高麗(コリョ)大学と延世(ヨンセ)大学で、生成AI(人工知能)「チャットGPT」を使った学生の集団不正が摘発されたのに続き、ソウル大学など他の大学でも同様の不正行為が確認された。大規模な非対面試験で不正が行われた高麗大学や延世大学とは異なり、ソウル大学では少人数の対面試験中に起きた。オンライン、オフラインを問わず「AIカンニング」が広がっている。
ソウル大学では最近行われた教養科目「統計学実験」の中間試験で、一部の学生がチャットGPTの助けを借りて答案を作成したことが明らかになった。この講義は受講者30人ほどの対面授業で、昨年12月にも同様の疑惑が持ち上がったが、証拠不足で処分には至らなかった。今年6月にはソウル女子大学の専攻科目の対面試験で、AIを用いて記述式問題を作成した学生が摘発され、0点となった。全授業と試験がオンラインで行われるサイバー大学では「正直者が損をする」と言われるほどAI不正が蔓延している。チャットGPT登場直後の3年前から繰り返されている問題にもかかわらず、国内大学はいまだ無防備だ。
大学のAI不正行為をめぐり、学生の倫理意識の欠如を非難する声が高まっている。しかし、AIがもたらした革命的変化に教育現場が対応できているのかを見つめ直す必要がある。海外の主要大学では、単なる知識伝達や正解を当てる方式から脱し、AI時代にふさわしい学習・評価戦略を構築し、その中でAIの使用をどこまで認めるかの指針も示している。しかし、国内でAIガイドラインを設けた大学はごくわずかだ。長期の授業料凍結で財政が悪化し、AIカンニングに脆弱な大型非対面講義を増やしている現状では、AI指針の策定は「ぜいたく」というのだ。
財政的に余裕のある小・中・高校でも、17市道教育庁のうち7カ所はAI利用に関する指針すらない。策定しているところも「倫理的使用教育は必須」といった抽象的な原則を掲げるのみで、有名無実だ。中高の成績は入試に直結するため、公平性への懸念は特に大きい。AIが日常化した「チャットGPT世代」に合わせて、教育と評価の方式を根本から見直し、小・中・高校については教育部が具体的なAI活用指針を示す必要がある。
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