大学の計画的縮小へ、文科省が支援案 経営改善に踏み出しやすく
文部科学省は13日、大学の計画的な規模縮小を支援する案を示した。定員の引き下げから7年以内であれば、審査を経ずに届け出のみで定員を回復できるようにする。急速な少子化で定員割れする大学が増えるなか、規模縮小のハードルを下げ、大学が経営改善に踏み出しやすくする。
同日の中央教育審議会の部会に新制度案を示した。政令を改正し、2026年4月の施行を目指す。
現在は引き下げた定員を元に戻す場合、学生確保の見通しなどを同省に提出し、大学設置・学校法人審議会の審査を受ける必要がある。煩雑な手続きをもう一度踏む必要があり、大学側には「定員を一度減らしたら元に戻すのは困難」という認識が広がっていた。
新制度案では再び定員を戻す計画があることを文科相にあらかじめ届け出ていれば、審査を受ける必要はなく、原則として認められる。
大学側にとっては、定員減によって教職員を減らすなどし、経営状況が好転したときに定員を戻すといった試みがしやすくなる。ある私立大学長は「将来的に定員を戻して再起を図る計画を立てれば、引き下げについて学内や外部に説明しやすくなる」と話す。
医学部や歯学部など一部の分野については新制度の例外とするほか、削減前の定員を超える大幅な定員増は認めない。
大学を取り巻く環境は厳しさを増している。日本私立学校振興・共済事業団(私学事業団)によると、25年春の入学者の定員充足率が80%を下回った大学の割合は23.7%だった。
文科省の推計によると、50年の大学進学者数は約41万人で、21年より3割減少すると見込まれている。
中教審は2月にまとめた答申で「再編・統合、縮小、撤退の議論は避けられず、高等教育全体の適正な規模の見直しが必要」と指摘。縮小への支援策として、収容定員を引き下げやすい仕組みの構築を盛り込んでいた。