。
インドネシアでは、子どもの20%が栄養失調による発育阻害の状態にあり、食料不安は根深い問題となっている。
政府は以前、年内に8290万人(人口の約3分の1に相当)に栄養価の高い食事を提供するという目標を発表していた。
このプログラムの財源は他予算を削って捻出されており、深刻な格差への怒りと相まってm全国的な抗議行動が2回起きている。
プラボウォ氏は、食中毒の発生件数は無償給食の提供数の割に少ないと主張し、このプログラムは子どもの栄養失調対策として有効だと主張している。先月には、プログラムは完璧ではないが、多くの国から称賛される成果だと述べた。
プログラムの対象者は現在、主に子ども、妊婦、授乳中の女性となっているが、政府は2026年に対象を拡大し、高齢者と障害者も含める計画だ。(c)AFP