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天然倫敦 日々雑感

天然居士の英國MBA留学

欧米人について思う

2006年09月11日 07時26分37秒 | 倫敦

エデンの楽園のような光景。最近お気に入りでよくカフェをしながらボーっとするRussell Square Garden。欧米人の美的センスの原風景にはキリスト教的なエデンの園があるんだろうか。明らかに日本的、東洋的な美とは異なるシンメトリックな光景。7月~9月はイギリスの最も美しい季節のようだ。

こちらに来てもう7週間も経っていることに気づく。不思議なことに日本に帰りたいという気持ちは全く湧かない。

こちらに来て思うのは、日本にいた頃に思っていたステレオタイプな欧米観よりも、実際には日本人も欧米人も同じ人間なんだなというSimilarityの発見。欧米人はストレートでダイレクトで陽気な個人主義だと言うけれど、実際には欧米人だって遠慮するし、謙遜するし、我が強くてpushyな人は嫌われるし、日本人が嫌だと感じることに対しては彼らも嫌だという感情を持つということ。確かに、日本にいた頃よりバスの中での携帯電話の会話は気にならないし、こちらでは誰も注意したりしないけれど、それはカルチャーや環境の問題であって、本質的に似ている部分の方がはるかに多いと思う。

欧米流(B-school流)の授業。何十人も手を挙げて積極的に発言し、教授と生徒がinteractiveに一体となって進行する光景には戸惑うけれど、ピントのずれた発言をすれば寒い空気が流れるし、ノリとか『場の空気』みたいなものは確実に存在する。飲み会で盛り上げてイッキを迫り、断れば寒い空気が流れてしまうから嫌々周りに流されてイッキしてしまう風習なんて日本的な集団主義の賜物だと思っていたけれど、イッキとまでいかないまでもやはりそれに似た『場の空気』みたいなものは欧米人の間でも存在する。

とはいえ、やはり日本と欧米の違いもある。日本人が比較的周囲の目を気にして、横を見ながら行動を取るのに対して、欧米人が比較的周りの目を気にしないのも事実だと思う。もちろん程度の差はあるし、欧米人だってみんなが赤い帽子をかぶっているのに自分だけ緑の帽子をかぶるのは嫌う。だけど、日曜日の朝におっさんが上半身裸で乳母車を引いていても誰も気に留めないし、カフェで隣に座っている人に笑顔でライターを借りたりするなんていう日本では98%くらいあり得ない行動が普通に起こっているのを見て、なんか「自由」という言葉でくくると陳腐だけれど、一人一人が自分の地に足をつけて生きていて、だからこそ他人の行動に対して寛容でいられるというか、笑顔という武器で無用なconflictを避ける術を無意識に身につけているというか、やっぱそんなところが日本人とは違う「自由」なんだろうなぁと思う。

結局すべては相対的で程度の差の問題だと思う。欧米人は日本人と比べてちょっとばかり「個」に対する意識が強くて、expressiveな行動様式を取るということ。それ以外は驚くほど似ている部分ばかり発見する。

ところでRussell Square Gardenについて思うこと。美しいと思う。だけどやはりどこかキリスト教的な美しさだなと思う。西洋では「自然」と「人間」が対立概念にあるのに対し、東洋では「人間」が「自然」の一部をなしている、な~んてよく言われるけれど、なんか分かる気がする。日本人の美意識の究極の形は『無生物への感情移入』だと言われる。雨に濡れる小石を見て寂しさを感じたり、「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」などと諸行無常の感慨を抱くのは、世界広しと言えど日本人くらいのもんだろうと思う。Russell Square Gardenの美しさにはそのへんが欠けている。